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芸術学専攻 (博士前期課程・博士後期課程)
MAJOR OF ART STUDIES

時代に合った柔軟な発想、広い視野を培う専門領域を学ぶ

 芸術学専攻は、音楽学研究コース、映像芸術学研究コース、美術史学研究コース、芸術メディア論研究コース、演劇身体表現論研究コースの5コースからなります。学生は、それぞれのコースにおける研究を深めてゆくと同時に、自コース以外の領域にも視野を広めながら研鑽を積むことができます。例えば、映画、ヴィデオなどの映像芸術は、美術、そして音楽と相互に極めて深い関係にあります。ですから、いかなる専門的な研究も、関連する諸芸術への幅広く柔軟な視座なくしては成り立ち得ません。既存のジャンルの概念を超える例も数多く見出される近年のアートシーンの活況は、このような広い視野からの研究の必要性と必然性を強く裏付けています。本学の芸術学専攻は、各コースに高い水準の講座が用意されているという点で、大変にユニークな専攻です。その総合的な広がりと深さは、芸術学の専門的な研究を志す者にとっては、理想的な環境を提供するものでしょう。第一線で国際的な活動を行う教員たちによる多彩な科目の履修を通し、豊かな知識に基づきながら、芸術を自由にとらえ、考えることのできる、幅広い視野を持った人材の育成を本専攻では目指しています。修了後の進路としては、研究・教育職はもとより、このような柔軟性を活かしたさまざまな職種が考えられます。美術館・博物館の学芸員、ホール・劇場の芸術監督、プロデューサーなど、企画・制作の現場を率い、支える仕事、さらに、放送・出版関係などのメディアに関わる仕事の可能性も開かれています。

TOPICS

演劇身体表現論研究コースへようこそ!

2021年度に開設された演劇身体表現論研究コースは、専攻の中では一番新しいコースです。
人類の誕生に起源を持ち、2500年もの歴史を持つ演劇を学問として学べる研究機関は日本のみならず世界中に既存しますが、本コースは、あくまでも学問としての演劇学にこだわりながら、生きた舞台に触れ、時代や社会の息吹を敏感にキャッチして研究に生かせる人材を育成します。そして国際色豊かな校風、様々なジャンルが共存する芸術学専攻の特色を活かし、広い視野と知識を持ち、国際的に活躍できる研究者を輩出します。芸術についての幅広い知識と、評論と日本現代演劇、または象徴主義を中心とするフランス近現代演劇など、専門的な演劇学を学ぶことができます。
演劇に欠かせない<空間><場>を考えるとき、白金台という土地柄も非常に魅力的です。東京の中心に位置し、ありとあらゆる劇場へのアクセスの良さは勿論の事、歴史と緑に囲まれた静かな環境は、豊かで落ち着いた研究の基盤に相応しいでしょう。舞台は整っています。私たちは皆さんとの出会いを心待ちにしています。経験豊富な教員や仲間と共に研鑽を積み、豊かな時間を過ごしましょう。

給付型奨励金・補助金制度

文学研究科に在籍する学生(主に博士後期課程)の研究支援を目的として、原則各年度6名に海外における調査研究や発表の費用の一部(一人10万円、または20万円※海外のオンライン会議への参加は最大5万円)を奨励金として給付します。また、文学研究科に在籍する学生を対象に国内の学会参加旅費に対する補助金(1人3万円まで)を給付します。

インタビュー


田中 伽奈
芸術学専攻 博士後期課程2年

周囲の姿に刺激を受け失敗を恐れず前へ

映画について研究していきたいと、明治学院大学大学院文学研究科に進学し、博士前期課程を経て、現在は博士後期課程で博士論文を執筆中です。取り組んでいる研究テーマは、「梶芽衣子の女性性」についてです。1970年代の日本映画界における梶芽衣子の活躍を、ホラー映画論や映画精神分析理論、フェミニズム映画理論など、複数のアプローチから分析しています。特にフェミニスト映画理論家のバーバラ・クリード氏が論じる「怪物的女性性」という概念は、私の解釈に大きな影響を与えてくれました。研究においては、行き詰まることも多く、どの様に進んで良いか判らなくなってしまうこともあります。しかし、明治学院大学大学院には、先生や先輩方・同期からの助言の機会、講義でのディスカッション、様々な文献に出合えるといった、壁を打開するチャンスを数多く与えられる環境が整っています。否定や失敗を恐れずに前に進むこと、チャレンジすることの大切さを私はこの研究を通じて学びました。また、自分の研究テーマに真伨に挑戦する周囲の姿もとても励みになり、進学して本当に良かったと感じています。

修了後の進路

研究科ごとの修了後の進路(過去3年間の実績)

