1998年3月10日(火)

 きょうは初夏のような陽気だった。このまままた快晴ばかりのバークレーに戻ってゆくのかな。そうだったらいいのだが。

 午後からの講義に間に合うように家を出て、キャンパスまでの20分ちょっとをてくてく歩くと、次々にむせ返るような(大げさでなく)花の香りが押し寄せてくる。僕は植物の名前はまるでわからないので(松を知らなかった三島由紀夫ほどじゃないが)、言葉で説明するかわりにデジカメで写真を撮ってみました。(以下、ちょっと重いのでご注意を。)




 きょうからバトラーさんの講義はニーチェの『道徳の系譜学』に入った。午後の光がゆったり射し込む静かな教室で、「大いなる正午」だの「知識の蜂の巣」だのの話を聞いていたら、なんだか痛切に「日本にかえりたくないなー」と思ってしまった。仕事したくないなー。教えるより教わる方が5億倍いなー。ゆうべから風邪気味で頭がくらくらするので、その影響もあるのかもしれないけど、きょうはわけもなくしみじみした日だった。木の芽どきってやつでしょうか。というわけで、読書の話はなし。ブライアン・ウィルソンの"I JUST WASN'T MADE FOR THESE TIMES"を聴きながら、最後までしみじみ、ただの日記を書いてみたわけです。(午後10時09分)