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1998年9月26日,チュラビスタにあるヤマト学園で サンディエゴ・ティファーナ日本人会主催のセミナーがあった。 色々ためになることを聞いた。私にとって,必要な部分だけを整理し,私のコメントを含め,ここに載せた。 あくまで自分が大事だと思ったことを載せているに過ぎない。 したがって,文責はこの私にある。が,この記事を過度に信用してもらっても困る。 そう私は専門家ではないからである。参考の一助となれば幸いである。

サンディエゴ警察(緊急電話:911)

日系人の警察官(Officer)「コスギ」さんが体験談を交え,お話をしてくれた。
まずは防犯対策から。

「他人が来ても,簡単にドアを開けない。相手を確認して,ドアを開ける。」

田舎育ちの私にとってなかなか難しい。 隠し窓から見る癖はなく,ついつい私は開けてしまう。 日本にいる時も,見知らぬ人の訪問で何度開けただろうか? 

「周りを良く見る。後ろにも注意する。暗がりは特に注意する。 夜間どうしても歩かないと行けない場合,沢山の人数で歩く。」

東京で働く私にとって,これはさほど苦労はしない。 危険なところには足を踏み入れたくない自分を知っている。

「ホームレスには注意すること。余り人を信用してはいけない。」

サンディエゴのダウンタウンには多くのホームレスがいる。 今のところ,危険を感じたことはない。

次に,警察の状況について話された。
日本であれば,110番すればすぐに警察官がやってきてくれる。 しかし,サンディエゴでは「警察はすぐに来ない」と「コスギ」さん。

「人口1000人に対し,警察官1人の割合です。」

日本よりかなり少ないかも? 詳細な数字は知りませんが。 911番の順番ではなく,「その事件の危険度に応じていく」 というのがアメリカ流のようである。 だから,泥棒が入っても,そこに今泥棒がいなければ, 直ぐには来ない。しかし,極悪な泥棒がいれば, 直ぐにやってきてくれるということである。

 来て直ぐの人が多く,運転の注意もしてくれた。 運転をするときは,以下の書類が必要であると知らされた。
 @ 免許証
 A パスポート
 B 自動車登録証
 C 自動車保険

病院
サンディエゴで,一,二を争う大病院(Sharpグループ)のシステムが紹介された。 我家の近くにも,クリニックや病院がある。 が,今のところは,違う病院(Mercyグループ)にかかっている。 というのも,私たちの旅行障害者保険(12ヵ月もの)が 違う病院を紹介してくれたからである。
まあ,それはさておき,数名のスタッフで,アメリカの病院・保険事情を紹介してくれた。

○病院へのかかり方
 @予約センターに電話する。
 A予約の時間に行く。
 B保険カードを出す。
 Cコーペイ(診察料)を払う。
  診察の場合,5〜10ドル。入院,急患,時間外はそれ以上,様々。

これを聞いた時は,全然イメージが沸かなかった。 その後,何度か病院に通う度に,わかってきた。
我家では,まず,旅行障害者保険のサービスセンターに病気の旨を電話連絡。 紹介してくれた病院に直接出向く。 受付で「空きがないか」聞く。 だいたい「ちょっと時間がかかりますが」と言われる。 「待たせてもらいます」と言って,待つ。 長いときは2時間くらい待ったことがある。 日本でも長いときは待つし,余り苦痛に感じたことはない。 その間に,受け付け表などに色々書かせられる。 結構,これが面倒である。 海外旅行者保険のカードを提示し,コピーを取ってもらう。

○薬のもらい方
 @医師から処方箋をもらう。
 A薬局へ行き,処方箋を出す。
 Bコーペイ(診察料)を払う。保険でカバーされない場合もある。

初めて処方箋(description)をもらった時,驚いた。 日本風に言えば,メモ用紙に書かれただけのものであった。 とりあえず,近くの薬局へ。Rite Aidに行った。 調剤のために,小1時間かかるとのこと。 病院の近くの薬局だったので,ちょっとまずかった。 最近は,家の近くのVons(スーパーマーケット)とかでも取り扱っているので, そこで買っている。時間の有効利用ができるから・・・・。 ちなみに私たちの持っている海外旅行者保険では,薬代はまかなえないので, いつも薬代を払っている。

