研究会
東日本大震災の被災地である東北・常磐地域は、長い間、農林水産物、鉱物資源、そして都市労働力の「供給地」として、首都圏を支える立場におかれてきました。こうした首都圏集中の構造は、震災後なお、維持・再編されようとしています。その勢いは、戦後復興から高度成長期にかけて各地域を席巻した「開発主義」の波と、どこか共通してはいないでしょうか。
「開発」についての議論は、その是非にかかわらず、「開発」と向き合うひとびとの営為が「成功」だったか「失敗」だったか、そしてその原因は?といった点に偏りがちであるように思われます。しかし、地域史にこだわって、ひとびとのミクロな行動や議論を追いかけてみると、意外な多面性がみえてきます。本シンポジウムでは、戦後日本の固有の地域に注目した研究を比較・検討しながら、通底する「いま」を考える視座はなにか、考えます。
高村竜平(秋田大学/文化人類学・朝鮮近現代史)
「被災地ならざる被災地―秋田県大館市・小坂町の3・11」
友澤悠季(法政大学/PRIME研究員/環境社会学)
「“ここにはここのやりかたしかない”―岩手県陸前高田市のひとびとの模索」
猪瀬浩平(明治学院大学/PRIME所員/文化人類学)
「原発推進か、反対かではない選択―高知県窪川における二つの開発」
中田英樹(明治学院大学/PRIME研究員/農業経済学・中米地域研究)
「ある青年のみた「復興」のすがた
―福島における「土壌スクリーニング・プロジェクト」
鄭栄桓(明治学院大学/PRIME所員)
齋藤雅哉(明治学院大学/社会学部付属研究所所員)
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