pmjs 日本語版 18(2004.08.12)

*天照大神の性別
*新刊書(フランス)
*J.L.Pierson(万葉集研究者)
*教員募集、ハイデルベルグ大学〔ドイツ)
*三十六歌仙
*学会のお知らせ(ハイデルベルグ大学)
*『日本書紀』『元享釈書』の翻訳
*『日本仏教総合研究』最新刊
*新入会員紹介、所属変更など会員消
*フランス語訳『狭衣物語』

もしオフリストで質問者に直接ご返事頂けるときは、それぞれのメールア ド レスに直接返信して 下さい。その他の返事ならびに質問などはwat...@...eijigakuin.ac.jpに送って下さ い。英訳します。

メールの総数: 31通
期間:2004年7月15日 - 8月6日
リンクなどは最後にあります。

---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 15 July 1984 02:52:00 +0100
From: Melanie Trede <.......@...sino.uni-heidelberg.de>
Subject: 天照大神の性別

皆様。

書記化された資料や絵画化された資料における天照大神の性別についての質問です。B・M・ボダルト=ベイリー著"Kaempfer's Japan" (p. 462, footnote 9) に書かれていらっしゃいますが、『日本書紀』では天照大神は女性だと記されていて当時一般にこう思われていたようですが、ケンペルは、天照大神は男性であった、と終わりまでしています。

天照大神の描写は、江戸期の八幡や春日大社(三社神系)などとの描写ともあいまって、性別が不分明です。少なくとも、私にはそう見えます。が、若い男性を描写しているとも受け取れます。英一蝶の絵などを参照して下さい。(小林忠『英一蝶』至文堂『日本の美術』260、1966)

明治期の天照大神の絵は、しかし、はっきりと女性として描かれています。(松本楓湖の1908年の絵画、広島県立美術館蔵)。


どなたか、具体的にはいつ、天照大神の性別の転換があったかということについてご存じの方はいらっしゃいますでしょうか。(すなわちこれは、17世紀後半のケンペル以前ですが)、今度はいつまた女性に転換したのかなど(例えば、国学の影響、明治イデオロギーの結果など)。

ご教示よろしくお願い致します。
melanie trede

******************************
Kunsthistorisches Institut
Abteilung Ostasien
Seminarstr. 4
69117 Heidelberg
GERMANY
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BA67607991
*******************************
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 14 Jul 2004 19:33:30 -0800 (AKDT)
From: Josh Badgley <.......@...zer0.gi.alaska.edu>
Subject: 天照大神の性別

太陽神は、もともと様々な神の合体であり、それが天照大神(別名オオヒルメムチノカミ、アマテラスノ・オオカミ、アマテラス・オオヒルメノ・ミコトなど)という人格神として形成されたという印象を持っていました。が、それぞれの地域の慣習に倣って太陽神(男性神)を崇拝したようです。

残念なことに、今これを証明する資料などを思い出せませんので、どなたか、賛否どちらでも、論証していただけると有り難いです。

基本的には、既述しましたように、太陽は日本国中で崇拝されましたし、その祖先の一つが統一の覇権を握り(皇統)、彼らの太陽神が崇拝の中心に祭り上げられたわけですが、地域地域によって性別は、男性であれ、女性であれ、一定していました。

日本語では、一般に男女の区別が代名詞や叙述にそれほど反映しないので、天照大神が単に'kami'ではなく 'he' であるか 'she' であるかという問題が起こりにくいのだと思います。

好奇心からですが、どなたか、今日の日本において、天照大神が男性神として存続しているという例はご存じでしょうか。あったとしても驚きではありませんが。
-Joshua B.
--------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 15 Jul 2004 11:09:37 -0400
From: Lawrence Marceau <.....rc...@...l.edu>
Subject: 天照大神の性別

Joshua Badgleyのご意見に賛成です。天照大神は様々な役割のための異なる幾つかの神々の混態です。資料など今手元にありませんが、本地垂迹においては、天照大神が、(おそらくこれも性を超越した存在だと思いますが)大日如来に同視せられています。

あのとても面白い『広益俗説弁』(井沢蟠竜ー長秀ー、『東洋文庫』503,平凡社)に幾つかの問題点が取り上げられています。日本史において天照大神の性別が転換し、また戻ったという概念は当たらないと思います。おそらくある宗派は太「陽」神が女性神であるという概念に抵抗感がある一方、別な宗派は『書記』やその他の記述に忠実で、明白に天照大神を素戔嗚尊の姉としているのだというのが現実だと思います。

Lawrence Marceau
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Fri, 16 Jul 2004 00:51:53 +0900
From: Kate Wildman Nakai <.....na...@...hia.ac.jp>
Subject: 天照大神の性別

先頃ウィーンで開催された日本宗教における秘密主義文化におきまして、角谷敦が三輪神道における秘儀伝達に関する大変興味深い資料をご提示になりながら紹介していました。(『神道潅頂:忘れられた神仏習合の世界」元興寺文化財研究所発行、1999年)

