2000年2月

2月24日

 以前にも紹介した、徹頭徹尾ゲーム理論的アプローチで押し通した新機軸のミクロ教科書、松井彰彦梶井厚志『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』(日本評論社)がいよいよ刊行された。練習問題には解答のヒントもついて自習にも使える。
 マクロにおける似たような試みとして、松尾匡『標準マクロ経済学 ミクロ的基礎・伸縮価格・市場均衡論で学ぶ』(中央経済社)をも参照されたい。

2月1日

 と昨日書きはしたが、よくよく原著David S. Landes, The Wealth and Poverty of Nations, Little, Brown and co.と見比べたらかなり思い切った抄訳でやんの。しかも一言も断りなしときた。やれやれ。なめた商売してやがんな。

2000年1月

1月31日

 いやあまりこれというものを読んでないと言うか読む暇がないんですがね。子供が保育園にはいるまではもうどうしようもないです。(でも細かい仕事は引き受けていたりする。)
 市野川容孝『思考のフロンティア 身体/生命』(岩波書店)、これは必読でしょう。フーコーを使いこなしてフーコーの向こう側に、自らの目と手で史料に挑みつつ歩んでゆく。立岩真也、そして市野川容孝。日本の生命社会科学はここから始まるのだ。
 デヴィッド・S・ランデス『「強国」論 富と覇権の世界史』(竹中平蔵訳、三笠書房)。『西ヨーロッパ工業史』(みすず書房)などで日本でもおなじみの経済史の碩学の大著。ちょうど渡豪していた間、向こうでも売れとりました。しかし邦訳はまあなんつうかお品のない体裁になって出たものよ。訳者が訳者の上に堺屋太一推薦。普通ならかわんぞ。
 実際確かに内容も俗受けしないわけではないと言うか、多分じいさまが昨今の(コロンブス500周年も祝えないほどの?)PCの横行に逆ギレしたんだろうなあ、全巻挙げて進歩主義・ヨーロッパ中心主義批判への反批判という感じ。しかしそれがストレートに進歩主義・ヨーロッパ中心主義礼賛ともなれないところが、苦しいところなんでしょうか。いやそれとも今の世の中ではこれで充分クソ進歩主義のヨーロッパ中心主義宣言になってるんでしょうか。まあ素直に読んでも内容豊富できっちり勉強になりますから、裏読みもすれば楽しさ倍増、ってことで。

 さて、ジェーン・ジェイコブズの新著The Nature of Economy, Modern Libraryが3月に出る。ついにこう来るか。実に楽しみである。


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