2004年6月

6月29日

 伊勢田哲治『認識論を社会化する』(名古屋大学出版会)[bk1, amazon]が届いた。認識論・科学哲学と科学・知識社会学を本格的にすり合わせる他、ケーススタディとしてアメリカ社会学における理論的多様化が分析されているので、社会学関係者も必見。

 もりもと崇『難波鉦異本』(少年画報社)[bk1]と二ノ宮知子『のだめカンタービレ』(講談社コミックス)[bk1]を読み始める。

6月21日

 まああれです。いろいろ。気ばかりせいて。大学の教育も雑用もその他校務もあるし。では原稿の方はどうかというと。金にならない大学広報に書評を1発というのは置いといて。『経済学という教養』の付録というか続編というか『市場経済の哲学(仮)』という奴を某新書から今年中には出したいのだがそのためにはやはり夏休み中(ということは9月中)に300枚くらいの原稿をリーダブルな形でまとめなければならず。しかしその原稿の方は「市場経済」の準備の「所有」論のところを20枚くらい書いたところでしばらくとまっていて他方インコミの連載の次号用の原稿は80枚を超えても収拾がつかずいいかげん前半で切るかいやこの後半のアレントの読みかえのところは「所有」「市場」論に転用可能じゃないかああこれはうまいしかしそんなことをしている暇があったら某漫画家トリビュート本の原稿も書かねばだいたい月末には漫画家さんへの第2回インタビューださあどうしよう。それはそうと北田くんはどうしてあんなに筆が早いのか才能があるからかそれとも若いからか東大はそんなに暇なのかいやそんなはずはないやはり子供がいないからかいや実はいるのか……。

 それはそうと『市場経済の哲学(仮)』を予定している身としては、崎山政毅『思考のフロンティア 資本』(岩波書店)のことはほとんど気にならないが、しかし大庭健『所有という神話 市場経済の倫理学(岩波書店)のことは気になる。(いずれも7月刊行予定。)
 『思考のフロンティア』といえば新刊は広田照幸『教育』[bk1, amazon]であるが、現状分析はともかく第3部の展望編がよくない。いいかげん左派・リベラルに瀰漫している「反成長」「脱成長」論を見直させないと、とつくづく思う。マイナス成長下では格差の縮小も、そして意外なことに環境負荷の低減もほとんど期待できないのだ、ということをもっときちんとわかっていただかないと。

 福田和也『イデオロギーズ』(新潮社)[bk1, amazon]は意外と申し上げては失礼にあたるだろうが丁寧な啓蒙書。ただしこれに啓蒙される読者層って一体どのあたり? って俺が言うか俺が。多分やっぱり俺のような「人文系ヘタレ中流インテリ」あたりだろう。しかし「人文系ヘタレ中流インテリ」は果たして現代日本社会において「知的ヘゲモニー」を握る「有機的知識人」なのだろうか。よーわからん。ま、ともかく本書のおかげででおくればせながら『ダヴォス討論  カッシーラー対ハイデガー カッシーラー夫人の回想抄(リキエスタの会)[bk1, amazon]を購入したのである。

 ジョン・D・バロウ『宇宙に法則はあるのか』(青土社)[bk1, amazon]は店頭で見つけて即買い。88年初版、2000年に改訂版というわけで、バロウの啓蒙書の集大成といった趣。あと沼上幹『組織デザイン』(日経文庫)[bk1, amazon]、清水谷諭野口晴子『介護・保育サービス市場の経済分析』(東洋経済新報社)[bk1, amazon]も買う。

 Peter H. Lindert, Growing Public; Social Spending and Economic Growth Since the Eighteenth Century : The Story, Cambridge University Press[amazon]はすごい。福祉国家の比較計量史の大著。データベースとしても必携か。いやデータベースとしては第2巻Futher Evidence[amazon]か。こっちも早くペーパーバックが出てほしい。

 ついに出ました! パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』(イースト・プレス)[bk1, amazon]。来年度基礎演習テキストにしよう! 今年度は間に合わないから学生に勧めよう! 


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