杉本 圭子

プロフィール

明治学院に勤めるようになって、かれこれ20年がたってしまいました。流れた月日を思うと夢のような気持ちがして、いまだに自分が「いい年」になったことを自覚できないでいます。父が転勤族だったので、生まれは仙台ですが、生涯のほとんどを千葉で過ごしています。中学高校は東京の私立の女子一貫校でした。大学時代はバブルがはじける直前の時期で、授業の合間をぬっては渋谷のbunkamuraで映画を見て過ごしました。もともと叔母にフランス人がいて(若くして亡くなりましたが)、その影響でフランスとフランス文学を学んでみたいと思ったのがこの業界に入るきっかけでしたが、小説や映画に触れてますます憧れは大きくなっていきました。その後、念願の留学生活を送ります(パリで5年半!)。ほぼ自炊で通して出費をおさえるいっぽう、休みにはフランスの地方都市をできるだけ多くまわることを心がけました。好きな町はリヨン、思い出の町はナントです。本格的なオペラやバレエに触れたのも留学時代がはじめてでした。そのころ親切にしてくれたフランス人の友人たちもその多くが世を去り、フランス文学科の学生たちとも親子ほどの年齢の差ができてきましたが、小うるさい「お母さん」化しないように気をつけています。

ゼミについて

試行錯誤の末、3ゼミはあるテーマに沿った文献を読んで知識をたくわえたあと、学生たちの発表に移る、というスタイルに落ち着きました。今までに扱ったテーマは「決闘の文化史」、「ドン・ジュアン伝説」、「猫のいる風景」(大の猫好きなので、趣味と実益を兼ねています)、「色彩の歴史」などです。小説、戯曲、エッセー、映画、漫画、絵画など、いろいろなメディアをときに国を越えて扱えるのと、学生たちが持ってくる新しいトピックに出会えるのは大きなメリットです。4ゼミは卒論指導が中心になるので、同じようなやり方はできないのですが、少しでも議論の機会を増やせるよう、社会的な広がりをもつテーマを選ぶことが多いです。 最近ではエリック=エマニュエル・シュミットの小説を通じて宗教や移民の問題を考えたり、歴史家モナ・オズーフの自伝を通してブルターニュの歴史と地域語について学んだりしました。                     

研究について

19世紀フランス文学、とくに小説と旅行記を研究の中心に据えています。パリで提出した博士論文は、小説家スタンダールのフランス旅行記についてでした。旅の記録と称して、政治談義でも風俗観察でも、創作の要素までも自由に入れられる旅行記は、雑談好きの私自身の性質とも合っているようです。近年では「フランス周遊」をテーマとする、王政復古時代から第三共和制にかけての小説や教育的な読み物について調査をしました(エクトール・マロの『家なき子』もそのひとつです)。専門のスタンダール研究のほうでは、恋愛についての奇書『恋愛論』を翻訳しています。小説、旅行記、演劇論について研究をすすめるなかで、スタンダールが魂の故国として定めたイタリアの文化をもう少し学ばないといけないな、と思い始めたので、さびついたイタリア語にやすりをかけつつ、19世紀初頭のイタリア演劇がフランス文化に及ぼした影響について勉強を始めています。


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