○Sharp病院の特色
 日本語での予約,予約のキャンセル,再予約,通訳の派遣,電話での通訳。
 月曜日〜金曜日
  午前8時から午後5時まで
  午後5時から午後9時まで:急患(Urgent Care)扱い
 週末
  午前9時から午後5時まで:急患(Urgent Care)扱い
 日本語センター 619-636-2953
 診察料:1回50ドル,通訳料1回50ドル
  会員料金:年会費75ドル,診察料30ドル

日本人にとってはとてもありがたい病院である。

○医療のシステム
 @一次医療 Primary Doctor
 A特別医療 専門医
 B病院医療 入院前の患者,入院患者

先日,病院で待っていたら,救急隊が中に入ってきた。 隣の人に「ここは病院ではないのですか」と思わず聞いた。 隣の人は「ここは診療所(クリニック)です。病院ではありません」と答えた。 そっか,病院と思っていたが,ここは診療所だったのか。
医者も専門的に診てもらう場合には,専門医を紹介する。 私たちもその病院に行った。市内の大きな病院であった。 恐らく,これが特別医療になるのかな?!
救急隊が連れていった患者は,市内の病院に入ったということを 後日,その奥様に聞いた。

○医療保険のシステム

@ 海外旅行傷害保険(OTAI)
持病は保険外。6ヶ月の治療が限度。支払いは,全額,保険会社。健康診断は保険外

A 優先医療機関(PPO)
指定されたリストから医師を選択。専門医の診察。支払いは,8割が保険会社。

B 健康管理機関(HMO)
指定されたリスト医師を選択。主治医の紹介による専門医の診察。支払いは,全額,保険会社。 但し,コーペイ(診察料)をのぞく。

教育環境

日本とアメリカの教育システムの違いについて話された。 私にっては,とても興味深い話であった。

冒頭から,アメリカと日本の教師の違いについて話された。 多くの子弟を抱えた親御さんが来ていたからである。 アメリカの教師の責任範囲について,ビシッと話された。 アメリカの教師は,基本的に授業時間だけ責任があることが話された。 休暇中などは責任がなく,保護者に責任があることが話された。

この話を聞いた時,あまりイメージが沸かなかった。 というのも,私たちには,現在,子どもがいないからである。 現場の高校を訪ねたときに,鮮明になった。 教師は,教科内容のエキスパートであるという事実をそこで目の当たりにした。 日本では,教科内容のエキスパートであり, なおかつカウンセラーであることを期待されている。 更には,躾までも負わされようとしている。 アメリカでは,学校と家庭の役割関係がハッキリしている。 躾は家庭,教育は学校。 心の悩みはカウンセラー。

アメリカにいる日本人の生徒に勧めたいこととして,以下のことが話された。

「日本人の生徒は,自己主張をしよう。」

どうも多くの日本人の生徒は,自己主張ができないようである。 では,私はうまくできているのか。 いやいや,私だってうまく自己主張ができない一人である。 30数年の柵が・・・・。
日本人にとって,この自己主張はなかなか難しいと私は思う。 というのも,色々な授業に出てみたが,自己主張は言いたい放題とは違う。 そう,わがままな主張ではないのである。 まずこの認識がずれていては困る。責任のある主張である。
日本人はとかく回りを気にする。 「親が・・・」「先生が・・・」 実は,自分の意見を持っているが,それを隠したがる。 それは周りとの細波を避けたいからである。 常に責任を他の人に転嫁した状態で発言する。 なぜこのようになるのだろうか。 それは,日本では,その人の意見が,その人の判断材料となることがあるからである。 つまり,授業で意見が対立すれば,人間関係までも対立してしまうことがよくある。 アメリカでは,私の見た範囲では,授業での意見と人間関係は一致していない。 アメリカでは,日本よりも個々の人格が尊重されているのである。 日本では,中途半端な個々の人格しか尊重されていないので, 自己主張ができにくくなっていると私は思う。 責任を他の人に転嫁した状態で話すことが, 日本人にとって安定した状況なのである。 だからいつまで経っても,更なる個々の人格に進むのが困難な状況である。

日本とアメリカの優等生を比較して,次のようなことを話された。

「日本の優等生は黙っている。アメリカの優等生は積極的に参加する。」

これまで,高校や大学の授業を参観してきたが, はっきりとは分からなかった。 ただし,どの生徒も積極的に参加していると感じた。 例えば,よく発言する,ボランティア(代表で何かをやる人)をする。

