ソーシャルワーク研究所

−事例検討学習会:「フクロウの止まり木」情報−

2021年12月13日(月)から参加者募集(定員20名)を開始してまいりましたが、2022年1月7日(金)をもちまして終了致しました。多くの皆様から申し込みをいただきました。1月14日(金)までに書類選考の結果をお知らせいたします。

ソーシャルワーカーの学びの空間「フクロウの止まり木」の開設について

ご挨拶

ソーシャルワーク研究所
所長 北 川 清 一

 ソーシャルワーク研究所は、2022年2月からのスタートを目途に、社会福祉の実践現場で働く方々の職種や経験年数、就労に至るまでの経緯の違い等を超えて、「face-to-faceの関係」を重視した学び(事例検討学習会)の機会を準備し、研究所として掲げる「志」を「形」にします。定員は20名程度とし、ゼミナール方式による7回にわたる継続参加プログラムを提供し、これをソーシャルワーカーの学びの空間「フクロウの止まり木」と呼ぶことにしました。
 当研究所の精神的支柱として歩みをともにして頂いている相談役の渡部律子先生とは、2021年3月の研究所オフィス移転を機に、新たなプログラム(チャレンジ)の立ち上げについて話し合いを続けてきました。老若男女を問わず、障がいがあるかないかを問わず、一人ひとりの暮らしを支え、主体的な生き方の再生(treatment)に向けたかかわりに難しさを覚え、疲弊状態にある社会福祉の現場実践者の皆様に、そこから抜け出す方法をご一緒に模索する時間を過ごしてみたいと考えた次第です。「フクロウの止まり木」は、社会福祉の現場実践者の皆様が、「ふっ」と息をつき、日々の緊張感から解き放たれ、この職業の「夢と希望と可能性」を再確認しながら、ご自身を活性化できる「機会」と「経験」の提供を目指します。
 なお、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、第1弾となる事例検討学習会は、オンライン(Zoomミーティング方式)で実施します。多くの社会福祉職の皆様の賛同を頂戴し、「フクロウの止まり木」で是非お目にかかれますことを願っております。



ソーシャルワーカーの学びの空間「フクロウの止まり木」の目指すもの
−専門職アイデンティティの共有のために−

 ローマ神話やギリシャ神話の中で「学問の女神(ミネルヴァ)」として登場する「フクロウ」は、夜行性できわめて慎重な生態を示す動物です。しかも、時代を超えて、多様な生命体が複雑に交差する森の中で安心・安全を覚える「止まり木」を見つけだし、生息する過程で得られた「知恵」を伝承しながら生き抜いてきました。古代の人びとは、そのような生き様を注視し「ミネルヴァ」と名付けたと言われています。この度の皆様への呼びかけは、「フクロウ」の秀でた生態に共感できる仲間と出会いながら、ソーシャルワーカーとしての専門職アイデンティティの何たるかを体感できる「場」となるよう構想してみました。その理由は以下の通りです。

 厚生労働省(担当専門官)が、2021年度から実施された社会福祉士養成カリキュラムの改定作業の必要性を言及された際に挙げた課題の一つに、社会福祉士の専門性の「希薄化」「脆弱性」を指摘した事実があります。しかも、これまでの行政説明と趣を変え、社会福祉士とソーシャルワーカーを使い分けずに同一線上に位置づけ(このような政策変更に至った説明はないままです)、自ら提示した課題の重篤性を論じました。そして、同時にスーパービジョン体制の強化を図ることの必要についても強調されました。
 そこには、この「国家の試験」が法律用語として規定した「相談援助」を担う人材養成に重きを置くことで多くの社会福祉系大学が主体性と自律性を見失い、さらに「金太郎飴のような授業」とも揶揄されたソーシャルワークの教育と研究のレベルに帰すべき課題が横たわっていると考えます。そして、このような問題構造が放置される中で、新たに考えらなければならない課題が浮上しています。多くの有為な人材が、燃え尽き傾向や業務過程で生じる多様なタイプの「揺らぎ」を解消できないまま離職したり、関連法に規定された業務を超えて「一歩前に踏み出す」仕事から「身をずらす」傾向が顕在している実態がそれです。久しく唱えられてきたスーパービジョン体制の強化を繰り返して説いても実態に大きな変化はなく、そのため、些か虚しさを覚えなくもないように感じます。
 「フクロウの止まり木」は、社会福祉実践に携わる皆様が「ふっ」と息をつき、日々の緊張感から解き放たれ、この職業の「夢と希望と可能性」を再確認しながら、ご自身を活性化できる「学びの空間」になることを目指します。そして、実践現場で顕在している諸課題と向き合うにあたり、スーパービションが強調する「教育的機能」の見直しから始めることを提案します。これまでと異なる切り口(viewpoint)から、支援領域の違いを越えて「現場実践で体感する多様な事象の深層を理解できる能力」を育み、その成果を実践に移す「学びの空間」に是非ともご参加下さい。



【 開催概要 】

第1弾の事例検討学習会(全7回)は、2022年2月〜5月の期間にオンラインで開催します。
参加者の募集期間は、2021年12月13日(月)〜 2022年1月7日(金)です。

  • 第1弾のテーマ ソーシャルワーカーとして成長を続けるために
            −「内省的思考」の方法とその意義−
  • 企画・講師   北川清一/渡部律子/堀越由紀子

※事例検討学習会への参加は書類選考となっております。募集要項はPDF形式、参加申込書と事例提出用紙はWord形式で掲載しておりますので、希望される方は下記よりご覧下さい。

募集要項(PDF形式)
参加申込書(Word形式)
事例提出用紙(Word形式)



「フクロウの止まり木」に参加を希望される皆様に
ソーシャルワーク研究所から贈るメッセージ

■渡部律子
 社会福祉職として成長する上で有効な方法が「省察的実践」「内省的実践」と呼ばれるものです。省察が「反省」と訳されることもあり「自分一人で振り返る孤独な作業」と受け取られたりします。そのような振り返りも必要ですが、今回は、お互いの成長を目指した仲間や私どもと交わりながら、自身の実践を振り返ることで、ご自分の中に蓄積された「実践知」「経験知」を状況に応じて柔軟に応用できる経験の機会にしてみましょう。

■堀越由紀子
 現代社会は、ソーシャルワークの理念に近づこうとするほど実践者がジレンマを抱えやすい状況にあります。それらを一身に引き受けたら私達は潰れてしまうかもしれません。さりとて、安易な対処は私達を「ソーシャルワーカーらしさ」から遠ざけます。私達には、今あらためて人と環境と両者の相互作用を深く理解し、実践における凛とした基軸を備えた支援者であろうとする意志と行動が求められています。そのような前提に立ち、仲間と共に、安全が担保された場で各自の実践内容の諸要素を丁寧に振り返り、これまでの経験や学習の蓄積によって獲得できたものを呼び覚まし、活用することから始めてみましょう。

■北川清一
 今回の学びで修得したい「ソーシャルワーク感覚」は、まず、ソーシャルワーカーの中にも気がつかないまま埋め込まれている「ハビトゥス(habitus=無意識的な行動・知覚・判断の様式のことです)」を自己分析し、その結果を冷静に見つめ、修正できるようになることを求めています。そのことによって自覚できる主観的な「ものの考え方や行動の型」は、「ソーシャルワーク理論(クリティカルな思考=critical perspective)」によって揺り動かされ、あらたな「ソーシャルワーク感覚」が覚醒される機会になると考えます。

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