2002年9月

9月24日

 17、18、19日と初めての合宿。3、4年合同の大所帯で尾瀬の近くまで。
 1日目は4年生に卒論の中間報告をさせる。漠然たる不安。
 2日目は立岩真也『私的所有論』(勁草書房)輪読。4年生は昨年読んでいるが、3年生は今回が初めて。事前の情報からろくに読みこなせていないことがわかったため、(あのメガネのおっさんは嫌いだが)「斎藤孝方式」を取る。つまり、前半の、というより全編のヤマである第4章「他者」攻略を目指し、第2章から全文を音読させる。しかし、結構注釈、解説に手間取り、途中夕食をはさんで夜10時までかかって第4章第2節「境界」で力尽きる。まあ第1節「他者という存在」をこなしたのでよしとする。個人的には大変勉強になったが、学生諸君の方はいかがなものか。
 3日目の尾瀬ハイキングは恥ずかしながら腰痛のためトンズラ。先に1人下山する。夕方、全員無事下山との電話にほっとする。
 今年の3年ゼミは規模のせいもあっていまいち集団が作れていなかったので、それを何とかするのも今回のテーマであった。少しは打ち解けたようだが、さて秋はどうなるか。

 20日はロフトプラスワンで和智正喜『仮面ライダー ―誕生1971―』(講談社)の発刊記念イベント。開始前に楽屋に行って切通理作に仁義を切る。(『宮崎駿の〈世界〉』酷評した手前、ね。)
 そこそこの客の入り、およそ3分の1くらいはゲストの『仮面ライダー龍騎』監督田崎竜太、編集長役津田寛治目当ての若い女性ファンで、『誕生』未読とのこと。しかし切通氏は当然としても、田崎、津田の両氏、そしてビデオゲストの(本郷猛こと)藤岡弘(!)御大までがきちんと『誕生』を読み込み、熱くプッシュしてくださっていたことには他人事ながら感激。その甲斐あってか当日『誕生』も21冊はけたとかで、よかったよかった。あとは増刷、そして続編だな。

 ミシェル・フーコー『真理とディスクール パレーシア講義(筑摩書房)、晩年のバークレーでの講義録。これからコレージュ=ド=フランスでの大部の講義録も順次刊行されるとか。「公刊してくれるな」という遺言はどうなったのでしょうか。とか言いながら買ってしまうんだろうな。

 梶井厚志『戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する(中公新書)、新書のゲーム理論入門書として好適。

9月11日

 市野川容孝『生命倫理とは何か』(平凡社)、便利な入門書。制度としての「生命倫理(学)」の外側にあえて立とうとする姿勢が○。「障害」の章もあって、立岩真也、長瀬修らも寄稿している。

 河野勝『社会科学の理論とモデル12 制度』(東京大学出版会)、政治学における新制度主義アプローチについての概説書。この辺についての基本図書の数少ない邦訳であるマーチ&オルセン『やわらかな制度』(日刊工業新聞社)が品切れなのを何とかしてほしい。


インタラクティヴ読書ノート・別館

インタラクティヴ読書ノート・本館

ホームページへ戻る