図版の中にいわゆる「七代天神」や「五代神」の十九世紀初頭の描写がありました。前者には、国常立尊から始まる最初三代の神々が個別に描かれ、いわば多面、多手の密教神のように描かれています。そして最後第七代(伊耶那岐・伊耶那美)は男女の人神として描かれています。次の地上神である五代神は天照大神からはじまってすべて宮廷衣装を纏った男性神として(口髭や顎髭が描かれて)描写されています。

佐藤 弘夫は「天照大神の変貌:中世神仏交渉史の視座」(法蔵館、2000年)で、天照大神の描写について幾らか論じています。また関連書誌として、鳥羽重広「天照大神の像容の変遷について」( 『皇学館大学神道研究所紀要』13、1997年)を挙げています。

大変興味深いテーマです。わたくしなどよりもっとお詳しい方が議論をおつづけになってくださることを願っております。

Kate Wildman Nakai
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 15 Jul 2004 12:17:18 -0400
From: "robin d gill" <.....in...@...lsouth.net>
Subject: 天照大神の性別

Melanie Tredeさま

大変面白いです。このようなことが問題となるとは思いもしませんでした。
太陽女神について何か知っていればとは思いますが、観音については同じようなことを考えたことがありますので、多少関連のある話があります。
 

アーサー・ウェイリー訳『詩経』『詩経』の英訳("Book of Songs")で、若い女性が美しい男性を
誘惑して性的関係を持ったと自慢する話があります。エズラ・パウンド訳もそうです、[私が見た]二つの日本語訳のどちらも、(おそらく第81番だったと思うのですが)、若い男が若い女を誘惑して性的関係を持ったと喜んだという話になっています。広い額と輝く瞳は西洋の騎士のように思われて、日本語の翻訳を支持する中国人の友達の意見(「美人」という語は女性の形容だとこの友は思ったのです)には反対しました。それで白川静氏にこの疑問をぶつけてみましたところ、すばらしいお返事を頂きました。(白川先生はボールペンをご使用で、ペンを一度も紙からお持ち上げにならないので、複雑な漢字は竜巻のようにみえます)。御返書では氏はウェイリーとパウンドの訳を支持なさっているようで、古代中国の歌垣では女性が主導権を握ったようだと感じておられてようです。

とても面白いです。


追伸:先生の御年齢をとまたすばらしい御著書を完成なさろうとしていることを知って、先生のお手を煩わせたことを心苦しく思ったことを思い出しました。今先生がどうしていらっしゃるかご存じの方はいらっしゃいますか。

robin d. gill

"Rise, Ye Sea Slugs!"
and soon "Topsy-turvy 1585."
uncoolwa...@...mail.com
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 15 Jul 2004 12:01:39 -0500
From: emiko ohnuki-tierney <.....nu...@...c.edu>
Subject: 天照大神の性別

議論になっている点はすべて西郷信綱の『古事記の世界』(岩波書店 pp87-90)にあります。[…]西郷信綱と他の研究者の解釈などは拙著『 Rice as Self』文末脚注 (p. 141)にあります。お役に立つといいのですが。

Emiko Ohnuki-Tierney
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 15 Jul 2004 11:47:21 -0700
From: "Loren Waller" <.....l...@...lamette.edu>
Subject: 天照大神の性別

修士論文で『古事記』におけるジェンダー問題を扱ったのですが、まず、『古事記』、『日本書紀』、「風土記」そして『古語拾遺』というふうに焦点をあてました。この問題のお答などぜひ知りたいです。というのも、時代を通して神話における容貌の変容の考察を更に深め、研究の幅広げたいと思っています。

天照大神の性別の展開については、民俗学的方法が性の融合を指摘しています。ある説は、天照大神はもともとは高御産巣日(タカミムスヒ)の巫女であり、高い地位の神の巫女となるに従い、徐々に彼女自身が崇敬の対象となっていった。同時に、別名がオオヒルメ(大日霎)とあることから、天照大神の巫女が後には天照大神自身と結びつけられた結果なのであろうとされています。

『記紀』編纂時代のジェンダー問題をテキストから探っていくというのが私の研究です。8世紀初頭のジェンダー関係をより明確に理解しておくことは、天照大神の性別や位が何故転じたのかを推論する基本となります。

Lawrence Marceauがご指摘のように、『書紀』は天照大神を女性として記述していますし、『古事記』の代名詞は天照大神を女性として扱っているようです。が、言葉として、性別が明確でなくとも、国の創世や神功皇后の胎内の世継ぎの皇子をあがめた例のように、性差や性的関心は明らかに神話の中心事です。

『Japan Foundation』におけるHitomi Tonomura [殿村ひとみ]の短い論文は、天照大神の性は、伊耶那美のそれとは大きく違い、身体を伴っていなかったと指摘しているあたりは、当を得ているように思われます。

