2003年度 川上ゼミ 発表抄録

 

(1-1)  「政策通」松沢氏が圧勝

なぜ松沢しげふみ氏が圧勝したのか?! ゼミ生のボランティア体験より

私は、統一地方選挙の神奈川県知事選挙で前衆議院議員の松沢しげふみ氏の事務所でボランティアとしてお手伝いをさせてもらいました。今回のボランティアで印象に残ったことについて述べたいと思います。

 

1,“マニフェスト(政策宣言)”

 松沢しげふみ氏は、具体的な数値と期限と財源つきのマニフェスト(政策宣言)をいち早く作り1部100円で駅頭街宣などで販売していました。イギリスの選挙では駅の売店等で政策を買えるシステムになっているのでいずれは日本でもそのように候補者の政策を手軽に買えて知れるシステム作りをしたいということです。マニフェストの作成には川上先生もお手伝いなされました。

 

2,事務所スタッフの熱い心

松沢しげふみ氏がうちの秘書は出来は悪いが“心”がある、とおっしゃっていました。松沢しげふみ事務所には他にはお兄さん、おじさん、弟さん、奥さん、他 あと松沢さんが松下政経塾出身ということで多くの塾生の方、今回のキャッチコピー「神奈川力宣言」を考えた大手広告代理店の方、地元支持者、勝手連で集まった方々や松沢ファンのボランティアが毎日20〜25人位お手伝いに来ていました。全員が熱い心のスタッフでした。

 

3,ビラ

 選挙期間中のビラには候補者の名前、顔写真といった候補者と分かるものは載せられないので1号ビラには政策と事務所の地図だけで誰のビラかわからないと有権者から意見があったので2号ビラには、横浜市長選で中田宏氏がやった方法と同じ候補者の似顔絵を大きく出し松沢しげふみをビラでもアピールできた。(資料参照)

 

<ボランティア内容>

模造紙で選挙までのカレンダー作り、地方議員へのポスター・公選はがきの送付伝票書き、本番用ポスターのテープ貼り、公選はがきの宛名貼り、支持者からの声の集計、街宣用の場所取り、ビラ配り、電話対応、等

<イベント>

事務所開き、地元新百合ヶ丘での決起集会、横浜での決起集会、松沢しげふみと語る会、慰労会

配布資料:事前ビラ、1号ビラ、2号ビラ、カンパ袋、TRYバッチ

その他のエピソードについて

事務所が関内の馬車道にあります事務所にはダルマもないし事務所開き等のイベントの時に紅白の幕もない宗教と政治は別のものとして考えて政治活動をしているようです。

日本一若い知事を目指していたのだが佐賀県知事が44歳で松沢さんより1歳年下であった為日本一若い知事にはなれなかったのだが日本一明るい知事になるとおっしゃっていた。「最大政党」ともいえる無党派層の票のゆくえが今回の次点の宝田氏との差を決定的にしたのです。松沢40%飛鳥田20%田島18%宝田10%朝日新聞

104万594松沢しげふみ67万6534宝田、これだけ候補が立った神奈川県知事選挙で100万票以上獲得したのは松沢さんが初!

告示の2日前に松沢事務所の真横に黄色い看板の田島陽子氏の事務所が出来ました。他にも隣りのとなりに自公保推薦の宝田良一氏の事務所もあります。選挙って誰がどこで見ているか分からないっていうエピソードがあります。それは事務所のまえに中華料理屋さんでの話です。そこで私服警察官が店の中とか店の外とかにいて事務所の人間を見ており、事務所に「ベからず集」という張り紙ができて、そこには金額の大小に関わらず割り勘、ということが書かれていました。

「神奈川力をつくる会」が松沢事務所の名前で「神奈川自立宣言」が宝田事務所でとても似ていると思いました。

選挙期間中駅前で演説する時にのぼりを立てにいくと、自民党の人から野次をいわれた。民主党離党したって民主党のやつが応援演説してるんだから変わらないだろといわれたり。

