専門領域はフランス言語学です。最も関心があるのは、フランス語における時制、時間の副詞などの時間表現、話法、主観性の表現の語用論的研究です。大学には英語を勉強しようと思って入学しましたが、第二外国語のフランス語で文法に魅了されてしまい、結局フランス語を専攻しました。大学3年生の時に受講したフランス文学の授業で、『ボヴァリー夫人』に用いられている半過去の多様性と難解さに衝撃を受けたのがきっかけになって、言語学の世界に足を踏み入れました。
明治学院大学に着任する前は約13年間スイスのジュネーヴに住んでいました。ジュネーヴでは、ジュネーヴ大学で言語学科の博士課程に在籍しながら研究助手として働き、博士号取得後は日本語学科で日本語と言語学を教えていました。スイスではスキーや山歩きの楽しさを覚え、チーズフォンデューも作れるようになりました。ジュネーヴは非常に国際的な都市なので、スイス文化以外にも、世界中から集まった人たちと知り合うことにより、多様な国や地域の文化と触れ合うことができました。
3ゼミ :
3年生のゼミでは、年度によってテーマは変わりますが、「時制論」などフランス語の文法的要素についての深く掘り下げて考えたり、「フランス語の多様性」、「フランス語の歴史」、「世界の中のフランス」などフランス語とそれを取り巻く歴史や社会に関して考察したりします。フランス語で書かれた文献の講読が中心になりますが、レジュメ発表や研究発表(個人、グループ)を各学期に1、2回してもらいます。
4ゼミ :
4年生のゼミでは、春学期はフランス語に関するテーマ(フランス語の意味論・語用論的分析法、若者ことば、現代フランス語の特性、フランス本国以外のフランス語など)を毎年1つ選び、それについての文献購読や参加者による研究発表をします。同時に、各自の卒業論文の計画やレジュメなどを発表してもらう機会を設けます。秋学期は主に卒業論文の指導に重点を置きます。これまでのゼミ生の卒業論文のテーマには「フランス語のことわざ研究」、「物語における過去時制について」、「フランスの地域言語と日本の方言」、「日本の高等教育におけるフランス語教育について」などがあります。
論文
「tiretを用いた挿入句をめぐって – 主に物語のテクストにおける役割について–」、
『明学佛文論叢53号』、明治学院大学フランス文学科、
2020年「話法と語りの声 - フランス語と日本の場合 -」、
『言語文化研究 35号』、明治学院大学言語文化研究所、2018年
著書
(共著)「自由間接話法の周辺-主観化の文脈効果と語りの文から自由間接話法までの連続体」、
阿部宏(編)、『語りと主観性 - 物語における話法と構造を考える』、ひつじ書房、2022年.
「発話の主観化と時制−直説法半過去、単純過去、現在の場合」、東郷雄二、春木仁孝(編)、
『フランス語学の最前線4』、ひつじ書房、2016年.