研究会
7年半が立ち、日本社会の福島原発事故に関する意識は希薄化した。日々、原発再稼働に向かうニュースが流れる。その中でトリチウムだけといわれた1000基をこす汚染水のタンクの8割は基準値を超えるI-129やSr90が充満しており、東電はそれを知りながら国民に隠して海洋投棄しようとしていたことが発覚して報じられた。
7年前なら即刻大集会が催されたであろうが、もはや怒り立ち上がる国民はほとんどいない。
福島などで、除染によりフレコンバックに収められた汚染土壌を道路や農地造成に再利用する計画が持ち上がるが、それに対する世論の反発は、あまり大きくない。
もはや事故のことは忘れたいムードが漂い、無反発となった日本社会。それをよそ眼に、オリンピック前の帰還促進と避難者ゼロの実現、汚染物質隠しを計る政府による「復興」は思惑通りに進んでいる。
その主たる原因は2011年にくらべ8分の1に減った原発関連のテレビニュース、11分の1に減った福島関連ニュースが象徴する「メディアの撤退」である。だがそれが仕組まれたことであり、背景に政治的なコントロールや意識操作があることを明らかにしなくてはならない。
3.11以前から原発にフォーカスして番組を制作してきた七沢潔さんは、チェルノブイリ~東海村JCO~3.11を通して「根底にある巨大な利権構造、隠蔽構造に迫り、暴き、突き崩す意図をもった報道はほとんどない」と述べている。トータルな事故像すら未だもって全く明らかにされないままに、無かったことにされていく原発事故。国家の危機からの「復興」の名の下に住民は取り残される。
この研究会では七沢さんをお招きして、原発報道の核(肝)になるべきものは何であるのかを考えるため、そこに挑んだ形跡のある311以前と以後に作られた2本の番組を引用し討論する。それが提起したものがどう扱われ、その後現実はどのように推移したか、報道のたどる道筋はどうなったのかを検討する。
●トーク:七沢 潔(NHK放送文化研究所)
対談者:高橋 博子(名古屋大学)
平井 朗(立教大学)
●引用する番組:
1) NHKスペシャル「チェルノブイリ・隠された事故報告」(1994年)
2) ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図5~埋もれた初期被ばくを追え~」(2012年)
主催:日本平和学会関東地区研究会
共催:日本平和学会3.11プロジェクト委員会
後援:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
平井朗 akira.hirai(a)rikkyo.ac.jp(aを@に変更してください)
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