単純に県議等の数で自民党支持の組織票が自民党に入れば160万票ともいく計算だが今の選挙では組織だけでは勝てないということです。

 

結局は数値目標つきのマニフェスト政策宣言が当選の決め手でありました。神奈川県のベストセラーと言うくらいたくさんの有権者に買ってもらうことが出来たそうです。その他小沢一郎、鳩山由紀夫、藤井裕久、菅直人、もちろん松沢しげふみさんといった有名国会議員の話を生で聞けただけでも今回ボランティアをして貴重な時間を過ごせたと思いました。

 

(1−2) イギリスで見た「イラク戦争」

春休み短期留学の経験から

 

     イギリスメディアの、イラク戦争の伝え方

イラク戦争開戦時、イギリスは真夜中であった。フセイン大統領が亡命しなければ開戦するという時刻を過ぎたあたりまでは頑張って起きていたのだが、なかなかこれといった進展が見られなかったため、就寝してしまったのである。

翌朝、ホストファザーが「戦争が始まったよ」と話していたが、テレビはいつものように子供がアニメを観ていた。特別番組は組まれないのかと疑問に思ったが、開戦直前も予定通り映画を放送している局もあったことを考えると、意外と呑気なのかもしれないと思った。

 

     イラク戦争に対する国民の反応

私が滞在していた街、オックスフォードでは主に学生がデモをしていて、その様子が全国放送で流されるほどであった。とはいえ、あまり規模も大きくなく、実際遭遇した訳ではなかったため、日本で「イギリスでデモがありました」という映像を見ている気分と何ら変わりはなかった。

そう感じた理由の一つに、一般国民の生活の変化の無さが挙げられるだろう。今回のイラク戦争に関し、イギリスは、国民は反対しているが国の決断としては参戦、という風に言われてきた。しかし、「反対」と言っても、多くの国民は開戦前にテレビでブレア首相を見ると‘Ohterrible!’と言う程度のものであった。皆が皆こぞってデモをしたりする、というイメージを持っていたため、少し拍子抜けしたと言ってもいい。

開戦後も、それまでと変わらない生活を送り、人々から聞く言葉も「何で戦争なんてするんだろうね」といったものが多かったように思う。一時は、戦争反対の意を表すために、街中の店を閉めるなどの噂もあったが、開戦から2週間の間に、そのようなことは1度もなかった。

 

     ロンドンで見た大規模デモ

開戦後最初の週末、ロンドンに行こうと考えていたため、ホストファザーや語学学校の先生に、安全面から考えて行かない方がいいのかと尋ねた。すると、空爆なんてことはあり得ないだろうが、テロという面で考えると、生物化学兵器を使われると危ないから、地下鉄は使わないように、というアドバイスをもらった。

そのため、私は徒歩で移動したのだが、大通りに沿って歩いていたら、交通規制が敷かれているエリアがでてきたのだ。なんだろう?と思っていると、道路いっぱいのデモ隊がやってきて、どんどんハイドパークへと入っていった。その規模に驚きつつも、すれ違うデモに参加している人々を見ると、アラブ諸国の人々が多数参加しているのが目についた。

意外と戦争に関して外から見ていると思っていたイギリス人が、大規模なデモをして戦争の中止を求めている姿を見て、民主主義とは何だろうと、また、世界の国々から反対されながら始めた、この戦争の意味は何だろうと思ったのである。

因みにこのデモは単純計算しても、最低3kmはあったのではないかと思う。また、地下鉄、バス、タクシーといった多くの交通機関のマヒに代えてでもデモを行ったことを考えると、その意気込みを感じることができた。この日15km歩いたことでそれを痛感したのである。

 

 

(1−3) オーストラリアで感じたイラク戦争

        オーストラリア短期留学中にイラク戦争を経験したゼミ生より

 

