本紙1月号の特集で取り上げたりんかい線で更に身近になったお台場に、1度は訪れてみたい一押しのちょっと変わったスポットがあるので紹介したい。大崎駅から5つ目の「国際展示場駅」を降りると右手にひときわ目を引く建物がある。外壁はガラス張りで透明感があり、近未来を感じさせるこの建物がパナソニックセンターだ。昨年の9月に開館したばかりの新しいスポットである。前からわかるように松下電気グループの総合情報受発信拠点だ。企業の展示場という枠を完全に破り、いろいろな実証実験を通して様々な人の声を集め一緒に考え、成果を製品開発に反映させたり、異業種の企業や地域と連携しながら共同で今まで体験したことのない感動を創っていこうという場所だ。子どもからお年寄りまでがいつでもどこにいてもネットワークにアクセスできる環境を作る「ユビキタスネットワーク社会の実現」と、地球環境の保全を念頭に置いた製品づくりを目指す「人類と地球環境との共存」をテーマに掲げている。多くの人に取り組みを知ってもらい意見を聞こうという狙いで、ターゲット年齢層を設けていない。実際にどんな活動や提案を行っているかが気になるのでフューチャーライフスタイルラボというコーナーに注目しながら館内の一部を案内しよう。エントランスを入るとすぐに新製品紹介があり、奥には新しいデザインについて考えるデザインギャラリー、最新機器の使い方を学ぶクリエイティブラボがある。ブロードバンドカフェではコーヒーを飲みながら高速インターネットを体験することもできる。2階にある「くらし・環境ショウケース」の中に、注目したラボはある。2005年から10年の未来生活空間を提案している場所で、今話題の家庭用燃料電池や自走式掃除機などすでに製品化されつつあるものから、洋服を管理・コーディネートまでしてくれるクローゼットのような未来家電までが並ぶ。今までの「展示場」と最も違う点は、来場者から「これはもっとこうした方がいい、こんなのいらないよ」等の率直な意見を聞き、製品開発の方向を模索するというコンセプトだ。様々なコラボレーションやイベントを通して、企業と社会との新しい関わり方も模索しているそうだ。私も「トイレで自分の健康管理が出来るとは考えなかったし、便利だと思うが、電磁調理テーブルを食卓と共有できるというテーブルは油汚れなどが気になるのであまり使いたくない」など意見を伝えてきた。もしかすると、自分の素朴な意見が将来実現するということがありそうな気にさせてくれる。取材に応じてくださった広報の北村さんは「ネットワークや環境に興味のある方にはとても参考になる場所だと思います。厳しい不況の中でも日本企業は元気だと言うことを感じてもらいたい。気軽に訪れてもらいたいです」と言う。主に学生を対象とした新しい家電のデザインを提案する展示会などを催す計画もあるそうだ。定期的に訪れてみると毎回違った楽しみが発見出来る場所だ。学生編集委員(白金通信2003年4月号)
http://panasonic.co.jp/center/tokyo/