氏の結論を換言すれば、性差に囚われている神々や天皇などのように、天照大神はその影響力を身体を通してするのではない、ということでしょう。神野志隆光は天照大神の役割をこのような言葉でずっと論じています。


依然として、Melanie Trede の江戸期の学説についての質問のお答えとはなっていませんね。おそらく儒学者が天照大神が女性神であることに大きな抵抗があったのではと思います。新井白石はなんと言うでしょうか。宣長にとっては、天照大神の性別はあまり大きな関心事ではなかったようです。すみません。これは私のこれからやろうと思っていることですが、まだ取りかかっていません。他の方々のご意見を楽しみにしております。

Loren Waller
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Sun, 18 Jul 2004 08:28:57 +0100
From: Richard Bowring <.......@...mes.cam.ac.uk>
Subject: 天照大神の性別

天照大神に関して、次のMarkTeeuwenの論を読まれることをお勧めします。 'The Creation of a Honji Suijaku deity' これは、Teeuwen、 Rambelli編集のBuddhas and Kami in Japan(Routledge, 2003)に収められています。

Richard Bowring
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Sun, 18 Jul 2004 20:08:12 +0900
From: Iyanaga Nobumi <.....ya...@....bekkoame.ne.jp>
Subject: 新刊書(フランス)

皆様

以下フランス語の新刊を2冊ほどご紹介いたします。

Dame Nijoo, Splendeurs et miseres d'une favorites, traduit et presente par Alain Rocher, Arles, Philippe Picquier, 2004, 713 p. (『とはずがたり』仏訳)

Joseph A. Kyburz, Francois Mace, Charlotte Von Verschuer, dir., Eloge des sources. Reflets du Japon ancien et moderne, Arles, Philippe Picquier, 2004, 595 p. (フランシーヌ・エライユ Francine Herail のための退職記念論集)

Best regards,

Nobumi Iyanaga
Tokyo,
Japan
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Mon, 19 Jul 2004 00:41:59 +0900
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: 天照大神の性別

ワキ能に関するGerry Yokota-Murakamiの著書の中で、何故天照大神が宝生流と喜多流の演目では男性神として表現されているのか論じられているところを偶然読みました。

_The Formation of the Canon of No^: The Literary Tradition of Divine Authority_ (Osaka University Press, 1997), pp. 144-7.

Michael Watson

追伸 謡曲に関して以下のリンクのチェック・リストをご覧下さい。規模を拡大し、ユニコードにしました。コメントやご提案などよろしくお願い致します。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/biblio/noh-trans.html
<........@...eijigakuin.ac.jp>
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Sun, 18 Jul 2004 12:58:32 -0800 (PST)
From: Janet R. Goodwin<......@...lux.csustan.edu>
Subject: 新刊書(フランス)

ピジョー氏(Jacqueline Pigeot)による以下の新刊についてもお知らせしておきます。11世紀から13世紀にかけての遊女や白拍子そして傀儡などに関する研究です。
Femmes galantes, femmes artistes dans le Japon ancien, Gallimard 2003,
ISBN 2-07-076633-0

--Jan Goodwin
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Mon, 19 Jul 2004 08:15:24 -0400 (EDT)
From: Hideyuki Morimoto <........@...umbia.edu>
Subject: Re: 新刊書(フランス)

Francine Herailの退職記念論集に関してですが、以下の補注がLa lettre de la Bibliotheque (Maison de la culture du Japon a Paris)の春号第16号に出されました。以下の通りです。アクサンは省略してあります。

- KYBURZ, Joseph A. et al. (dir.) Eloge des sources - Reflets du Japon ancien et moderne. Arles  Philippe Picquier, 2004. 595 p. ISBN 2877306895

[編集注:以下引用原文はフランス語です。要約を以下載せました。引用文原文全文については英語版をご参照下さい。]

10世紀から明治維新までにおける文学、宗教、思想の異なる分野から16の論文が集められています。エレイユ氏の研究態度への敬意としてそれぞれの著者は第一資料に当たっています。「本文と文脈」("Le texte et son contexte")「作品と受容」("l'oeuvre et sa reception")「用語と意味」("le terme et ses acceptions")「人物とイメージ」("le personnage et son image")という4つのセクションに分かれています。
============================
Hideyuki Morimoto
Japanese Cataloger
C.V. Starr East Asian Library
300 Kent Hall, Columbia University
New York, NY 10027
------------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Tue, 20 Jul 2004 10:17:26 -0700
From: Meyer Pesenson <.......@...c.caltech.edu>
Subject: 天照大神の性別

近似したテーマである観音の変身については、以下の本の"Princess Miao-shan and the feminization of Kuan-yin "(pp293-353)という章で扱われています。Chun-fang Yu著『Kuan-yin』、Columbia UP, 2000.

