12ライブとフェスの空間性

 なんか、いつもと違うね。―ライブに友人と初めてと行くたびに、必ず言われる一言だった。つまりは、いつも大人しそうなのに元気だね、といった感想を持たれることが多いのである。

 私はライブが好きだ。いろいろな人と同じ空間で音楽を楽しめるこんなに素敵な空間はないと思う。さらに言えば、そこにいる人たちはみんが音楽が好きで、音楽で騒ぎたくて踊りたくて仕方のない人たちなのである。
 大学二年生の夏に、初めて北海道のフェスに参戦した。それがライジング・サン・ロックフェスティバルであり、人生初参加の音楽フェスティバルでもあった。そこで、私はテレフォンズのライブを見に行った。テレフォンズもまた初ライブだったので、どんなものかとワクワクしていった。そこで私は、すごく広いスペースを使ってたくさんの人と踊って、最後にハイタッチまでしてしまった。今まで行ってきたライブでは味わえなかった達成感が生まれた瞬間だった。それから、ライブもそうだが、音楽フェスに好んでいくようになった。

 フェスは、普通のライブとはまた違った空間のように感じる。
 私が行ってきたライブがテレフォンズのように激しいものが少なかったからかもしれないが、普通ライブは行って、一組または二組のアーティストの演奏を聴いて、それだけで終わってしまう。つまり、空間や音楽を観客同士で共有することはあっても、交流は起こらないのである。つまり、行って帰るだけなのだ。

 しかしフェスという空間は、ニステージの場合は交互になるが、大きいフェスになると、同時にあちこちのステージで音が鳴っているという空間が出来上がる。さらに言えば、野外で行われることの多い夏フェスなどは、そこにライブハウスなどの閉じられた空間で行われるフェス・ライブよりも開放性を強く持っているのである。その空間の中で、私たちは行って帰るだけではなく、行って様々な人・モノと関わりながら音楽を楽しむことができるのである。
 音楽が好きな人が集まって、解放感を持って音楽を楽しめる空間。そんな空間では、楽しまなくては失礼である。