第2回 (2009年5月16日)

『地域の宝さがし〜まちづくりワークショップを通して』

平山 恵(明治学院大学国際学部准教授)

ねらい:地域づくりワークショップの考程(手順)と技術を習得する。

T.考程

  1. 地域の特質を知る
  2. 地域づくりの目的を明らかにする
  3. 地域の現状を把握する
  4. 地域の宝物を発掘する
  5. 地域の未来をデザインする
  6. 地域の方針と方策を立案する
  7. 行動計画を作成する

 U.技術 (ミニ演習をする)

  1. 観察 @現状 A仮説 B視点(ものさし)
  2. 傾聴 @サイレント・リスニング Aアクティブ・リスニング
  3. 聞き取り(エピソードテーキング、エピソードトーキング)
  4. 宝探しのファシリテーション

用語解説(平山による定義):

1.参加型アクションリサーチ(PAR:Participatory Action Research)

 専門家だけで調査をするのではなく、住民を中心とした関係者が参加して試行を重ねながら行う調査で、状況の改善や新しいシステムを作るために行う。一度きりの調査に基づいて改善やシステム作りをするのではなく、住民が本人の問題意識や切実なニーズに基づき、「これが良いのではないか」と考えたことを小規模で実際に行ってみて(Actionをとり)その結果を自らしっかり評価して、改善やシステムの方向性が適切かどうかを吟味する。その評価の結果を基に、次の試行を行う。大きな改善を一度に行うと、その内容が(理論的にはよさそうに見えても)うまく行かなくなった時にその負の影響は住民自身にかかってくる。それに対して小さな試行をその改善や新しいシステムの影響を一番受けやすい人々が中心になって(またはその人々のことを真剣に考えているよそ者も含み)何度も試行を重ねながら一番良い方法を見出すことが特徴である。
 この試行を重ねる中で、人々が多くを学ぶことが出来、万が一環境が変わっても、それに対応して柔軟に対応する能力を得ることができる。PARに関わった人々の行動変容が起こることも狙っている。参加によって学び、次のアクションに繋がるPLA(Participatory Learning and Action)であると言える。

2.衆目評価

 衆目評価とは、問題意識と状況把握を踏まえた上で、どこが重要な問題点かをランキング(重み付け)によって明らかにする方法である。衆目評価は、当の課題の解決を切に願っている人たち、それは状況把握のプロセスに参加できなかった人も含めており、多様な立場・状況の人々にとって行われる。この方法によって、彼らにとっての問題の重さを知ることができるだけでなく、状況把握のプロセスに参加できなかった人の声を拾うことも可能である。   

3.トリガー(Trigger)

 相手の理解を深める(イメージできる)導入方法。これまでに自分が経験したものや、地域で聞き及んだものを紹介することで、参加者の関心をひきつけるもの。

4.三段考察

 三段考察とは、論点とその根拠、根拠の出所である事実を明確にする方法である。例えば文献にあたったり情報を集めたりする中で、様々な事実を知る事になる。次にその事実が意味する事柄が見えてくる。それは事実から読み取った自らの見解であり、そこから自身が論文で述べたい核を導きだす事が出来るわけである。この核こそが論文で主張したい論点となるわけだが、論点の土台には十分な「事実」と事実に支えられた「根拠」がそろっていなくてはならない。

 「事実」→「根拠」→「論点」の関係を以下の図のように三角形で捉えると分かりやすい。論点とその根拠、根拠の出所である事実(情報やデータ)を紙の上であれ頭の中であれ図式化することで、事実とそこから自分が読み取ったこと(意見であり、論点の根拠)を明確に区別することができる。また論点に対しどのような、どれだけの事実に基づいた根拠があるか、という分析も可能になる。
 自分の書く論文の論点が十分な根拠とデータに支えられたものか、また何が根拠となり、その根拠はどのようなデータから導だされているものなのか、ということを確認する際、三角分析は大変有効な手段である。

 

事実、根拠、論点

 

−平山 恵(ひらやま めぐみ)先生のプロフィール−

専門分野

 社会開発、街づくりのための社会調査、国際協力

論文・著書
「ホームレスから見える日本社会」『PRIME』25号、明治学院大学国際平和研究所、2007年3月、99−112頁
「保健教育:マイクロティーチング」『Bon Partage』137号、SHARE国際保健協力市民の会、2007年9月