様々な神々の融合体というのは仏教においては特別なことではありません。植民地下のメキシコにおいて、女性の聖人の例で、土着の女神がキリスト教の聖人と融合しているというのがあります。例えば、土地の愛の女神が処女マリアと結びついているというような例です。

多くの相違があるにもかかわらず、この種のことは良くあったことであり、何かきまった型が引き出せるかもしれません。

-Misha Pesenson
---------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 13:45:42 +0900
From: Iyanaga Nobumi <.....ya...@....bekkoame.ne.jp>
Subject: 天照大神の性別

観音の女性化に関してですが、恥ずかしくも自己ピーアールなのですが、拙著『観音変容譚』(法蔵館、2002)を紹介させて下さい。詳しくは以下のリンクをご覧下さい。
<.....p://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4831876720/>
<.....p://www.bekkoame.ne.jp/~n-iyanag/buddhism/mythbuddh/myth_bouddh_index.html>

天照大神の場合、Kate Nakai氏が言及されていた佐藤弘夫『アマテラスの変貌』のリンクは以下の通りです。
<.....p://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/483187129X/>

他に以下のような斎藤英喜編集の論集もあります。
<.....p://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4916087038/>
[...]
天照大神の様々な変容は、日本において今かなり議論の噴出している話題といえそうです。

Best regards,

Nobumi Iyanaga
Tokyo,
Japan
----------------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 10:51:07 +0200
From: Melanie Trede <.......@...sino.uni-heidelberg.de>
Subject: 返信ダイジェスト: 天照大神の性別

皆様

重複する皆様はお許し下さい。

天照大神描写の性別(不分明/転化)に関する質問に対して、オン・オフどちらからも様々な示唆に富むご返信を頂きました。これらそれぞれのご示唆には心より感謝いたします。また(最後にお名前を挙げさせて頂きましたが)ご返信を頂いた方々には篤く御礼申し上げます。

以下、私の返信のダイジェストです。絵画、参考文献、各自のコメントなどに分けてあります。重ねて御礼申し上げます。
melanie trede

絵画
--天照大神と比定できるようなもの:富士山の神性、ある時点で浅間大権現になった木花咲耶姫など。どうも女性神では落ち着かないようです。
--衣冠束帯姿の天照大神の図像が現存。(『今昔物語集、宇治拾遺物語』p. 72.文末参照のこと)
-- 葛飾北斎筆 天照大神には明らかに口髭と顎髭が描かれている。
-- 英一蝶 掛け軸 雨宝童子として転生した天照大神像。Nagase Keikoは「三社託宣」を一蝶の絵との関連で論じる。(『日本美術工芸』622、1990・6)。あまり突っ込んだ議論はなされていないが、役に立ちそうな文献が載っている。以下のKate Wildman Nakaiのコメントを参照のこと。

参考文献 以下これまでの議論で出てきたものをまとめたものです。
--Brian Bocking: The oracle of the three shrines: Windows on Japanese religion. Richmond: Curzon, 2001
--伊藤聡、「天照の中世神話」特集 日本2、今昔物語集、宇治拾遺物語他、「説話の時代」(小峯和明編)、『週間朝日百科 世界の文学83』(2001年2月)
--西郷信綱著、『古事記の世界』(岩波書店、1967)(pp. 87-90).
--佐藤弘夫、「天照大神の変貌:中世神仏交渉史の視座」(法蔵館、2000年)
-- 神道潅頂、『忘れられた神仏習合の世界』(元興寺文化財研究所、1999)
-- Teeuwen, Mark: _Watarai Shinto: an intellectual history of the outer shrine in Ise_. Leiden: Research School CNWS, 1996.
-- Teeuwen, Mark, 'The Creation of a Honji Suijaku deity" in _Buddhas and kami in Japan  honji suijaku as a combinatory paradigm_, edited by Mark Teeuwen and Fabio Rambelli. London; New York: RoutledgeCurzon, 2003.
--鳥羽重広「天照大神の像容の変遷についてー女体像、男体像から雨宝童子にいたる図像学」『皇学館大学神道研究所紀要』 13 (1997/3)

[...] それぞれの方々からのコメント【編集注:リストに送られたものを除く。オフリストでの返信】
--Timon Screech (タイモン・スクリーチ): 天照大神の性別についての議論の余地は確かにあります。まず、江戸期、殆どの人が『日本書紀』については知っていませんでしたし、天の岩屋戸の伝説をおぼろげには聞いたことがあったとしても、天照大神が男性神として言い伝えられたということもあり得ます。

もちろん、普通の会話で性別を特定しなければならないということもなかったでしょう。性別が明確な言語を使用するケンペルのような西洋人だからだったのでしょう。観音は古くから中性的な存在でした。徳川期の捉え方という質問は適当かどうか疑問です。江戸期の一般的な発音は「てんしょうだいじん」で男性神の感があります。

