6.チラリズム チラリズムの代表と言えば、パンチラや絶対領域だろう。このチラリズムはグラビア以外の写真集の中にも積極的に取り入れられるようになってきた。 映画「愛のむきだし/園子温」を観たときに、私はパンチラをひたすら盗撮していくシーンに出会った。そして、同時期に「妄撮」という写真集に出会った。「妄撮」は、日常の一場面を普通に撮った写真の横に、同じ写真の一部が破られ、下着が見えるという、男の子の妄想を切り取った写真をコンセプト作られた写真集だ。この写真集は男女ともより人気があり、さらに男子版「妄撮」まで作られた。 チラリズムに魅かれるのは、何故か? それはその先を知りたい、見たいという欲求を掻き立てられるからではないだろうか。 パンチラも絶対領域も「妄撮」も、全体が見えないからこそ、気になる。 そう考えると、私たちの世界はチラリズムで作られたものが多く存在するように想う。 昨今CM業界で話題となった「続きは、webで」や、映画の予告編。書籍の帯や後ろに書かれた、本の内容を少しだけ書いたもの、電子書籍の立ち読み(ページ数指定)など。これらは全て、チラリズムを使って消費者の続きを見たい、知りたいという欲求を使ったもののように思われる。 私は一時期、youtubeで映画の予告編だけを永遠と見続けることをしたことがある。予告編はそれだけで完成された作品であると言えるが、なんといっても作りがうまい。映画の見どころを凝縮してつくられているのだから当然だが、予告編を見ただけでそのストーリーと結末はどうなるのか、といった想像力をかきたて、見たいという欲求をつくりあげるのである。 しかし、予告編は時に期待値を上げ過ぎてしまい、本篇を見たときに消費者にがっかり感を与えることがある。それは掻き立てられた想像以下の作品だった時だが、チラリズムにはそれだけの期待感を持たせることが可能であることが良く分かる。そしてまた、チラリズムを使用して消費者の心をつかむ際には、それなりの完成度の高いチラリズムを用意しなければいけないこともわかる。あまりに完成度の低いものではチラリズムの機能果たさないだけではなく、作品への興味も失わせてしまう可能性が高く含まれているのである。 |