松井彰彦『慣習と規範の経済学』(東洋経済新報社)[bk-1、amazon]は『経セミ』連載時よりずいぶんと硬派の印象の専門書になって刊行された。第1部は繰り返しゲームを主に産業組織の話題を使って論じ、第2部は進化ゲーム、第3部は新分野の帰納ゲームを解説する。『ミク戦』を読んでないとつらいだろう。
ロナルド・ドゥウォーキン『平等とは何か』(木鐸社)[bk-1、amazon]は意外なほど早く邦訳。もっとも中味(功利主義的「厚生の平等」を批判し「仮説的保険市場」のアイディアをもとに「資源の平等」論を展開する)は20年来知られよく議論されてきたもので、もっと早く(原著が)刊行されていてもよかった。
「平等」については『地図と磁石』の仕事を通じて自分なりの理路が少し見えてきたところでもある。「保険をつうじた平等」のアイディアはドゥウォーキンも、つい先頃物故したロールズなどもつかっていたが、たぶん保険と平等は直結しない。では何が……? その先はいずれ。
奥平康弘・宮台真司『憲法対論』(平凡社新書)[bk-1、amazon]、直球勝負で、こういう本をもっと読みたいな、と思う。しかし実は結構予備知識のいる本かも。
最近はダン・スペルベル公式ページを愛読。いっとることのほとんどが正しいような気がする(ことにミーム論への突っ込み)。やはり関連性理論だのグライス哲学だのをやらないかんのか。
『SIGHT』の原稿を仕上げる。こちらの5冊、内訳は
戸田山和久『哲学教科書シリーズ 知識の哲学』(産業図書)[bk1、amazon]
デイヴィッド・チャーマーズ『意識する心 脳と精神の根本理論を求めて』(白楊社)[bk1、amazon]
野口旭・田中秀臣『構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)[bk1、amazon]
玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安 揺れる若年の現在』(中央公論新社)[bk1、amazon]
小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉 戦後日本のナショナリズムと公共性』(新曜社)[bk1、amazon]
山形の分と編集部の分はひみつ。みんな買って下さい。
佐藤郁哉『組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門』(有斐閣)[bk1、amazon]、いい教科書だと思います。
念のため言うときますがね、イブン・ウェーバー『ハワーリジュの倫理と資本主義の精神』なんて本は今のところ何語でも書かれてませんからね。問い合わせは受け付けません。