国内の状況

3/20 7:00am        テレビ全局で首相官邸からの首相演説が流れる。

        内容は、この戦争の必要性・正当性や参戦する理由等

 

翌日より    各種メディアはイラク戦争についての特集を報じる。

        内容:  ・戦争状況

             ・参戦しているオーストラリア兵士の詳しい状況

             ・オーストラリア各地での反戦デモ等  

                オペラハウスの屋根の「No War」の文字

                首相官邸前にUN査察用フェイク車の設置

                主要都市にて週末の反戦デモ

                              etc・・・

私がいたのはリゾート地ということもあり、そこまで強く戦争は意識されなかった

が、メディアを通じたり、人と話す中でオーストラリア国民の強い反戦感情を感じた。

また、私が行っていた語学学校でこの戦争についてのディスカッションも行った。

その時の国別の発言は下記の通り

 

ブラジル・コロンビア・・・アメリカは横暴。自国のことを一番であると驕り、やり

たい放題している。

フランス・・・人道に反してる。

スウェーデン・・・国としては中立の立場であるが、個人としては反対。

 

また、日本の姿勢について投げかけらた質問をいくつか紹介したい。

→広島・長崎での原爆投下(知名度はとても高く、驚いた)等の過去があるのにも関

わらず、何故日本はアメリカを支持しているのか。

→イラク戦争は日本が直接関係がないのに何故海外渡航者そんなに減るのか。

 

(1−4)鳩山太郎 〜28歳の挑戦〜

今回、鳩山太郎氏の東京都議会議員再選挙のお手伝いを経験させていただき、感じたことは、人と人とのつながりが本当に大切であり、また、日々の努力が選挙結果を大きく左右するということです。

太郎氏みずから文京区中を歩き回り、丁寧にあいさつをされていたことや、われわれお手伝いも、文京区の方々の家をくまなく訪問させていただき、一枚でも多くの事前ポスターを貼らせていただけるよう、お願いに伺いました。また、個人演説会や街頭演説会も繰り返し行うことで、太郎氏の考えが文京区中の方々に十分に理解されたように思います。その成果も日に日に表れ、選挙運動の終盤戦にもなると、街中から、「太郎さんがんばって!」などという声が頻繁に聞こえてきました。

今後、鳩山太郎都議会議員は、元気いっぱいの行動力と、豊富な発想で、公約にも掲げていた、東京都の教育や環境問題に対して大いに活躍してくれる事と思います。そんな太郎氏の活躍を見続けていくのが本当に楽しみです。

 

 

 

東京都議会議員再選挙(2003年4月13日)

投票の内訳

 

文京区

はとやま太郎

 当選

29,281

小竹ひろ子

 次点

25,419

保坂義雄

 

16,945

合計

 

71,645

投票率(%)

 

52.35

 

(2−1) 第1グループ研究計画  
・政党広告や政府から直接的に我々に伝えられるものではなく、メディアをその二者の間を繋ぐ役割を果たす媒体と定義して追う。メディアの造り出す論調が、支持政党を持たない無党派層にどれほどの影響を与えるのか、ということを、「メディアが投票行動にどれだけ左右するか」や、「政治心理」などといった観点から学んでいきたい。
・また、この間の統一地方選挙を見ても分かるとおり、何故、無所属がうけ、無党派層がこれだけ増えているかなどの原因を追求する。所属政党から離れ、無所属になった人と、無所属で当選したのにもかかわらず、いつのまにか政党に所属していた人の人数を調べ、その原因を調べ、可能ならば、実際の議員の方々に聞いてみたい。
・過去の選挙結果・参考資料や新聞各紙を読み比べ、スクラップしながら、一体、情報の受け手側に何を伝えたいのかを分析していく。
 
