7.擬人化キャラは人か、それとも?

 「ヘタリア」という漫画をご存知だろうか。HP上での連載を経て書籍化、現在は雑誌連載にまで人気を高めている「国擬人化」漫画である。世界各国の特徴や文化を捉え、「人」のような「国」という存在が登場し、世界情勢や文化、歴史を面白おかしく描いている漫画である。最早この漫画の中では、彼らは人のように見えて、存続する限り変わらず存在する「国」という姿で生きている。漫画自体はもう既に数年前から人気があったらしいが、私がこの漫画を知ったのは、今から3年ほど前、高校3年生の春、この作品が初の書籍化を果たして店頭に並んでいるときだった。この頃から、なんだか擬人化漫画が増えてきたような気がする。

 擬人化とは、「人間でないものを人間になぞらえて表現すること」である。詩や文章での、人ではない存在が人のように表現されているのも、擬人化のひとつらしい。漫画やイラストで表現される擬人化しか知らなかったため、調べるまで本来の意味を忘れていた。擬人化作品の面白いところは、擬人化されたキャラクターたちは、非常に作りこまれているというところである。例えば、ファーストフードを擬人化した漫画の登場人物の一人に、「マクドナルド」を媒体にしたキャラクター、「間久戸鳴人」がいる。彼は、マクドナルドが全世界にあることから、マルチリンガルという特徴を持っている。また、今年に入って女性向け漫画雑誌「KISS」にて連載され始めた西山優里子の「家電の女」は、家電擬人化を題材にした漫画である。勝手に掃除してくれる掃除機「アイロボット」は、あのくるくる動き回るところを特徴として社交ダンスが得意だったりする。なかなか、うまいところを付いてくる。

 しかし、いかに人の姿を型どり生活していたとしても、擬人化された彼らは果たして本当に「人」だろうか?「擬」人化というだけあって、やはり人ではないのではないだろうか。ヘタリアのように、人のような「国」という存在であったならば分かりやすいのだが、個人として成立されてしまうと、果たして彼らをなんとしたらよいのか。擬人化された存在は、不思議なキャラクターである。

「キタユメ」(ヘタリア連載サイト)
  ※現在は、月刊誌「バーズ」にて連載中