韓国併合100年にあたって発表された「首相談話」の評価は賛否両論、改めて日本の過去の清算が不十分であることが露呈されました。日中関係の緊張の高まりに際し、対話らしい対話が不在であったことも、過去の問題と無関係ではありません。日本と韓国・中国をはじめとしたアジア諸国とのあいだには、戦後65周年を経てもなお大きな「とげ」が刺さっているかのようです。「東アジア共同体」が目指すべき目標であるなら、日本が過去の戦争に向きあうことを避けては、その実現はおぼつかないことが見えてきます。
もちろん、これまでも政治や経済のレベルで、また文化交流や市民活動のレベルでも、「戦争責任」を果たすための活発な取り組みが行われてきました。ただ、「戦争責任と戦後和解をめぐる問題は未解決のままである」というテーマは十分過ぎるほど取りあげられてきているにもかかわらず、事態はなかなか進展していません。そこで、「日本がこれほどまでにあの戦争を直視できないのはどうしてなのか?」「どうしたら『和解』の実現にこぎつけることができるのか?」という本質的な問いにまでさかのぼって考えてみたいと思います。特に、戦争は「過去」の話ではなく、「現在」もその苦難が続いている点について、注目していきたいと思います。
シンポでは、戦前生まれのクリスチャンおよび精神医学者と、戦後世代の若手研究者がセッションして議論していきます。
<プログラム>
あいさつ (13:00〜13:10)竹尾茂樹(PRIME所長)
趣旨説明 (13:10〜13:15)張 宏波(PRIME所員)
第1部(13:15〜14:45):加害者はなぜ被害者を見いだせないのか?
野田正彰(関西学院大学教授・精神医学)
コメント:鄭 栄桓(PRIME所員)
司会:石田隆至(PRIME研究員)
休憩(15分)
第2部(15:00〜16:30):クリスチャンとして平和活動に取り組んで
中山弘正(明治学院大学元学院長、PRIME客員所員・キリスト教研究所名誉所員)
コメント:猪瀬浩平(PRIME主任)
司会:渡辺祐子(PRIME所員・キリスト教研究所主任)
休憩(10分)
第3部 パネルディスカッション・質疑応答(16:40〜17:40)
野田正彰・中山弘正・鄭 栄桓・猪瀬浩平
司会:高原孝生(PRIME所員)
総括:竹尾茂樹(PRIME所長)