15.漫画、アニメの舞台化 昨年、初めて漫画やアニメの舞台を見てきた。2009年から毎年2度上演される、「ミュージカル・忍たま乱太郎」である。下北沢の地下劇場でやっていそうな、泥臭いアングラ劇や小劇場での舞台が好きだった私は、当初そういった舞台に非常に抵抗があった。まず、漫画やアニメを実写にすることがありえない。加えて、最早人間業ではない、CGを使わないと再現できないような表現が魅力の作品を舞台化するなど、正直馬鹿げている、と思っていたときもあった。「忍たま」自体の舞台化に抵抗はあまり無かったのだが、主人公が6年生だったことにショックを受けた。という訳で、実際に行って見までは全く乗り気ではなかった。 今、若手俳優たちを中心に起用されている、こういった漫画やアニメの舞台化は、非常に人気がある。行ってみて分かったのだが、彼らを起用した漫画、アニメの舞台化は、お客さんとの距離が非常に近いのである。歓声や笑い声も普通に起きるため、見ていてとても楽しい。また、大好きなキャラクターたちが実際にそこに現れたら、私も流石にテンションが上がってしまった。私が見に行った丁度その公演に、「忍たま乱太郎」の原作『落第忍者乱太郎』の作者、尼子騒兵衛が見に来ていた。彼女のインタビューで、「号泣しているファンの子に尋ねたら、『小さい頃から大好きだった利吉さんが本当に現れた』かららしい」という話を聞かせてくれた。その気持ちは痛いほど分かる。 起用しているキャストが若手俳優であることや、声優を起用している辺り、演技力はそれほど求めてはいないようだ。「テニスの王子様ミュージカル」のキャストオーディションでは、どれだけ役に合っているか?という基準で選んでいる話も聞いたことがある。そこらへんの実写映画より、よっぽど愛がこもっている。映画は多くの人が観るから一般受けするように作らなければならない部分もあるだろうが、舞台には、舞台ファンよりも原作ファンが多く集まる印象がある。その再現率の高さは、見ているだけで楽しくなってきてしまう。 先日、「弱虫ペダル」が舞台化した。チャンピオンで連載している、自転車レースのスポーツ漫画だ。個人的には近年稀に見る熱い漫画で、毎週読んでいる。さて、この漫画の舞台化を初めて聞いたとき、「どうやってやるんだ!?」と興味をそそられた。好きなイケメン俳優が主演だったので観てみたかったのだが、予定が合わずに行けなかった。その後、ハンドルだけを持って並んでいるキャストの写真を見て驚愕した。ルックスはまず、原作に近付けなければならない。原作を知っている私としては、見た目が似ていることは非常に重要である。私が舞台化を好きになったのは、漫画のキャラクターたちが自分と同じ空間にいることを、限りなく再現率が高い状態で観ることができるからだろう。 |