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「平和」とはどんなことなのかを考える
『注文の多い料理店』 宮沢賢治
所員
勝俣誠 (国際学部)
ここがオススメ!
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宮沢賢治『注文の多い料理店』
著者:宮沢賢治 発行:新潮文庫、1990年 他 定価:460円(税込み)
質素だが関係の豊かな世界について気づかせてくれる本を1冊紹介しておきたい。これは、やや古くて、第1次世界大戦中の日本の大好況を経た後の株価の大暴落という世相の中で書かれた、宮沢賢治の『注文の多い料理店』という童話である。
内容は、山中で道に迷った都会人のハンターが、お腹を空かせているときに見つけたレストランで、お客として料理を口にするのか、自分が逆に料理の素材にされるのかがわからなくなっていくという話で、よく「おっかないお話」といわれる。
しかし、グローバル金融バブルがはじけてしまった今日読むと、「何でも構わないから」鉄砲で獲物を撃ちたいと焦る、すべてをお金で評価したい都会人のハンターのように、欲望に節度を設けられなくなった人々に、それなしでは生命の存続もおぼつかない自然の掟を教えてくれる。これは、自然の掟の範囲内でしか豊かさはみつけられないという、現代社会の重要な教訓を示唆してくれている。
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