--Bernhard Scheid([原文ドイツ語]英概訳メラニー・トレイド)
当該質問にはあやふやな答え方しかできません。というのも常に相対立する意見が存在するからです。ですが、中世において天照大神は一般に男性神と思われていました。そして神は何よりもまず、その属する神社によって認識されていました。この場合は伊勢神宮です。

専門家だけが、天照大神のことを知っていて、だいたい「てんしょうだいじん」と発音されます。一番ありそうなのは、 天照大神が中世密教の世界で天照・大日と結びつけられたということです。この識別の早い例というのは私にははっきり分かりませんが、確実に平安時代まで遡ります。一方、中世宗教の専門家は、神話におけるその性別について知っていました。これが、仏教的文脈の中で両性とか「超越」性というような論を導き出しました。(参考文献の伊藤聡の論を参照のこと)。

天照大神の後の性別転換は一般的な神社独立の動きのなか、長い期間にわたって起こったと思います。なかでも吉田神道の主導のもと18世紀後半から19世紀前半にかけてで、江戸国学の流れよりは早い時期です。神話の書物が普及したかどうかが鍵となります。ケンペルの記述は元禄時代には正確な神話の知識がなかったということの証左です。

Mark Teeuwenの渡会神道の研究(氏は伊勢神宮の内宮、外宮間の法律的議論として論じており、天照大神の名前は出てこないし、性別の問題もしかりです)によれば、江戸初期の武家エリートの知識ではあったということです。 (Teeuwen 1996: 273-289)

-- Brian Bocking: 天照大神が何時女性から男性になったのかについては私はわかりません。実際、神性や神話や神社といった多彩な知られざる原初の問題として解答されるべき問題でしょう。また仏教の神との習合となって後、視覚的に描写されています。しかし天照大神が江戸/明治時代に女性神となった時代に関しては、以下二つほどあります。天照大神のイメージが1550年ぐらいから、今日に至るまでの間、三社託宣の基調の一つとして塗り替えられているということを論証しようとしている私の研究。もう一つは 鳥羽重広(上の参考文献参照)によるイメージの詳細な分析です。要約しますと、徳川期には天照大神には男性神、女性神のどちらのイメージもあり、そういうイメージに関する規範は殆どなかった。が、明治期維新において、明らかに天照大神を女性神としてではないとして表すのは受け入れがたいこととなり、剣をを携えたドレープのある簡素な衣を身に纏った若い女性という標準的なイメージは、およそ1870年ごろから変わらずに使われるようになりました。

今日掛け軸や絵画に見られる標準的な天照大神の姿は、意図的な逆転です。伊勢巡礼ルートの朝熊山金剛證寺において以前は天照大神として信奉された雨宝童子の仏教的聖性のイメージの逆転です。(男性→女性、左→右、仏教的レガリア→天皇家レガリア、仏教→神道)

雨宝童子(天照大神)が女性に転換した例があります。(多分明治期以降でしょうが、像を廃棄してしまうよりはという選択だったのでしょう)。額に二つの点を加え、女性らしさをあらわしています。レガリアは錫杖と金剛宝珠から、剣と鏡に変わっています。以上私自身の研究の結論です。

[以下略】

上に引いた人々のご意見も含み以下の方々からご教示頂きました。
Steve Addiss, Joshua Badgley, Brian Bocking, Richard Bowring, robin d. gill, Caroline Hirasawa, Lawrence Marceau, Kate Wildman Nakai, Emiko Ohnuki-Tierney, Bernhard Scheid, tim screech, Melinda Takeuchi, Michael Watson, Loren Waller, Miriam Wattles.
******************************
Kunsthistorisches Institut
Abteilung Ostasien
Seminarstr. 4
69117 Heidelberg
GERMANY
tr...@...sino.uni-heidelberg.de
--------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 07:47:51 +0900
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: J.L.Pierson

オーストラリアに住む図書館司書の方から、J.L.Piersonについてもっと情報を持っている方がいないかどうかという問い合わせがありました。J.L.Piersonは1929-1963にかけて、ライデンのブリル(Brill)社から、『万葉集』全20巻の翻訳を完成、出版した人物です。1930年代に出版された巻に添えられている好ましくない献辞でしか、この人物のことを知らないということに気がつきました。

今接続便を待っている間、ウェブ検索してみましたが、次のフル・ネームと生年しかヒットしませんでした。Pierson, Jan Lodewijk 1893 -
珍しくないことですけど、没年を記した図書館情報はありませんでした。

どなたかご教示を。
Michael Watson
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 09:03:30 +0900
From: Maureen Donovan <.....ova...@....edu>
Subject: Re: J.L.Pierson

以下Bibliography of Asian Studies[アジア研究文献]から役立ちそうな論文を挙げておきます。

著者: Shionozaki, Hiroshi
題名: The first translator into English of all the Manyoshu poetry [Jan Lodewijk Pierson]
雑誌名: Transactions of the Asiatic Society of Japan (Tokyo) 4th series, 9 (1994) 87-111

