5.デコ絵文字

 私はメールが好きではない。その向こう側で相手がどんな顔をしているのか分からないし、自分の感情もどこまで伝わっているのか分かったものではない。
そんなとき、自分を表現する際に有効な手段が、このデコ絵文字である。

 私は本来顔文字派で、ソフトバンクの可愛くない絵文字が嫌いだった。そのせいもあってか、メールを送るときは顔文字か文字だけのことが多かった。だがそういったメールを送るのは、仲の良い友人ばかりだったように思う。そこには自分の性格を知っていてくれている安心感があり、飾らなくても誤解を招かない安心感があった。

 しかし、バイトの上司や新しく友人になった相手にメールを送るとき、私はとても悩み、困ってしまう。絵文字を付けるか付けないか、そしてどんなものを付けるかについて悩むのだ。しかし、絵文字や顔文字を付けない文字だけの文章を打つと、なんだか冷たい感じがしてしまう。さらにいえば、その文章に自分を見つけることが難しくなってくる。上司や初めてのメールの時には業務連絡や決まった文体からつくられるので、個性を発見できない上に暖かみが感じられないのだ。
 そして私は、絵文字や顔文字は相手に自分の感情を伝える為に有効なばかりではなく、自分という人間を主張するときにも有効な手段であることに気付いたのである。

iphoneに変えてからしばらく使っていなかったデコ絵文字を、最近再び使用するようになった。そして、顔文字や絵文字なんかよりもはるかに豊富な種類を持って、自分を表現できることに気付いたのである。ある一定期間、最初に取ったデコ絵文字だけを使っていると、「この気分の時はもっとこういうデコ絵文字が欲しい」、「こんなのあったらなー」と感じるようになり、再び新たなデコ絵文字を探しに行くのだ。このとき、私は、種類の少なかった顔文字や絵文字では対処しきれなかった感情の変化を表す表現方法を、デコ絵文字によって表現する方法を手に入れたのだ。

そしてまた、自分の感情を表すには様々な行動形態があることを、デコ絵文字を見直すことによって知るのだ。