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「消費情報環境法」という学科名の由来

明治学院大学大学院
法務職研究科(法科大学院)長
京藤哲久先生


 

1 消費情報環境法学科が発足して10年になる。喜ばしい限りある。
 私は、たまたま学科を立ち上げた前後に法学部長の職にあったということもあり、消費情報環境法学科にはとても深い思い入れがある。この学科は、いろいろな点でとても個性的でユニークな学科であったし、今でもそうだろう。
 10周年に際して、消費情報環境法学科のWEBページのため一文を求められたので、少し、思い出を綴ってみたい。


2 発足当初の消費情報環境法学科のユニークさは、次のような点にあらわれていたと思う。
 専門科目群には、他の法律系の学部、学科にはみられない大きな特徴があり、学科新設に際して、いろいろな意欲的な試みができた。数え上げるときりがないが、民事法系の科目をきわめて重視した制度設計、消費者法部門の充実はいうまでもないる。また、専門科目のなかにある「リスク管理と制度設計」などは、10年前に、すでに「リスク管理」の重要性に着目してこれを科目化したということで、かなり野心的で、先進的な試みだったといえるだろう。「国民生活センター」の方にお手伝いいただき、臨床教育に近い授業を展開している点も、法律系の学科としてはとても意欲的な取り組みだったのではないか。
 学科の学生全員にノートパソコンを全員に必携させ、情報収集から文書の加工・処理にまで目配りした法情報処理にも並々ならぬ力を入れた。教材をCDで配付した試みも当時としては先進的だった。10数年前、文科系の学科で全学科生に教材をCDで配付した例はまだ少なかったと思うが、当時、CD作成のため複製機を所有しているところは、あったとしても極めて少なかっただろう。かなり膨大な資料がいれられるが、教材にはTHE ALFEEの事務所と交渉して、明治学院大学校歌のALFEEバージョンの教材CDへの掲載許諾を得る交渉をし掲載したのも、著作権についての良い勉強になったことを思い出す。当時、副手として学科をサポートしていただいた森山裕紀子氏に事務所とのやりとりをしていただいたが、彼女は、現在、弁護士として活躍している。学生とともに、教職員も、この学科への関わりを通じて成長して行ったという一つの証しだろう。教室では、メールを用いて、出欠の確認、レポートのやりとり、添削をするなど、ノートパソコンは有効に活用できた。ネットへの接続は、最初は、皆、悪戦苦闘したのだが、自分でやってみて解決して行くなかで、情報リテラシーが自然と身についていったのではないかと思う。年齢的な問題が関係するのか、教員が習熟に一番時間がかかったような印象が残っているが、いつの時代も、そんなものだろう。
 学科を構成する教員についても、これまでにはない試み文科系の素養をもつ教員と理科系の素養をもつ教員とが一つの学科を構成し、学科の「専門科目」を支えている点でも、ユニークな存在である。今でこそ、大学院レベルでは、こうした融合的な教育大勢を備えたところは珍しくはないが、少し先を進んでいた。


3 消費情報環境法学科設立当初の理念がどのようなものであったかについて、少し、触れておきたい。
 「消費情報環境法」学科という長い名称になった責任は、当時、学部長の職にあった私にある。この名称で何を考えていたのかということは、消費情報環境法学科の学生、教職員の方々のレゾンデートルにもかかわるだろうから、この点にいささかなりとも触れておくことは、私に期待された役割でもあるだろう。もちろん、名付け親としての愛着はあるが、学科の発展に伴って、理念の確認、再構築がなされ、将来、学科の名称が、実体をより相応しく表現するために変わるということはありうることだろう。そのような場合でも、進取の気概のある人材を社会に送り出すというDNAは受け継がれて行くと信じている。


