石川美子

プロフィール

ゼミのテーマ

ロラン・バルトを中心とした現代批評、自己を語る文学と自伝理論、旅をめぐる文学など。

ゼミについて

ゼミの方針

音楽にしろ絵画にしろ、すべてのひとにとって「美しい」と感じられる作品などありえないだろう。しかし、言葉によってならば、「もっとも美しい」作品を存在させることもできる。言葉によってならば、目に見えないものを見えるようにし、聞こえないものを聞こえるようにすることができる。そのように素晴らしい、しかし恐ろしい言葉の世界に踏み入って、楽しんだり苦しんだりしてほしい。そして、自分を「表現」し「存在」させるための「言葉」を見つけてほしい。

3年生ゼミ

2005年度は、パトリック・モディアノの短編小説集『家族手帳』を読み、モデイアノのシンプルな文章にこめられた陰影のゆたかさを味わっている。そして、訳読を終えた箇所を、ひとりひとりが翻訳家になったつもりになって、自分の言葉で訳して書いてみる。それをみんなで批評しあう、という翻訳の作業もおこなっている。

4年ゼミ

2005年度は、山の風景にたいする意識やその表現が、時代ごとにどのように変化したかを概観し、ルソーやシャトーブリアン、スタンダール、ミシュレなどの作品を抜粋で読んで、彼らがどのように山を描きだしているかを分析している。絵画における風景の問題についても考えている。2004年度は、マルグリット・ユルスナールのインタヴュー『目を見開いて』を読みながら、ユルスナールの主要小説作品についての読解・分析をおこなった。2002年度は、ジョルジュ・ペレックの『Wあるいは子供時代の思い出』を読み、記憶や自己を語る困難さについて考えた。このように毎年、ゼミの内容を変えているが、自己、風景、旅、記憶、といったテーマから作品を読んでいるという点では変わらないと言えるだろう。

大学院ゼミ

2005年度は、ロラン・バルトの『テクストの快楽』を精読している。バルトの美意識と、当時の言語学、精神分析、テクスト理論などで織りなされたこの作品は、厳密に読もうとすると、かなり難解であるが、そのなかから浮かび上がってくるバルトの魅力には、えもいわれぬものがある。2004年度は、文学作品における「ラビラント(迷路・迷宮)」の意味について考えた。フランス文学だけでなく、ボルヘス、ジョイス、カフカ、泉鏡花など、さまざまな国の作品や批評を大量に読んでゆくという楽しい作業となった。そして1年間のゼミの終わりには、各ゼミ生が論文を書いて、『迷宮論文集』として刊行することができた。

楽しみ

音楽、絵画、そして…

ロック・クライミング

父親の影響で、子供のときからずっとクラシック音楽が好きだった(高校時代は反抗して、ロックばかり聞いていたが)。現在は、とりわけバロック音楽と現代音楽をよく聞いている。10年くらい先に、ヴェネツィアの去勢歌手とヴィヴァルディを主人公にした小説を書こうなどと考えているのだが…。

絵画は、16・17世紀オランダ絵画や現代美術がとくに好きである。また、あらゆる時代の自画像にも興味があるので、いつか文章にまとめることができれば、と思っている。パリに留学中は、いつでも好きな絵を見ることができたので幸せだった。突然に「あの絵が見たい!」と思い立って、列車に飛び乗り、 オランダやドイツに出かけたこともあった。今でも、見たい展覧会があれば、どんなに忙しくても飛行機に乗って見に行きたくなる。しかし、絵は世界にひとつしかないので、遠さを実感せずにいられない…。

現在、もっとも気に入っているのは、クライミングである。氷壁を登るアイス・クライミングも、岩壁を登るロック・クライミングもおもしろいが、どちらかというと、ピッケルやアイゼンを打ち込んで登るアイス・クライミングよりも、自分の身体だけですこしずつ登ってゆくロック・クライミングのほうが好きである。日常的にはクライミングジムに通い(ゼミ生たちを連れてゆくこともある)、年に一度はフランスの山々に行って、数百メートルの岩壁でのクライミングを楽しむことにしている。クライミングに集中していると、すべてを忘れて、このうえなく幸せな気分になってくる。いつか、文学とアルピニスムについての本を書きたいと思っている。

わたしの仕事

現在は、3つのテーマを中心に研究をすすめている。ロラン・バルトを中心とした現代批評、あらゆる時代の自伝文学と自伝理論、そして旅をめぐるエクリチュール、の3つである。3つの分野の仕事のなかで、単行本や雑誌として手に入りやすいものをあげておく。

ロラン・バルト

自伝文学

旅をめぐるエクリチュール

その他


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