Greetings,
Maureen Donovan
---------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 02:31:09 -0700 (PDT)
From: Charles DeWolf <.....ew...@...oo.com>
Subject: Re: J.L.Pierson

Transactions of the Asiatic Society[『アジア協会紀要』](fourth series, volume 9, 1994)にShionozaki Hiroshi氏による次のような論が見えます。 "The First Translator into English of All the Manyoshu Poetry"

Jan Lodewijk Pierson は1893年10月12日生まれ、1979年3月10日没とあります。

【オランダの日本研究者】Fritz Vosの次のような文章が引用されています。

「(1933年ユトレヒト大学において)([Piersonの)講義に出ていたある学生は、こわれたライフルの形をしたバッジを付けていました。 Piersonは、この平和主義者は出席を許可されるべきではない、と要求しました。理事会がそれをこばみ、 Piersonは辞表を提出しました。運良く彼は裕福で教授としての給与はポケットマネーのようなものでした。」

Shinozaki氏は、オランダのドイツ統治以後Piersonは徹底したアンチ・ナチとなり、1949年には自身の著書の第二巻目の序文に、刊行の遅れを謝し、長い間蔵書を見ることが出来ず、出版社の爆弾シェルターの中に匿われていたことを述べ、また日本の研究者との現在のコンタクトの欠乏を嘆いている、ということを続けて紹介しています。Shinozaki氏によると、 Piersonはその政治的な愚直さにおいて子供のようであり、つまるところ愛してやまぬ研究だけに関心を持っていたようです。

Piersonの仕事は、私が1978年に博士論文を書いていた頃に役にったったという記憶があります。その古代日本語の音韻論と「言葉の進化」論は奇怪なほど面白いものでした。

Charles De Wolf
Keio University
-----------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 06:38:08 -0400
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: Re: J.L.Pierson

Maureen Donovan と Charles DeWolf 、Piersonについての早速のご返信ありがとうございました。

チャールズは以下のコメントを引いていました。
「運良く彼は裕福で教授としての給与はポケットマネーのようなものでした。」

私のグーグル検索の結果を確認するものでしたが、ここに書くにはトリビアで憶測にすぎると思われたのです。明らかに、現在でもヨーロッパにMeesPiersonと呼ばれるプライベートな銀行が存在するようです。その行史によれば、Jan Lodewijk Pierson が、1875年にアムステルダムに銀行業務を始めたとあります。多分これは当該Piersonの祖父(ないしは叔父か父親)に当たる人で、富の源であったのでしょう。
http://www.meespierson.be/meespierson/be/homefr.nsf/wwwVwContent/l2histoire.htm

以下の私の文章は、オフリストによってかなり揶揄されてしまいました。
>1930年代に出版された巻に添えられている好ましくない献辞

奥歯に物の挟まったような表現だったことを誤ります。Piersonはその巻をアドルフ・ヒトラーに捧げていたのです。(私の記憶が正しいなら、別な巻はイタリアのファシスト党首に捧げられていたと思います)。

H. Bruce Brooksはこの点について論じていらっしゃいます(Warring States website 「戦国時代サイト」 "Scholar's Checklist" 学者の覚え書き 第62番 )
http://www.umass.edu/wsp/methodology/advice/checklist.html

Michael Watson
-----------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 13:38:30 +0200
From: Janick Wrona <.......@....ku.dk>
Subject: Re: J.L.Pierson

皆様

博士論文を仕上げておりましたとき、しょっちゅうこのPierson訳『万葉集』を参照しました。そして常々、 Piersonをして一層謎めいた人物にしているその序文が気に掛かっておりました。マイケルが言っておりました献辞は次のようにあります。

「誠意の体現であり、時宜を得た行動の師であるアドルフ・ヒトラーへ」(巻5)

この巻は Karl Florenz博士との共著ですが、Florenz博士が次巻(巻6)を Piersonと共にやるのを拒んだ理由が、この献辞にあるのではないかとどうしても思えてしまいます。PiersonはFlorenz博士の病気のせいだとしていますが。(巻6)

一見エキセントリックに思われる性格にもかかわらず、そしてたとえその言語学的な観点が多少笑いを誘うようなものであっても、その『万葉集』の翻訳と注釈は、すばらしい学問的業績です。第9巻には構造主義に関するちょっとした記事と、巻6の[印欧語文法用語で言えば]中間受動態である助詞「ゆ」の源についての論が載っていて、興味深い読み物となっています。
もうこの『万葉集』を購入することができないのが残念です。

All the best
Janick
---------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 17:52:08 +0100
From: "Dr Bjarke Frellesvig" <.....rke.frelles...@...tford.oxford.ac.uk>
Subject: Re: J.L.Pierson

