● シラバス ●

刑法総論(基礎Aコース)

豊島 住夫

(1)授業概要

  全10回で、違法論を中心として組み立てられる刑法総論の考え方を説明しながら、基本的な論点の解説を行う。
大学入学までは、主として定説・通説に基づく結論を記憶するという勉強をしてきた新入学生にとって、学説の対立があり、自ら主体的に自説を確立し(なければならない)、かつ、自説を法論理的に説明することができる力を身につけるという大学で学ぶべき最も大切なことに戸惑いがあるように思われるので、初回から3回程度は、比較的時間をとって、大学で刑法という論理的枠組みを大切にする法律科目を勉強するための架け橋となるような法的問題を解説し、その後、法科大学院進学や各種国家試験で問われる主要な論点に関する解説講義を行う。
 講義では、各種試験の学習をするにあたって、基本となる知識・論理的思考力を養うものとして最も適切な試験問題であると考える旧司法試験の短答式問題を中心に、各種試験の実際の過去問を用いて、具体的に当該論点がどのような試験問題とされるのか、その聞かれ方とレベルを示すことを予定している。

(2)学習目標

  “学説の理解”を前提に、各論点を体系的に整理することで、試験に合格する上で不可欠な知識を定着させ、また、未知の分野、手薄な分野であっても、大筋での解答の方向を誤らないで済むことができるようにするための理論的基礎を身につけることを目標とする。

(3)授業計画

第1回  大学での勉強の仕方、法的議論の仕方、学説の対立
第2回  刑法の基本的機能刑法の基礎理論(新派刑法学と旧派刑法学の対立)
第3回  罪刑法定主義 刑の変更 刑の適用範囲
第4回  実行行為 不能犯
第5回  因果関係 未遂
第6回  構成要件に関する事実の錯誤
第7回  違法の本質正当防衛
第8回  緊急避難 正当行為
第9回  責任の本質 責任の要素(責任故意の肯否、違法性の意識の要否)
第10回 違法性に関する錯誤

(4)教科書・参考書

教科書:講義には、レジュメを配布・使用し、教科書は特に指定はしないが、基本となるテキスト選びに迷いがあれば、大谷實『新版刑法講義 総論』(成文堂)を勧める。
参考書:判例解説としては、前田雅英『最新重要判例25 0』( 弘文堂) を勧める。各箇所で取り上げる判例が扱う論争点の解説が極めて簡潔にまとめられている。
また、刑法総論の論点について、より深く学びたい学生には大塚裕史『刑法総論の思考方法』(早稲田経営出版)を勧める。

(5)授業に向けての準備・アドバイス

  予習は必要ないが、学んだことの理解を深め、記憶を定着させるために復習が有用。
 交通機関を利用して通学している学生は、帰りの電車、バスの中などの短時間で良いので、配布したレジュメを読み返すなどし、また、レジュメに掲記した演習問題に取り組んでもらいたい(演習問題の解答・解説書は、国対室に備え置かれている。)。

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