現代美術館のさきがけとして1979年に開館した原美術館は、今もなお新鮮味を失わず、個性あふれる企画で楽しませてくれる美術館の1つである。品川駅から五反田方面へ徒歩で15分、白金キャンパスからは25分、御殿山の静かな住宅地にある。もともとは個人の邸宅であったということもあり、周囲に溶け込んだ落ち着きを持っていて、いかにも美術館という雰囲気はあまりしない。館内は展示室、ミュージアムショップ、カフェで構成されている。それぞれが連動していて、美術展だけではなく美術館全体を楽しむことができる。企画展は年に3回から4回行っており、企画に関連したイベントも多数開催している。2000年2月27日までは、フランス人作家ソフィ・カルの個展を開いている。一階のミュージアムショップでは展示のカタログはもちろん、企画展のグッズや個性的な小物も扱っているので、インテリアやギフトとして選ぶのもよいだろう。中庭に面したカフェテラス「カフェダール」は、コースの他に、毎回の企画展示にあわせたイメージケーキをメニューに加えていて、今回はソフィ・カルの展示とともにケーキも味わうことができる。企画展を見た後にイメージケーキを食べて余韻にひたるのも楽しい。作品の点在する庭を眺めながら過ごす時間は、ゆったりとした気分にさせてくれるだろう。原美術館ではただ作品を見せるだけではなく、メンバーシッププログラムを基盤にした積極的な鑑賞を提案している。作家を招いての講演会、他の美術館の見学会など、現在進行形の現代美術に追いつくべく活動している。群馬にある分館、ハラミュージアムアークへは泊りがけで出かけるなど、メンバー会員の人たちも熱心に参加しているという。大規模な美術館では、企画展を目当てに訪れる人が多いと思うが、原美術館には企画を含めた美術館自体のファンが多いのではないかと感じた。友人と訪れても、一人で訪れても温かく迎えてくれる、そんなこの美術館のファンはまだまだ増えていきそうである。学生編集委員(白金通信2000年1月号)
http://www.haramuseum.or.jp/