<川上先生からの課題>
選挙の際に、「マニフェスト」を提示することが注目されました。「ローカルマニフェスト」という本が出ましたので、ぜひ皆さんで読んで、紹介してください。
ところで、ニュービジネス協議会が、産業活性化と雇用拡大を目指し、政策を作って、政治家にマニフェストとして盛り込むよう働きかけようという動きがあります。いわゆる「イッシューパック」というやつです。もちろん、こういった動きをメディアにも伝え、大きな「世論」を作って、政治家に踏絵を迫っていくわけですが、次の選挙でメディアも注目すると思うので、この作業に実際密着し、意見も出していっていただければと思います。というのは、実は、その戦略を私も担当し、政治家やメディアへの働きかけも行うので。
 
(2−2) 第2グループ研究計画  

−政治による広報宣伝戦略−

『ホワイトハウスの情報戦略』

テレビや新聞、雑誌、インターネット等、様々な媒体から情報を手に入れることの出来る私達の社会にあって、政治とメディアとは切っても切り離せない関係にあります。政権を維持し運営するためには、情報(メディア)戦略は欠かすことができません。強い国の象徴であるアメリカ。その中枢ホワイトハウスは、国民・世界に対してどのように情報をコントロールし伝達しているのか。また、メディア大統領と言われるニクソン、レーガン、クリントンはどのような戦略を取っていたのか。そして現在のブッシュ大統領はどのような戦略をとっているのか。米ホワイトハウスの情報戦略を検証する。また日本の情報戦略とアメリカの情報戦略の類似点、相違点は何か。首相官邸・行政・自治体はどのような情報戦略をとり、米情報戦略のどのような部分を取り入れようとしているのか。各々の情報戦略を照らし合わせ比較・検証する。

 

l         日本の外務省の情報戦略。

l         神奈川県とホワイトハウスの情報戦略。

l         米、情報戦略の日本取り入れの動向。

l         ブッシュ大統領の情報戦略。

l         リーダーシップを発揮する人はどのような情報戦略をとっているのか。

l         日本(首相官邸)とアメリカ(ホワイトハウス)の情報戦略比較。

l         大統領選挙での政治広告とホワイトハウスでの政治広告。日米の政治広告の意味合い。

楕円: White House
(過去 ⇔ 現在)

 

 

 

首相官邸

 

自治体(ex.神奈川県)

 
 

 

 

 

 

行政(ex.外務省)

 
 

 


     石澤靖治「大統領とメディア」(文春新書)を手始めに関連する文献を読む。

     日・米の新聞記事、インターネット、テレビ等からメディアとの関係、利用法を知る。

     新聞社、TV局などに行きメディア側の話や自治体、行政の広報等、現場(生)の声を聞く。

(ワシントン支局長にも話を聞く!?)

 

 
(2−3) 第3グループ研究計画  

《年間計画》

5月〜6月上旬    「川上ゼミ:広告グループ」発足

           ML作り、メンバーの把握・交流

           広告についての基礎知識

           文献研究

 

6月中旬       論文テーマ発表

6月中旬〜8月上旬  論文テーマ検討、会議

           文献研究(テーマの文献/過去の電通論文入賞作品)

※7月 この時期にどこか(ex.公共広告機構、政府広報部)見学を希望

 

8月中旬       論文構成決定

8月下旬       調査企画決定

9月上旬       調査準備開始(アンケート作成、分担、対象を考察)

10月        調査:実施→集計

11月上旬      調査分析

11月中旬      論文分担執筆開始

           何度か集まり内容確認、検討

12月上旬      最終チェック

12月中旬      論文提出

 

《決定している当面の計画》

5月〜6月上旬「広告への基礎知識を養う」

  『広告効果論』                   仁科貞文 著

  『公共広告は社会を変える〜日米ACの歩みとその全貌〜』植条則夫 著

  上記二冊を班内必須読本とし、広告の外枠についての班内の統一認識をもつ。

  さらに掘り下げるのは6月中旬、テーマが発表されてからとする。

  その他、班員各自で広告についての知識を掘り下げることとする。