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「平和」とはどんなことなのかを考える1冊―
トルストイ『トルストイの散歩道3 人にはたくさんの土地がいるか』
所員
勝俣誠 (国際学部)
ここがオススメ!
*トルストイ『トルストイの散歩道3 人にはたくさんの土地がいるか』
著者:レフ・トルストイ 訳者:北御門二郎 発行:あすなろ書房、2006年 定価:945円(税込み)
土地を好きなだけもらえると言われ、そのために奔走した結果、過労死してしまう主人公の所有欲を戒めた民話である。第2次世界大戦の徴兵を拒否して生涯自給自足の田舎暮らしをしたトルストイ研究者、今は亡き北御門二郎氏の訳である。
この本は、ヒトの欲望、願望、購買力は解放されるが、そのために見えなくなってしまう節度、欲望の抑制、お金や技術で手に入らない価値などを考えるきっかけを作ってくれる。
現在、本格化する地球環境危機を前にして、ようやく温暖化ガスを大量に排出してきた大国の政府も本腰を入れ始めたようである。
実際、地球温暖化という現状は、人類史においてヒロシマ・ナガサキの原子力爆弾の投下、チェルノブイリ原子力発電所の爆発と並ぶ、人類生存の危機の兆候である。ただ、今日明日にその影響が感じ取れない「静かながら、ジワジワと確実に迫る危機」といえよう。
この点に関し、私たち人類ないし地球人は、いまや地球という与えられた環境の中でしか生存できないとわかりきっているが、すぐに忘れてしまう自然界の持つルール=掟を、改めて地球温暖化現象で突きつけられている。
確かに人類史において、モノやサービスを各自の判断で売り買いする市場のルールで、未曾有の物質的な富の生産を可能にした。また、民主主義というルールで、やはり個人が王や宗教の権力によって弾圧されず、未曽有の自由を享受できる社会を実現した。 しかし、この二つのルールとて、地球環境の許す範囲内での人間の間での約束事であり、自然との契約ではない。
地球全体においては、持続可能な開発をどのように実現していくかを考えるために1992年にブラジルのリオで開催された国連の地球サミットの市民フォーラムでは、「地球環境は技術とお金だけでは解決できない」というスローガンが世界各国から集まったt市民のコンセンサスであったが、あれから17年目の現在、何よりも自然のルールに従う新たな生き方、文明が求められている。
平和であるということは、しあわせになることだ。しあわせとは欲望の暴走をおさえることを学ぶことなのだ。
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