プロフィール

◆はじめに
私は、環境問題、ごみ問題、共同体の権利(漁業権、水利権等)、埋立問題等を研究している研究者で、明治学院大学国際学部に属しています。

埋立問題に取り組み始めたのは、1976年のこと。
鹿児島県の志布志湾開発計画(志布志湾を埋め立てて大規模コンビナートを造ろうとする県・国の計画)に反対する住民運動に関わったのが、そのきっかけです。志布志にはどっぷりはまりこんで、住民の助っ人としてその後15年余りも関わり続けました。
その中で、共同体の権利に目を開かされ、漁業権・水利権等について研究することになりました。難しく聞こえるかもしれませんが、わかりやすく言えば、持続的な、生命を尊重した社会を創るためには、どうすればよいか、という研究で、そのためには漁業権・水利権やそれらに類似した権利が重要な基盤になるというのが私の考えです。なぜなら、それらの権利は、地元の住民が地元の自然資源を持続的に利用していくような権利だからです。最近、タイでもカンボジアでも同様の権利が生まれて広がりつつあり、そのことが国のあり方を左右するほどの大問題になっていることに注目しています。

ごみ問題には、1981年以来取り組み続けています。
処分場、ダイオキシン、容器包装リサイクル、家電リサイクルなど、ごみ問題・リサイクル問題は深刻かつ重要になる一方です。人類が従来のような果てしない生産・消費の拡大を続けていくことは資源と環境の両面から不可能であり、来世紀に向けての資源循環型社会創りは人類史的課題とさえ言えます。
日本でも表面的には資源循環型社会創りが始まりましたが、政府の取り組みは企業サイドに立っており、消費者、市民に費用負担させ、企業責任を骨抜きにした循環型社会創りが進められています。それに対して市民サイドからの政策批判及び提言を続けていきたいと思っています。
「廃棄物を考える市民の会」というNGOにも属しています。市民サイドからの政策批判や各地の住民運動の交流をシンポジムや機関紙の発行などをつうじて行っています。会の運営を手伝ってみたいと思われる方はメールでご連絡ください。

◆自己紹介
生れ:佐賀県小城町(小城羊羹がおいしい)
趣味:スポーツ(特に野球・サッカー・テニス・卓球等の球技)
職業:明治学院大学国際学部教員(横浜市戸塚区上倉田町1518)
専攻:生命経済学・環境経済学・環境生態学
ゼミ:テーマは「アジアの開発と環境」。毎年、タイの開発・環境問題の校外実習(スタディー・ツアー)に出かけて、疲労困ぱいして帰国。だが、実習を通じての学生の成長が楽しみ。
NGO :廃棄物を考える市民の会(千代田区麹町2-7-3-302市民運動全国センター)副会長。
志布志湾、沖縄県石垣島白保、佐賀県唐津、高知県夜須町等の埋立計画に関する住民運動に関わる。

著書・論文

(ver1.1997.8.4作成、ver2.1999.1.20作成。以降、逐次追加掲載)

時折、論文等を書きますが、そのつど知人に知らせすることは不可能ですので、ホームページの著書・論文の項に、逐次、追加掲載していくことにしたいと思います。私の研究に関心を持った方は、時々覗いてみて下さい。

単 著
1.過剰社会を超えて       八月書館 1985.10
2.これからの日本農業        岩崎書店 1986. 4
3.埋立問題の焦点      緑風出版 1986. 7
4.持続的開発と生命系      学陽書房 1995. 2
5.ごみ問題への視点      三一書房 1995. 4
6.ごみ行政はどこが間違っているのか? 合同出版 1999. 7

編 著
1.環境自治体をめざして 自治労自治研 1991.10
2.環境自治体の創造 学陽書房 1992.12

主な共著
1.ゴミ問題の焦点 緑風出版 1985. 2
2.ごみで斬る 社会思想社 1992.12
3.環境自治体づくりの展開 自治労自治研 1993.10
4.コモンズの海 学陽書房 1995. 4
5.自然保護事典 第二巻 緑風出版 1995. 8
6.海の「守り人」論 れんが書房新社 1996. 8
7.木曽川を守る 実践社    1997.11.15
8.自然はだれのものか    昭和堂     1999. 1.30

◆最近の主な論文
1.廃棄物処理法改正とごみ紛争解決への展望 法律のひろば 1997. 6
2.「持ち出さない」原則と住民自治が解決のカギ エコノミスト 1997. 7.15
3.家電リサイクル法にオプションはないか 月刊『廃棄物』1998. 3
4.悪法「家電リサイクル法」を成立させるな エコノミスト 1998. 5.26
5.生産者責任を骨抜きにした家電リサイクル法 月刊『廃棄物』1998. 9

