哲学とは何か? その中での哲学的倫理学とは?  ☆古典的な哲学の分野分け 形而上学(存在論):世界ならびにその中に存在する物事について          「世界とは、存在とは何か」 認識論(知識論):世界ならびにその中に存在する物事についての認識について         「いかにして世界について知ることができるのか」 倫理学:世界ならびにその中に存在する物事、何より     人間のよい、正しいあり方について ☆西洋哲学の歴史におけるいくつかの転換 *「認識論的転回」:近代(近世)哲学の出発・形而上学優位から認識論優位へ          科学革命と並行 *カントの批判哲学:認識論と形而上学の(ある意味での)切断           近代科学的決定論と人間の自由意志との両立のために           超越論的(先験的)水準と経験的水準の区別           哲学は主に前者に、科学は主に後者にかかわる           超越論的/経験的           確実/不確実           分析的/総合的           アプリオリ/アポステリオリ           必然/偶然 *「言語論的転回」:現代哲学(20世紀以降の哲学)の出発点          「第一哲学」は認識論から言語哲学へ           世界ならびにその中に存在する物事(についての知識)について           語ることについて          「知識も思考も言語を通じてしかなされえない、では言語とは何か、           どのようにはたらくのか」           言語と論理の分析が哲学の中心に(「分析哲学」) *20世紀末以降の動向:「自然主義的転回」? 哲学と科学の峻別への批判           「第一哲学」は言語哲学から心の哲学へ            あるいは「第一哲学」の拒否 ☆そうした転換の中での倫理学の展開 *古典的倫理学(古代から中世):政治哲学の基礎                「人としての正しい生き方」の延長線上に                「社会・国家の正しいあり方」があり、更にその先に                「世界の秩序」「神の意志」がある *近代倫理学・政治哲学:倫理学・政治哲学と形而上学の切断             ヒュームらによる事実と価値の峻別             社会秩序は人間の自由意志が構築する対象             その上で倫理・正義の普遍性をいかに確保するか?             カントの「定言命法」――普遍化可能な行為準則 *20世紀前半の倫理学:時代の支配的雰囲気=「価値は主観的」            避難場所としての道徳命題の言語・論理分析(「メタ倫理学」)            道徳命題の普遍化可能性            ――単なる形式か、特定の道徳的内容を要請するか? *20世紀後半の倫理学:「実践哲学の復権」             ロールズ『正義論』以降の政治哲学の復興            「応用倫理学」の隆盛             実は言われるほど「価値は主観的」ではなかった             普遍化可能性はある特定の道徳的内容を要請する? *参考文献 イアン・ハッキング『言語はなぜ哲学の問題となるのか』勁草書房 永井均『倫理とは何か』産業図書 ジェームズ・レイチェルズ『現実を見つめる道徳哲学』晃洋書房 サイモン・ブラックバーン『ビーイング・グッド 倫理学入門』晃洋書房 イマニュエル・カント『道徳形而上学原論』岩波文庫 ジョン・スチュアート・ミル『功利主義』 川本隆史『ロールズ』講談社 ピーター・シンガー『実践の倫理』昭和堂