研究会
要旨:
米国は、第二次世界大戦後、「大日本帝国」の旧宗主国側であった北緯30度以南の鹿児島県大島郡と沖縄県全域を、日本とは異なる「琉球列島」という植民地国家(the colonial state)に再編した。「琉球列島」は、1972年の沖縄の施政権返還まで存続するが、その間、1953年末に奄美が日本に返還されるまで、多くの人びとが奄美から沖縄島に移住している。
ところで、「琉球列島」では、居住許可制や強制送還の対象となり、参政権や金融機関からの融資等の諸権利を奪われた人びとについて、行政上「非琉球人」と呼称していた。「非琉球人」は、1954年以降、米軍将兵や沖縄県に戸籍をもつ「琉球住民」以外の全ての者と規定されるが、その多くが奄美からの移住者であった。
本報告では、米国や沖縄の行政機関による「在沖奄美人」に対する法的処遇を中心に、「非琉球人」管理体制が成立する過程について批判的に検討する。その際、奄美や宮古からの移住者に対して実施されていた強制送還(1950年前後)と、奄美返還時に米国政府が計画した、強制送還および「自発」的帰還を含む「在沖奄美人」に対する事実上の完全送還政策(1953年~54年)に着目して分析していく。
講師:土井智義氏(日本学術振興会特別研究員(PD)/ 東京大学)
主催:明治学院大学国際平和研究所
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