私が3年のとき、「外交史」という講義で、「外交史料館というものがあって、明学の前からバスに乗って行ける」と聞いた。実際、「溜池」行きに乗り、「飯倉片町」で下車、徒歩3分弱である。おもに利用されるのは、本館にある閲覧室と別館にある展示室である。閲覧室は満二十歳以上という条件があるが、大学生なら利用可能とのこと。但し、身分証明書の提示を必要とする。一方、展示室は誰でも利用でき、修学旅行生も多く訪れるという。所蔵史料の中心は外務省記録である。幕末から終戦にかけての、外務省と在外公館との往復電報・通信などが4万8千冊のファイルに編纂され、原本で公開されている。さらに戦後の記録も、30年を経たものは国益・公益等に関わるものを除きマイクロフィルムの形で公開されている。これらの史料を、閲覧室で見ることになる。調べたい史料を目録から選び、請求票を書く。30分毎に書庫から取り出され、閲覧する。なお、目録は市販されており、前もって探したい史料の有無を調べておくこともできる。コピーが必要なときは、管内の業者に請求すると、マイクロフィルムの形で後日郵送される。閲覧者は年に3千人程で、学生・教員が最も多いという。政治・歴史の研究者が中心だが、文化関係の史料(美術・音楽・万博・五輪など)を調べに来る文学部の学生・教員も少なくない。研究者以外では、祖父母の旅券発給記録を探しに訪れる人などもあるという事である。外務省記録の他にも、徳川幕府編集の「通信全覧」「続通信全覧」、各種の条約書、図書・親書、吉田茂元総理関係資料などが所蔵されている。これらの一部は展示室で見ることができる。高校や大学の授業で読んだ史料もある。日米和親条約や日英同盟協約、サンフランシスコ平和条約の条約書は興味を引く。何といっても最大の魅力は、史料を現物で見る事ができる点である。ワープロのない時代の資料を目にすると、外交官たちの息遣いが伝わってくるような気がする。職員の方々による保存への努力に支えられながら、第一級の史料を使って勉強できる。かなり有意義な時間を過ごせるだろう。学生編集委員(白金通信1999年10月号)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/