<地域のニュース 午前−6>     1999年(平成11年)2月16日(火)

「漁業権放棄に疑問」熊本一規氏が講演 本渡市

 天草の自然保護団体や市民グループが今月結成した「本渡の海(干潟)をまもる会」(代表=海秀道・東光寺住職)が十四日夜、本渡市の佐伊津町公民館で記念講演会を開催し、現在の漁業権放棄の問題点などについて学んだ。

 同会は県が計画している本渡港マリンタウン計画に反対し、干潟を守ろうと結成した。講演会には約八十人が参加。漁協組合員や市議六人も出席するなど同問題に対する関心の高さをうかがわせた。

 明治学院大国際学部教授で漁業権問題に詳しい熊本一規氏(49)が「海の守り人」と題して講演。

 同教授は「漁業権については誤解がまかりとおっている」と前置きし、「漁業補償は埋め立てなどで生じた経済的損害に対する補償であり、漁業権の対象は漁業者だけにとどまらない」「ある海域を埋め立てる場合、漁業権放棄にはその海域に漁業権を持つ全員の同意が必要。三分の二以上の賛成で決議するだけでは有効でない」と指摘した。

 このことから先にマリンタウン計画に絡み漁業権放棄を否決した本渡市漁協の手続きに対しては「埋め立て海域で漁をしない人が総会に多く加わっており、関係者全員の同意も得られていない。判例から考えても疑問が残る」と述べた。

【写真】 漁業権について解説する熊本氏=本渡市佐伊津町公民館





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