Piersonの本と『万葉集』の翻訳は当時の、日本(特に文学)の研究成果を受けて伝授したものだと私には思われます。

だからこそ、まだ色に染まっていない学生の入門書として貴重なものです。ただ、同時に、知識不十分で重要な箇所において言語学的欠陥もあります。

一方、音素P【ハ行】としてのVの翻字は(間違っているとしても)、かなり才覚あるものです。おもしろいのは、Bernard Blochに、おまえが誰で、 私Piersonが聞いたこともない人物なのに、何故日本に関する著書を出版するのか、という無鉄砲な手紙を書き送っていることです。また多分、巻の一冊は飼い犬に捧げられていたと記憶しています。気に入った人間がまわりにもうだれもいなくなってしまっていたのでしょう。

Bjarke Frellesvig
--------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 21 Jul 2004 20:37:45 -0400
From: "Denise O'Brien" <.....i...@...ple.edu>
Subject: Re: J.L.Pierson + dog?

告白しますと、J.L. Pierson についてこのリストで、こんなおもしろい話題となるまで、全くなにも聞いたことがありませんでした。ヒトラーと自分の飼い犬に献辞を捧げた? 犬の名前は分かっているのでしょうか。リンカーンの侍医の犬についての古いジョークを思い出します。(注意:私は犬の飼い主であり、かつまた愛犬家でありますが、私の飼い犬は、利口とはいえ、目に見えて、囓囓ることが出来るもののほうが[献辞]よりも好きなようです。)

Regards, Denise O'Brien
-------------------------------------------------------------------------------
Date: Fri, 23 Jul 2004 15:16:28 +0200
From: Melanie Trede <.......@...sino.uni-heidelberg.de>
Subject: 教員募集、ハイデルベルグ大学〔ドイツ)

詳しくは英語版をご覧下さい。
-------------------------------------------------------------------------------
Date: Fri, 23 Jul 2004 14:20:06 -0400
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: Fwd: J.L. Pierson /三十六歌仙

シドニー大学図書館司書、Chris Tillam氏にJ.L. Pierson関連のやり取りを転送いたしましたところ以下のような返信が届きました。また別な質問も寄せています。

ご指摘の論文を見つけました。大変興味深くまた、期待していたような情報が載っておりました。メールをむやみに送る前に、まず自分で捜してみるべきでしたが、当館のPiersonの著書は不完全でした。ただ、私も調査はし、ヒトラーと良き友人関係にあったようですしーー巻3はムッソリーニに捧げられ、巻1は母親に捧げられています。序文の一つでは Brill出版について褒めており、また論文にてもそれに触れています。私は研究者ではありませんので、ある研究者がどうしてその分野に入っていったのかということに興味が惹かれます。 Piersonはその妻の興味から始まったようです。ドナルド・キーン氏は中国語のコースが定員一杯だったので日本語を取ったというような...。

[...]

全く関連のない質問ですが、気になっておりました。皆様の前近代という活動領域ではないのですが、三十六歌仙の肖像図(尾形光琳、酒井抱一)に関してですが、どなたかご存じかもしれないと思いまして。
肖像図は全部で三十五ですが、抜けているのは誰なのでしょうか。

sincerely

Chris Tillam
Access Services
Fisher Library
C.Til...@...rary.usyd.edu.au
------------------------------------------------------------------------
Date: Mon, 26 Jul 2004 13:51:31 -1000 (HST)
From: Rokuo Tanaka <.......@...aii.edu>
Subject: Re: Fwd: J.L. Pierson / 三十六歌仙

こんにちは

尾形光琳筆による三十六歌仙図というのを見つけることができませんでしたが、酒井抱一筆の『三十六歌仙図色紙貼付屏風』(六曲二双、ロサンゼルス、Price コレクション)では、どの歌人も欠けていません。

参考文献:『酒井抱一』〔玉蟲敏子・日本アート・センター著『新潮日本美術文庫18』1977年、新潮社) p.15-16.

Rokuo Tanaka
-------------------------------------------------------------------------------------
Date: Wed, 28 Jul 2004 16:44:29 +0200
From: "Doris Croissant" <.....der...@...mail.com>
Subject: 学会のお知らせ

以下のように題された大会がハイデルベルグ大学にて(2004,10,28~31)開催されます。
[詳しくは以下のウェブサイトをご覧下さい]
"New Gender constructs in Literature, Visual and Performing Arts of China and Japan"
http://www.sino.uni-heidelberg.de
メール:gen...@...sino.uni-heidelberg.de

Best wishes,

Doris Croissant
------------------------------------------------------------
Date: Wed, 4 Aug 2004 16:19:03 +0900
From: "Gabi Greve" <.....ur...@...harenet.ne.jp>
Subject:『日本書紀』『元享釈書』の翻訳