◆最近関わっている問題
◇天草本渡港のマリンタウン計画(99年2月〜)
……共同漁業権(入会漁業権)とは何かに関わってくる埋立反対運動。
99年6月現在、マリンタウン計画はほぼ潰れました。住民の勝利です。
本渡での講演(99年2月14日)レジュメ
関連して、次に、私の漁業権の恩師である浜本幸生氏が三年もの歳月をかけて執筆された最高裁判決批判(なんと千頁にもなります)の目次及び「はじめに」を掲載します。まな企画の中島満氏が出版を計画されています。歴史に残る本になることでしょう。
額に汗して働く漁民をこよなく愛する精神と熱意に感動します。
浜本最高裁判決批判

◇熊本県川辺川のダム問題(99年2月〜)
……川辺川のダム計画に反対する住民運動 運動のホームページ

◇兵庫県相生市の埋立問題(99年3月〜)
……相生市民による埋立反対運動 運動のホームページ
次に、「埋立免許を得たものが、それまでの水面使用を排除できるか」という問題に関する、私の意見書と市(埋立事業者)側から出た神戸大学教授阿部泰隆氏の意見書の要旨・本文を掲載します。埋立問題に関心のある方は覗いてみて下さい。
熊本意見書要旨
熊本意見書本文Textファイル
熊本意見書本文Wordファイル
阿部意見書要旨
阿部意見書本文Textファイル
阿部意見書本文Wordファイル

◇環境自治体創り(99年3月〜)
……91〜92年にまとめた環境自治体創り報告書(上掲編著1.環境自治体をめざして)の新版つくり。環境自治体創り運動は、それなりに広がっているのですが、そもそもの提起者である自治労内部ではそれほどでもなく、そこを変えていくことが課題です。

◇大分県佐伯市大入島の埋立問題(99年3月〜)
……廃棄物処分場建設目的の海面埋立反対運動

◇原発の経済性(99年4月〜)
原子力資料情報室からの依頼で原発の経済性研究のアドヴァイザー的役割を担っています。最近の若手経済学者たちの検討により、約15年ほど前に私が書いた論文(拙著『過剰社会を超えて』に所収。また当時の経済評論別冊『市民のエネルギー白書』にも所収)が、従来の原発の経済性に関する論文の中で、唯一通用するものだという結論になり、現時点での経済性検討を要請されました。私は、ごみ問題や埋立問題などで手一杯であり、とても本格的に原発の経済性に取り組む余裕がないので、アドヴァイザーとしての参加を引き受けました。
 15年前に論文を書いたときには、同時に、原発反対運動側の「原発を作れば作るほど電力会社が儲かるから作るんだ」という、当時の誤った主張を「誤りだ」と指摘したために、「運動に水を差した」との批判を受け、また、特に論文が注目されたこともなかったのですが、15年後に評価されるとは、研究者冥利に尽きます。真に価値のある研究や芸術は、その時の体制・主流派と衝突することが多いため、死後に評価されるのが常であり、したがって、私は、私の研究は死後に評価されるものと決めつけていますが、生きているうちの評価も悪くはありません。
 今、アジアの諸国で、NGOが原発の経済性を国際比較しよう、ということになっており、それに向けて、原子力資料情報室が日本での経済性検討、及び国際比較のためのフォーマット作りをすすめています。そこに関っているわけです。

◇ごみ処理広域化の経済性検討(99年6月〜)
 ダイオキシン排出でワースト1を記録した兵庫県宍粟郡の住民から、ごみ処理の広域化の経済性検討を依頼されました。広域化は厚生省の方針であり、また兵庫県が委員会(委員長:京都大学酒井伸一助教授)を設けて、広域化したほうが経済的だ、という報告書を作ったので、それに反論したい、とのことです。またまた、御用委員会、御用報告書の登場です。アセスメントなども同様ですが、結論が先にあり、それに数字などを合わせるのですから、いつも行政に都合のいい結論が出るのです。もっと、行政に批判的な研究者が出るような土壌を作らないと、こうした報告書が次ぎから次ぎに出てくることになります。でも、大学という世界は、基本的にごますりが残るような仕組みになっていますから、行政に批判的な研究者が出てくることは望めません。
市民が力を付け、研究者や行政を監視するようにならないとだめでしょう。宍粟郡の住民は、自ら反論を試みています。私もお手伝いしますが、そのような住民が日本のあちこちに生まれること、研究者への幻想を捨てることが、日本を変える一番の力になると思います。

  ◆近年の関連記事・論文等
◇埋立・漁業権関連
天草本渡港の埋立問題(全く正確でない記事ですが。正確なことは講演レジュメ参照)
藤前問題、朝日新聞(98年2月13日)
◇廃棄物関連
御嵩町問題、朝日新聞(97年6月23日)
御嵩町問題、毎日新聞(97年6月23日)
Mitake,Time(16,June,1997)
ダイオキシン、朝日新聞(97年7月3日)
廃掃法改正、エコノミスト(97年7月15日)
産廃問題、東京新聞(98年1月25日)
家電法、エコノミスト(98年5月26日)
家電法、月刊廃棄物(98年9月号)
『ごみ行政はどこが間違っているのか?』(合同出版)目次