東京港野鳥公園

広大な大井埠頭の埋立地をわたる海風に吹かれながら、そっと耳を澄ます。どこからともなく聞こえてくる鳥たちの無数の鳴き声に気づいて目を開けたなら、そこは大都会に生まれた静かなバードサンクチュアリ、東京港野鳥公園です。
園内は緑溢れる里山の風景に始まり、ヨシ原や干潟などの水辺や海辺に至る環境までが一通り揃えられ、淡水池、潮入の池、湿地帯など、日頃なかなかふれあう機会のない、豊かな自然の営みに彩られています。
多摩川下流域の農村を再現した自然生態園には、林や田畑があり、小川も流れていたりして、懐かしい風情があります。
木々の間を通って遊歩道や観察小屋、芝生広場などが整備されていて、自然を肌で感じながら、散歩したり、お弁当を食べたり、昼寝したり、のんびりとした1日が過ごせます。
ここは昔、遠浅の海でしたが、1965年頃から埋め立てられ、自然にできた水たまりや原っぱにいつしか野鳥が集まるようになりました。それを見た地元の人々によって、貴重な環境をなんとか残そうと市民運動が始まり、その後東京都が都民の財産として、この公園を整備しました。
1989年の開園から、現在は広さ24.3ヘクタール、200種類近い四季折々の野鳥が、自然な状態で観察できる海上公園として親しまれています。
これからの時期、8月から9月にかけては、シベリアやロシアで子育てを終えたシギやチドリの仲間が南半球へ帰る途中にここに立ち寄ります。干潮の時間に合わせて観察すれば、干潟でカニやゴカイを食べる様子が間近で見られます。
バードウォッチングを気軽に楽しめるようにと、備え付けの望遠鏡が無料で解放されている「観察小屋」をのぞいた後は、ビデオ上映や展示資料、レンジャーの解説を通して野鳥の生態や自然環境を身近に学ぶことができる「ネイチャーセンター」に、是非立ち寄ってみてください。目の前に潮入の池を望み、地下から実際に干潟を観察できる施設で、冷暖房完備なので快適に自然体験ができます。
学生編集委員(白金通信2001年8月号)

交通:JR大森駅(東口)」より、京急バス(京急島・昭和島・城南島循環 大田市場行き)で「野鳥公園」下車

http://park15.wakwak.com/~tokyoko/