出張報告

秋月 望

 

▼出張期間

2005年3月8日より2005年3月14日まで

▼出張先
韓国 ソウル
▼研究テーマ
日韓関係の変遷と現況
―交流/相互理解/対立/摩擦/葛藤―
▼調査の内容
 2005年は、日韓国交正常化から40年。「日韓友情年」として、政府・民間それぞれが主導する様々の交流事業が準備され、両国間の人的交流もこれまでになく活発になっていた。時あたかも「韓流」「ヨン様ブーム」などが注目され、日韓関係はこれまでになく良好であると思われていた。
 今回の調査の主たる目的は、そうした「良好に見える」二国間関係の内実を、これまでの交流の質と量との変化を探り、現段階の位置づけを明確にしつつ解明するところにある。日本の対韓外交実務者(外務省専門職・在韓日本大使館韓国人スタッフ)や韓国駐在経験のあるマスコミ関係者、それに日韓の交流に携わってきた大学教員、大学生、また日本関係の出版社、日本語能力試験の実施母体の責任者など、広範な人々との面談を通じて、それぞれの立場での「いま」と「むかし」を語ってもらった。
 滞在中、竹島/独島の領有権をめぐる対立が激化し、日本の右翼的教科書をめぐる問題も表面化し、その日韓対立は「ブーム」を吹き飛ばすほどの勢いで韓国社会に拡大した。 時事日本語社 金照雄常務(韓国滞在35年目の在日韓国人で1980年前後からの日韓関係の変遷を体験してきている)
 結論的には、「ブーム」や「良好な関係」が日本社会にあたかも「侵略」や「戦争」の加害責任がもはや免罪されたかのごとき幻想を与えたが、それが日本の思い違いであり、そうした思い違いに立脚した「未来志向」―言い換えれば「過去の忘却と無視」―はこれまで以上に激しい反発を招くことを立証したともいえる。
 *韓国の大学で日本交流をやっているサークルの発表会で 左は静岡大学馬居教授
 *東京新聞山本勇二ソウル支局長 90年代はじめに続いて2回目のソウル勤務

 

 

▼発表予定の論文・著書等

  日韓の領土問題に限定した論考を作成中。
  公表・掲載等については今後検討する。