中学校まで,私は,よく発言をしていた。 だって,聞いているだけではつまらないからである。 嫌な授業だって,積極的に関われば,時間も早く過ぎるしと思っていた。 高校入学してしばらくよく発言をした。 しかし,発言をすると, 回りが「あいつ,何,目立っているの?」という視線を投げかけてきた。 段々,授業で発言できなくなった。 黙々と聞くことに次第に慣れていった。 大学の授業はほとんど受身だった。 益々,発言できなくなっていく自分をそこでは発見できなかった。 偶然入ったサークル活動でうまく発言できない自分を発見した。 私にとってそれは僥倖だった!
でも授業では相変わらずだった。 大学院の授業で,「何か意見ありますか」と 先生方が私たちに聞いても,余り答えなかった。 長年の慣習というのは恐ろしいものである。

思春期を持つ親御さんにいくつかのことを話された。 「俺には関係ないな」とボケーッとしていたつもりが, いつのまにやらメモをとっていた。 職業病だよな,俺も!

「地区によって学校段階が異なる。 学校段階にあったしつけをしてください。」
「子どもと大人の中間。彼らは,ホルモンのバランスが崩れるので, 気分の浮き沈みが激しい。親に反抗することもあります。」
「反抗期は反抗しなければいけない時期。 親の理解が重要です。 自分たちのものを見るフレームを少し広げてください。」

アメリカは,日本のように画一化されていない。 ある学校区では,小学校が5年までしかないところもある。 日本で小学6年生だからといった考えで, 子どもと話すと思わぬしっぺ返しを受けると言っていた。 「郷に入っては,郷に従え」か!
思春期の子どもは扱いにくい。 自分の思春期を思い出してもそうである。 確かに,1年間に10センチも身長が伸びれば, 見る世界も変わってくるだろう。 いかんせん,心の方はそう簡単に成長はしない。 アンバランスになるのはしようがない。
反抗期,人はそれを忌み嫌うが,それによって成長している部分もある。 親の受け止め方は重要であろう。 でもどうして良いのかは余りよく分からない。 間口を広げるね・・・・・。

間口を広げることに関して, 以下のようなことを話された。

「アメリカの父母は,子どもに自分の意見を表現できるようになって欲しい。 日本の父母は,子どもに言うことをよく聞く子になって欲しい。」

まあこの辺に,日本人の問題点が隠されているようですね。 親が受け止め方を知っているということは良いことだと思います。 だから自己主張もできるのですよね。 反抗期の時もできるかぎり真摯に聞いてあげるのが一番か??! でも難しい。

特殊教育についても,話がなされた。 日本の場合,障害者用の教育と定義されがちである。 アメリカの場合は,学習障害,情緒障害を持っている人々のための教育を指すようである。 ちょっとこの辺についてはもっと調べておきましょう。
1974年の法令で,ハンディキャップで差別をしてはいけないことになったようです。 学習障害についても,日米間でギャップがあるようです。 日本では,知的障害,精神発達遅滞と捉えられることが多いようです。 アメリカでは,知能はあるが,いくつかの技能が劣っていることを指すようです。 例えば,情報処理がうまくできないなど。 私も,ピアノがうまく引けなので学習障害かもしれません(ハハハ)。 英語が読めない場合,ナレーションを,時間を,専門の先生をといったチョイスができるようです。 が,このことは実際には見ていません。現実はどうなのでしょうか? まあ,学習障害については,かなり広義に使われているのだと思います。

後半に以下のような話があった。

「子どもに無理をさせない。 親のエゴで子どもに無理をさせることがある。 優先順位をつけることが必要。」

確かに,あれもこれもといってしまいそうである。 歩んできた道を振り返るのは早いが, 実際に歩む時は大変な労力がかかる。 小学生の時に,そろばんと習字を習っていた。 そろばんは週3日,習字は週1日。 なんかすごい毎日だった。 2年くらいそういう日々を過ごしたのではないか。 まあ親のエゴでやったのではなかった。 そろばんはしたいといった気がする。 まだ電卓もさほど普及はしていなかった時代だ。 そろばんは重要な資格だった。 でも自分の限界もよく知っていた。 暗算ができないのだ。「やめたい!」と言った。 親は何も基本的に言わなかった。

会長の話

日本人会の会長のお話があった。良い話しであった。

「24年前,インスタントラーメンがなかった。 スパゲッティーをゆで,ラーメンに。」
「身振り手振りでがんばった。 会社人間で,家でも言葉が分からなくなった。 家族としてどのように生活するか。 サンディエゴは日本と同じ生活ができる。 異文化を経験して欲しい。」