1・C ホモフォビアへの抵抗
1・8 ホモフォビアに対する闘争
1・8・1 ホモフォビアとは
◆フォビア(phobia):病的な嫌悪・恐怖感情
参照:「広場恐怖症」「閉所恐怖症」「高所恐怖症」「先端恐怖症」
◆AIDSとホモフォビア
◆アメリカの「ソドミー法」
◆物理的な暴力が同性愛者に加えられる事例は後を絶たない。 ø映画『トーチソング・トリロジー』
1・8・2 現代アメリカ合州国の同性愛者解放運動〜「ストーン・ウォール」以後
◆ストーンウォール事件
1969年6月28日 NYマンハッタンのグリニッジ・ビレッジの中心部、クリストファー・ストリートにあった店ストーンウォール・インで、警察の手入れが行なわれた。酒類販売許可をとっていない場合の多かった当時のゲイ・バーでは、それは日常茶飯事であり、店もゲイの客たちも通常はおとなしく嫌がらせを受けいれるしかなかったが、この日だけは違った。……
ø『imago』一九九五年一一月号「特集 ゲイ・リベレーション」(81頁)
◆草の根の人びとの生活
øビデオ:『レズビアン・ロード・ドキュメント』(レズビアンの女性による、アメリカ南部に生きる「同性愛者」たちのドキュメント)
★米国最高裁がソドミー法を違憲と判決 2000年6月29日付
1・8・3 現代日本の同性愛者解放運動〜「府中青年の家事件」
◆カミング・アウト(Coming out):同性愛者であることを公言すること
◆「府中青年の家」事件 øキース・ヴィンセントほか『ゲイ・スタディーズ』(青土社)172頁以下。
1・9 同性婚の現状
1・9・1 同性婚の意義
◆婚姻制度は各国ごとに違うが、以下のような共通の意義があると考えられる。
(1)諸権利。相続、家族手当、介護等の休暇
(2)象徴的意義。
1・9・2 同性婚への世界の動き
1・D 〈セクシュアリティ〉の発明
1・10 「性的指向」と「性別同一性」を超えて
1・10・1 「性的指向」概念の限界
1・10・2 「アイデンティティ」について
◆アイデンティティ(同一性 identity):@自分が誰であるかという認識 A社会的身分・地位
◆「自分は何者か」というアイデンティティの確立は、人間にとって大切なものである。
しかし、必ずそうでなければならないのだろうか?
アイデンティティには、それを確立することを外的な圧力によって強いられる、という側面もある。
警察官「免許証を見せろ→お前のアイデンティティを証明しろ」。
入国審査官。
関東大震災直後に、デマに惑わされて数千人の朝鮮人を虐殺した日本人たち。
そして、同性愛者を差別・抑圧する異性愛者たち。
◆被差別者(少数派)に対して、「わかってもらうための努力」を要求する差別者(多数派)。
ø田中美津「わかってもらおうは奴隷の心」
だが同性愛者が「ヘンタイ」だとして、どうして異性愛者は「ヘンタイ」ではないと言えるのか?
異性愛者が同性愛を攻撃するのはなぜか? ホモフォービックな差別者=弱者は、何におびえているのか?
1・11 〈セクシュアリティ〉の構築=発明
◆「性欲」「セクシュアリティ」というコトバが想起させる事態
ø小田亮『一語の辞典 性』(三省堂)
「セクシュアリティ(sexuality)という英語の語は、一九世紀になってつくられた生物学の新語であり、しかもそれが動植物の有性生殖を指すという生物学的な術語を離れて、「性的能力を有すること、性的感情を持ち得ること」という現在の一般的な意味(すなわち「性欲」という意味)で使われるようになったのは、一九世紀末になってからである。」(13頁)
ø「〈セクシュアリティ〉の3つの要素」(デビッド・ハルプリン『同性愛の百年間』邦訳43頁)
@人間の精神物理学的な性質の広大なひろがりの内側に分離して存在する独自の性の領域
A他の個人的、社会生活分野とのあいだに境界を画定し、孤立
〜たとえば、「親密さ」「愛」「肉欲」といった諸観念が、〈性〉とは別のものとされるようになった。
Bアイデンティティと密接にかかわり、個々人の本質を性にかんする用語で定義づける
〜たまたま同性と性的接触を持ったということではなく、そのような行為を行なう者、すなわち〈同性愛者〉とされ、そのような型の特殊な人間として、カテゴライズされてしまう。