2024年度 専門分野/開講予定科目 担当教員紹介

音楽学研究コース

博前博士前期課程の研究指導 博後博士後期課程の研究指導

氏名 専門分野/開講予定科目 授業内容
岡部 真一郎 教授
博前博後
音楽学演習 20世紀音楽/同時代音楽に関する多角的な視座を養うことを目標とする。
望月 京 教授
博前博後
音楽学演習 楽譜の有無にかかわらず、あらゆる音響・音楽を分析的に聴き、時代や社会背景と関連づけながら、内包された意味を読み取ることを学ぶ。
和田 ちはる 准教授
博前博後
音楽学演習 近現代の日本の音楽史を、伝統音楽と西洋音楽との併存・交渉・軋轢といった側面に着目して、楽譜・楽器・文書・音源など関連するさまざまな音楽資料から読み解くことを試みる。
塚原 康子 講師
音楽学特殊講義 音楽を時代や社会の枠組みとの関連から主体的にとらえる視点を涵養する。発表、討論、小論文作成の過程から、論理的な構成力と表現力を身につける。
藤田 茂 講師 音楽学特殊講義 文化論・作品論・分析論を通して、人間に文化をもたらす根源の力を見定め、それが時代や国などの可変要素との関わりで、どう変化・分岐するかを直観できるようになること。

映像芸術学研究コース

博前博士前期課程の研究指導 博後博士後期課程の研究指導

氏名 専門分野/開講予定科目 授業内容
斉藤 綾子 教授
博前博後
映像芸術学演習 映画理論の理解を深めることを目的とする。日本映画、フェミニズム、メロドラマ、観客論などを取り上げ、様々な文脈で考察する。
門間 貴志 教授
博前博後
映像芸術学演習 戦争映画、SF映画、青春映画、犯罪映画、ドキュメンタリー映画など、さまざまなジャンルの映画を民族・文化表象の観点から分析する。
Roland DOMENIG 准教授
博前博後
映像芸術学演習 製作、興行、受容、批評など多面の観点から映画史を考察し、映画及び映画研究の発展を検討する。
菅野 優香 講師 映像芸術学特殊講義 クィア映画の理論、歴史について学ぶことを目的とする。作り手、テクスト、観客などの位相でジェンダー、セクシュアリティ、人種がどのように交差し、意味を生み出し、映画的実践がなされるのか考察していく。
渋谷 哲也 講師 映像芸術学特殊講義 ドイツ映画を中心に取り上げ、その社会背景や歴史的事情と作品の技法や美学的な特徴を総合して多角的な映画分析を行う。

美術史学研究コース

博前博士前期課程の研究指導 博後博士後期課程の研究指導

氏名 専門分野/開講予定科目 授業内容
青野 純子 教授
博前博後
美術史学演習 初期近代ヨーロッパの絵画市場と流通のグローバル化、コレクション形成など、受容の側面から絵画の価値・鑑賞を考察する。
山下 裕二 教授
博前博後
美術史学演習 江戸時代、明治時代の絵画を中心に、個別の作家研究を通じて、日本美術史の方法論を体得する。
小林 祐子 講師 美術史学特殊講義 古文書解読は、日本古美術研究における不可欠のスキルである。活字化されていない江戸時代の資料を中心に講読する。
塩谷 純 講師 美術史学特殊講義 明治大正期の美術界に絶大な影響力を持った「日本近代洋画の父」黒田清輝の存在を抜きに、日本の近代美術史は語れない。その事績について、作品や資料を通して検証する。

芸術メディア論研究コース

博前博士前期課程の研究指導 博後博士後期課程の研究指導

氏名 専門分野/開講予定科目 授業内容
長谷川 一 教授
博前博後
芸術メディア論演習 メディア論・メディア思想・文化社会学。ディズニーランドやコンビニ、乗り物など具体的な事象から、テクノロジーが浸透してメディア化した現代社会の日常性を研究している。
古川 柳子 教授
博前博後
芸術メディア論演習 「マス」と括られてきた個人が社会に直接発信する時代の流れを踏まえ、人間の表現活動と社会を結ぶ「メディアのデザイン」や「コミュニケーションの在り方」を探索する。
佐藤 由紀 講師 生態心理学・身体論 芝居は「見えない他者」を巡る芸術。俳優の身体によって舞台上に「何か」が見えてくる時、その本領を発揮する。そこで何が起こっているかを、生態心理学を始点として追求している。

演劇身体表現論研究コース

博前博士前期課程の研究指導 博後博士後期課程の研究指導

氏名 専門分野/開講予定科目 授業内容
穴澤 万里子 教授
博前博後
演劇身体表現論演習 メーテルリンクを中心としたフランス象徴主義演劇を専門とし、当時の演出と演技について、また美術との関係性を研究している。授業では多角的に演劇を捉える事を目的とする。
富田 大介 准教授
博前博後
演劇身体表現論演習 人間を含む動物の振る舞いに関心がある。講義では、求愛や威嚇、擬態、演技、ショーなど、必ずしも「作品」になるわけではない行為や表現との関わりからダンスの特殊性(「踊っている!」)を探る。
根岸 理子 講師 演劇身体表現論特殊講義 東西の近現代劇を取り上げ、戯曲の読み方と研究方法を学ぶ。戯曲から演劇の魅力を探ることを目指す。

入試情報

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