校内に博物館が設立されている大学がいくつかある。明治大学刑事博物館もその1つだ。JR御茶ノ水駅から徒歩5分、創立百周年記念大学会館三階にある。ここで1997年にアジア初の「ヨーロッパ拷問―人類の権利・自由を考える―」が開催され、注目を集めた。過去に訪れたことのある知人から「ギロチンや拷問具があって、恐くなる」と聞いたことがあった。行く前までは「所詮、複製品だろう」と思っていたが、実際に見るギロチンは迫力があり、当時使用されていた様子が頭に浮かび、寒気がした。ギロチン以上に圧巻なのが、中世ドイツの拷問・処刑具「ニュルンベルクの鉄の処女」である。鉄製の棺のような形で、内側に鋭い針が取り付けられており、犠牲者の身体を刺し貫いたそうだ。これを見たときには、身が凍る思いをした。この博物館は、拷問具などの展示公開のほかにも、古文書館、専門図書館の3つの機能をあわせもっている。20万点を超える歴史資料の中には、日向国延岡藩の「内藤家文書」や全国の地方文書もある。また、教科書で見たことのある錦絵や古代から近代までの法の歴史を語る文献資料も展示している。その中には実物も数多くある。閲覧室では、保管されている古文書、5万点を超える一般図書の閲覧やコピーの他に、古文書・絵図の写真複写をすることもできる。来館者は様々である。中学生・高校生の団体が課外授業で数多く訪れるほか、他大学のゼミ生、一般のサークル、カップルやサラリーマンなど、全国各地から来るという。リピーターもいるそうだ。入館料は無料ということもあり、誰でも気軽に見学することができる。昔の人は犯罪者や被告人に対し、自白を得るために、様々な道具を使用して肉体的苦痛を与えていた。その事実の「生き証人」をこの博物館で目の当たりにすれば、拷問がいかに残酷で、あってはならないことであるかを知ることができる。大学内にこのような立派な博物館があることは、多くの学生の勉強意欲を触発し、学生だけでなく一般の人にまで学問の世界を広げる機会を与えてくれるだろう。大学博物館は、貴重な資料を活用するのに最適な場所だと思う。学生編集委員(白金通信1999年11月号)
http://www.meiji.ac.jp/museum/criminal/keiji.html