4 消費情報環境法学科を設置したときの学科設置の趣意書の下書きが手もとに残っているが、以下のような文章で綴られている。
 「近年の情報インフラの急速な整備発展は、社会に大きな便益とともに歪みももたらしたが、その結果として、社会のあり方が大きく変容してきている。そして、情報の優位性が社会における人間関係のあり方に大きく影響を与える場面が増大してきている。」「そのなかで、個人が、社会における責任ある主体としてその社会的責務を果たして行くためには、変容し続ける情報環境に適応して、個人の側から積極的に情報環境に働きかけて行くことができるような情報技能を備えたアクティブな社会人になることが求められるにいたっている。・・・」「人は、誰もが消費者としての側面を有しており、人は、消費者として、企業、あるいは、物、サービス等の商品に向き合っている。この消費者を取り巻く環境は、これを一括して「消費情報環境」として捉えることが可能である。現代の社会における情報インフラの整備、科学技術の急速な発展、そして消費者に提供される物、サービス、情報の大量化、多様化は、この「消費情報環境」を一変させている。」「その結果として、人々が消費者として生活して行くためには、この激変する「消費情報環境」の変化に対応しうる最低限の情報技能を備えることが必要であるとともに、この生成途上にある消費情報環境にかかわる法についての理解を深めることが重要になっている。また、社会的に見ても、このような情報技能と法知識を兼ね備えた専門家が人々をサポートしてゆく体制の整備が求められている。」「そして、「消費情報環境」が大きく変貌した現代社会にあって、法のあらたな局面としてこれまで注目されてきたものは、ほとんどすべてが消費者問題と直接、間接に関わりをもつにいたっているという意味で、消費情報環境にかかわる法のすそ野は広がっている。すなわち、現代の消費者の生活スタイルは、企業活動に強く規定されているという意味で、企業活動に関わる法制度と深い関わりをもっているし、また、消費者の生活スタイルが地球環境に無関心ではすまされなくなっているという意味で、環境に関わる法制度とも深い関わりをもっているし、また、消費者が商品、信用を通して関わりをもつ市場自体が必然的に国際化し、あるいはまた、サイバネーション化して行くなかで、国内法のあり方のみならず、諸外国の法制度のあり方、そして諸国の法制度間の衝突の処理のあり方も我々の消費生活と深い関わりをもたざるをえなくなっている。」

 あらためて読み直すと、情報環境という視点で人間社会のあり方、法制度の再構成を試み、その際のチョイスとして、「消費」に焦点を合わせて全体を眺めようとしていたことがわかる。「消費」「生産」「流通」は社会の再生産の基本的な構成部分であるから、情報環境という視点からは、消費情報環境、生産情報環境、流通情報環境という組みあわせもあっただろうが、明治学院大学の学風からは、「消費情報環境」という組みあわせがふさわしいと考えていた。
発足当時の見解としては、「消費情報環境法」という語は「消費」に関する「情報環境」の「法」と読まれることを意図していたということになるだろう。

5 新しい学科をつくるというのも大変な事業だったが、これを維持・発展させて行くのはもっと大変なはずで、私としては、日頃、着実な教育努力を積み重ねてきた消費情報環境法学科の教職員の方々のご努力、学科生の勉学へのたゆまぬ努力に、これまでも深い敬意を払ってきたし、学生と教職員が協力して、これからもさらに発展して行くことを大いに期待している。
 学科の特徴からか、毎年、パソコンに詳しい知識のある学生がはいってきていたので、設立当初から、パソコンに詳しい学生に手伝ってもらって、教材を作成していたし、大いに助けられた記憶があるが、そのような教職員と学生が協力して学んで行く条件を備えている学科だろう。


6 最後に、私も、同学科で培った法情報処理の知識を使って、自分なりに工夫して、今でも、公文書、判例、法律の研究に役立てている。コロンブスの卵のようなものだが、自分にとっては、おおいに時間を節約できているので、一つ紹介しておこう(紙の本にするわけではないので、こうしたものが入れられるのがうれしい)。

 次のものは、最後は手作業で修正することをある程度予定しているものだが(機械まかせで修正できないと、使えるかまったく使えないかのどちらかになってしまい、かえって使いにくい)、勉強を効率よく進めることができるだろうし、パソコンの威力を感じることができるだろう。

 エディターとアウトラインプロセッサーの機能をもった「WZ6」というソフトがある。このソフトの、「検索」→「グローバル検索」→「置換ツール」として開かれる部分に、以下のものを貼り付けて、条文や判例、公文書に対して「全置換」をすると、勉強の効率化に少しは役立つだろう。 アウトラインを見ることができるようにした状態で、「法令データ提供システム」から適当な法律をコピーしてきて実行してみると、私の意図していることが理解できるだろう。在学生の方の勉強にも役に立つのではないかと思う。加工して、もっと使い勝手がよくしたときには、是非、教えて欲しい。

 こんなことができるようになるというだけでも、日常の仕事をするうえでは大いに役立つ。教師と学生のやりとりのなかで自分の能力、資質は高まって行くものである。
 進取の気風に富んだ高校生が一人でも多く、消費情報環境法学科で是非学ぼうと考えてくださると良いなと思っている。できることなら、志を立てて、更に、今、私が勤務している明治学院大学の法科大学院に進学してきてくださると、もっとうれしい。


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.公文書
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.最高裁判例TKC
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.最高裁PDF->TXT
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^理由 .理由 16777216
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.条文
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