《開催しました》【東アジア平和カフェ・第1回】商船三井の差し押さえと戦後和解

2014年7月7日(月)石田隆至研究員による講演会とディスカッションを開催しました。

同講演とディスカッションは、日本と中国や朝鮮半島との関係が年々悪化していることを受け、戦争被害国の視点から日本政府や社会のどのような点が問題であるのかについて学生とともに考えることを目的として開催された。

石田研究員より、ヘイト・スピーチやデモ(人種差別スピーチやデモ)や今年4月に発生した商船三井船舶差し押さえ事件を事例に、日本人の中に内面化した人種差別や日中間に存在する歴史認識の落差などが報告された。とくに、1990年代後半以降顕著になった、日本政府の戦争への反省を忘却したような言動や行動が、両国の関係性に悪影響を与えてきた。

一部の過激な人びとだけでなく、多くの人びとがアジアの被害者に対して高圧的態度を示しているにもかかわらず、彼らを差別しているという自覚は希薄である。そんな社会のありようを、日本社会に暮らす人々は自覚する必要があると強調された。

参加者からは、ヘイト・スピーチに参加している人びとが抱く社会への不満や、戦後賠償はいつまで要求され続けるのかなどについて意見や質問が出され、意見交換を行った。

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今年の4月、中国で商船三井が所有する船舶が差し押さえられたことがニュースになりました。 戦時中の1937年に、中国の会社が三井に船を貸した際の契約が不履行のままであったため、差し押さえることで日本側の未払いを清算する ための措置だと発表されました。日本政府はすぐに「戦争賠償問題は終わったこと」だとして反対を表明しましたが、直後に、商船三井は40億円の賠償金を支 払い、差し押さえは解除されました。80年前の契約がいまなぜこのような形で問題化したのか、戦争賠償だったのかそうでなかったのかなど、疑問が残る形で 報道は終息しまし た。
今回の出来事は、いま中国や韓国とのあいだで起きている様々な問題とは別個の問題でしょうか、それともつながっているのでしょう か。戦争賠償 や戦後和解といった文脈で捉え直してみると、どう見えるでしょうか? いまの日本社会で焦点となっている「集団的自衛権」や「憲法解釈の 変更」等の問題と は、どのような関連性をもっているでしょうか?

 学生の皆さんと一緒にあらためて考え直してみたいと思います。

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日時 2014年 7月 7日(月)16:45~18:15

会場 明治学院大学横浜キャンパス 8号館2階 821教室 http://www.meijigakuin.ac.jp/access/

参加費無料
事前申込み不要

講師
石田隆至(PRIME研究員)

コーディネーター
張宏波(PRIME所員、教養教育センター准教授)

主催 明治学院大学国際平和研究所(PRIME)