所長からのメッセージ

研究所の目指すもの

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2011年3 月11 日の東日本大震災、とりわけ福島第一原子力発電所の爆発は、今や核兵器の廃絶だけでなく、核エネルギーに頼る私たちの生活をも問い直すべきことを教えてくれました。人類の将来を憂え、生涯、核エネルギーに反対し続けた豊田利幸PRIME 初代所長の遺志を、私たちは受け継ぎます。

 平和の対極概念は暴力です。一人一人の「いのち」を脅かす暴力を最小化していくために私たちにできることは何でしょうか。PRIME は、平和を脅かす諸要因を様々な角度から分析・研究し、その成果を広くキャンパス内外に発信することを目指しています。21世紀を戦争のない持続可能な地球環境をつくる時代へと転換するために、平和研究ができることを、私たちは問い続けます。

2014・15・16年度所長 高原 孝生

研究所の目指すもの

2013年度所長 勝俣 誠

21世紀は、2001年9月11日の米国での同時多発テロ事件、それに連なるアフガニスタン、イラクでの戦争、2011年の3月11日の東日本大震災とともに生じた福島第一原子力発電所事故と、いずれも国際平和と万人の豊かさを約束する新世紀の幕開けとはなりませんでした。

それどころか、欧米日に繰り返される金融危機、大量の失業、改善の兆しが見れない地球温暖化、核兵器の拡散はグローバル化する経済と社会を支える資本主義の将来を案じさせています。

私たちはどこに行くのでしょう。私たちはどんな地球を来たるべき世代に残せるのでしょうか。

そして、そもそも私たちはどんな世界に住みたいのでしょうか。

私たち国際平和研究所は創設されてから30年が経ちます。冷戦期には核戦争をどう人類は回避できるかは、PRIMEの1990年代の所長の方々の平和研究の大きな課題でした。そして、ポスト冷戦期ではグローバル化する経済下で顕在化する格差、差別の実態や社会の軍事化を分析し、「人間の安全」を回復する平和学も優先的課題となりました。

こうしたPRIMEの成果を踏まえて、21世紀の暴力のトポスを各所員の専門性を活用し、明らかにし、「より人間的な世界」を実現する条件を探ることが私たちの使命と考えます。

2013年度所長 勝俣 誠