皆様。

『日本書紀』(巻二十二)と『元享釈書』(巻十五)の英訳はどのようにしたら手に入れることが出来るでしょうか。どちらも日本における聖徳太子と達磨の出会いについて扱われている部分です。
ご存じの方は直接ご連絡下さい。
ありがとうございます。
Gabi Greve
--------------------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 5 Aug 2004 10:07:28 +0900
From: Iyanaga Nobumi <.....ya...@....bekkoame.ne.jp>
Subject: 『日本仏教総合研究』最新刊

こんにちは。
以下『日本仏教総合研究』の新刊のお知らせです。

『日本仏教総合研究』No. 2, 2003
Contents

[詳しい内容については英語版をご覧下さい]

Best regards,

Nobumi Iyanaga
Tokyo,
Japan
----------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Fri, 6 Aug 2004 10:33:25 -0400
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: 新入会員紹介、所属変更など会員消息

新入会員
Doron B. Cohen <.......@...to.zaq.ne.jp
所属 同志社大学 神学部 
エルサレムのヘブライ大学を卒業しました。
研究分野: 文学(現代、古典の日本文学も含む)宗教(日本の宗教も含む。主に現代キリスト教)翻訳(実践と理論)現在、ヘブライ語聖書の日本語訳について研究している
著書:翻訳 ヘブライ語訳村上春樹『ノルウェーの森』、谷崎潤一郎『鍵』など。

Current study: translations of the Hebrew Bible into Japanese.

Keiko Ono <......@...nceton.edu>
所属 プリンストン大学、東洋学部。文語・漢文講師。現在日本語学術論文講読の講座も受け持つ。

Patricia Sippel <.....p...@...oeiwa.ac.jp>
所属: 東洋英和大学
研究分野: 徳川期の税制、財政。採掘史、灌漑史。

-- 所属変更など会員消息 --

所属変更
Sachie Noguchi <........@...umbia.edu>
日本研究司書
C.V. Starr East Asian Library
コロンビア大学

会員消息

Lori Meeks <.......@....edu>
所属:南カリフォルニア大学 助教授
研究分野:平安鎌倉仏教。社会史。


Leith Morton <........@....titech.ac.jp>
近著:Modern Japanese Culture: The Insider View (Melbourne: Oxford University Press, 2003)
At the Hotel Zudabollo (Sydney: Island Press, 2004)
編集My Brother Hideo Kobayashi [by Junko Takamizawa] (Sydney: Wild Peony Press, [The University of Sydney East Asian Series No. 14], 2001) trans. James Wada
Modernism in Practice: An Introduction to Postwar Japanese Poetry (Honolulu: University of Hawaii Press, 2004)

----------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Sat, 7 Aug 2004 17:46:45 +1000
From: Royall Tyler <.......@...aca-s.com>
Subject: フランス語訳『狭衣物語』

どなたか以下の『狭衣物語』の仏語訳について知っている方はいらっしゃいますでしょうか。全四巻らしのですが。

Histoire du general Sagoromo
( Sagoromo Monogatari)
Daini no Sanmi
Traduction et notes par H. Mongault
Editions Fernand Pilon, Montreal, 1934, vol. 3, 222p.

有り難いことにグーグル検索して、フランス人のディスカッション・リストの2002年のやり取りで見つけました。書き込んだ人はその第3巻を年寄りの親類から譲られ、他の巻を揃えたいと思ったようです。情報を持っている人は誰もいなかったようです。

Royall Tyler
----------------------------------------------------------------------------------------------
Date: Sat, 7 Aug 2004 10:01:29 -0400
From: Michael Watson <........@...eijigakuin.ac.jp>
Subject: フランス語訳『狭衣物語』

フランス国立図書館やフランス古書のサイトなどでは何もヒットしませんでしたが、翻訳者ですが、1920年代から1930年代にかけて、このHenri Mongaultによるロシア小説の仏語訳の多さに目を奪われてしまいました。米国議会図書館のリストでは、この翻訳者の生没年を1888-1941と記しています。他の同姓同名の人物は見当たりませんでしたし、フランス国立図書館には何もありません。

ともかく興味深いです。

www.bnf.fr
http://www.ccfr.bnf.fr/accdis/accdis.htm
http://www.galaxidion.fr/
http://www.chapitre.com/
http://www.livre-rare-book.com/
http://www.frenchculture.org/books/publishers/bookstores.html

---------------------------------------------------------------------------------------------
英語の原文は以下のページにあります。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2004/2004.07.html
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2004/2004.08.html

pmjs メールアドレス: p...@...eijigakuin.ac.jp (直接リスト全体へ)
pmjs 編集メールアドレス: wat...@...eijigakuin.ac.jp (編集を通してリストへ)
pmjs ホームページ(英語)http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/
pmjs ホームページ(日本語)http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/indexj.html
日本語版の過去ログ http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/jpn/index.html
pmjs 購読(休み、中止)http://www.meijigakuin.ac.jp/~watson/pmjs/kodoku.html