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消費情報環境法学科の創設期に参加して

中央大学法科大学院 執行秀幸先生


 

 消費情報環境法学科設立10周年おめでとうございます。
 私は、消費情報環境法学科設立と同時に、消費者法、民法担当の教員として、明治学院大学に赴任しました。赴任に先立ち、京藤先生から消費情報環境法学科のコンセプトをお聞きしたときに、このように応用的なものを学ぶより、もう少し基本的なことを学んだ方がよいのではないかと話したのを覚えています。このように、私自身、この学科の意義について、十分に認識していたわけではありません。しかし、今日、消費者庁ができ、しかも、地球温暖化が重要な問題となるとともに、排出権取引が話題になり、コンピュータは以前にもましてなくてはならない存在となってきました。しかも、消費者私法を民法典の中に取り込むべきかが問題となっています。さらに、法科大学院の出現で、法学部の存在意義が問われています。そのような状況からすると、消費情報環境法学科の先見性は明らかです。
 たしかに、実際に、消費者契約法・特定商取引法等を教える際に、それらを理解するには、民法の理解が必要で、教えることの難しさを感じたこともあります。しかし、振り返ってみますと、製造物責任法等は、受講生が多くなかったこともあり、かなり高度な内容を詳しく、しかも双方向でやりましたが、ほとんどの学生が熱心に参加してくれ、その中の一人が面接で製造物責任について議論をして、ある会社の法務部に受かったと聞いたときにはうれしく思いました。ゼミでも、消費者法について、それぞれのゼミ生が1年間研究して、ゼミの論文集を刊行しました。皆、興味をもって熱心に勉強し議論したものだと懐かしく思っています。民法そのものですと、資格試験で必要だというような場合でなければ、なかなか興味をもって勉強することは難しいのですが、消費者法にあっては、ほとんどの学生が興味をもって学ぶことが可能です。今から思いますと、高度な内容と思ったのは教える側の話で、もう少し、そのような予断を持たず、授業をやればよかったと思います。
 この十年、多くの優秀な先生方を迎えられるとともに、絶えず、改革の努力がなされて、現在では、明治学院大学の消費情報環境法学科は法学部系における先端的な分野の学科としては、最も成功しているのではないでしょうか。そのような学科の創設期に参加させていただいたことを、大変、名誉なことと思っております。

 今後、消費情報環境学科が、ますます発展をされ、十年後には、明治学院を代表する学科となるものと確信しております。