2004年5月

5月24日

 ササキバラ・ゴウ『〈美少女〉の現代史 「萌え」とキャラクター(講談社現代新書)[bk1, amazon]、これは名著である。唐沢俊一裏モノ日記の5月21日も参照のこと。あと著者のサイトのこちらも。

 酒井隆史『暴力の哲学』(河出書房)[bk1, amazon]、評判を取った前著『自由論』(青土社)には「お勉強ノート」という以上の印象を率直に言って持てなかったが、今回は少なくともテキストに対する自分なりの「読み」というものができていて、ずっとよい本になっている。

5月17日

 浅羽通明の新著「名著でたどる日本思想入門」最初の(?)2連発『ナショナリズム』[bk1, amazon]と『アナーキズム』[bk1, amazon](ちくま新書)、8日に店頭で見つけて即買い、二日で読む。
 いやーおもしろかった。アナキズムと保守主義との通底関係についての指摘なんかは膝を打ちましたよ。構造改革主義とマルクス主義との共犯関係においても、ある意味で似通ったことが起きているのかもしれない。(違いのほうも大きいようだが……。)取り上げられた素材についても『ナショナリズム』で司馬遼太郎を取り上げるのは当然だが、本宮ひろ志を大きく扱ったあたり、さすがにシャープである。また『アナーキズム』では普通なら狩撫麻礼あたりがあがりそうなところを松本零士というあたりは頭が下がる。
 不満はもちろんいろいろある(『アナーキズム』末尾でノージック的メタユートピア論を妙に持ち上げるところ――あれの行き着くところは「オタクの棲み分け島宇宙」ではないだろうか?)が、総体としては「臨床思想士」の面目躍如という感じの2冊であった。

 南條範夫『駿河城御前試合』(河出文庫、品切)を古書ネットで手配。山口貴由『シグルイ』(秋田書店『チャンピオンRED』連載中)も買うべきか……。

 上橋菜穂子「守り人シリーズ」(偕成社)はいまどきの模範的なジュブナイルですね(皮肉ではない)。

 友人和智正喜のゲームシナリオライターとしての最初の作品『シャイニング・フォース』が十余年ぶりに彼自身の手でリメイクされる。メガドライブからゲームボーイアドバンスへという、時代の流れを感じさせる移植。携帯ゲーム機だから、グラフィックがしょぼいのは勘弁してくれ。新キャラ3人の追加など、シナリオはかなり書き直され、充実しているはずである。ヨーロッパ版は先行発売済み、日本版は8月発売予定。
 しかし『2』以降のいきさつなどを思い返すに、再び彼が「シャイニング・フォース」を手がけることになるなど、思いもよらなかった……。(皆さん高橋兄弟のことは忘れましょう。今回は一切関係ありません。)


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