left2.gifup2.gifright2.gifpmjs 日本語版 072003.10.03)



7回目の日本語版ダイジェストをお届けします。

*『古今集』55番歌

*義、先尺、「義なし」

*『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』

ASCJ学会パネリスト募集

*謡曲「敦盛」ビデオ

*公募(Washington University in St. Louis

*公募(University of California, Irvine


もしオフリストで質問者に直接ご返事頂けるときは、それぞれのメールア レスに直接返信して 下さい。その他の返事ならびに質問などはwat...@...eijigakuin.ac.jpに送って下さ い。英訳します。

メールの総数: 18
期間:2003918 - 103
リンクなどは最後にあります。


From: "Rein Raud" <rein.r...@...l.ee>

Date: 2003.Sep.18 05:42:20

Subject: [pmjs] 『古今集』55番歌


Janickの指摘は尤もですし、小沢正夫や他の同じ歌句分割をしている人々も、です。Thomas Howellの歌句分割は関係詞の問題からだけでなく、5、7、5、7、7音の分割からみても不可能です。"mite nomi ya (5)/ hito ni kataramu(7)"というふうにしか分割できません。Thomas Howellのでは(3/9)と分割され、和歌として意味をなしません。『万葉集』でさえも、字余り字足らずはそんなに多くはありません。長歌ぐらいです。

Greetings,

Rein Raud



From: "Susan B. Klein" <sbkl...@....edu>

Date: 2003.09.07 16:38:29

Subject: [pmjs] 義、先尺


Tom、私のLewisの引用(言い換え)を誤解なさったようで、すみません。私は、そしてLewisもそうだと思うのですが、単なる歌語の意味の定義を意味する(これが当時一番普通のことだったかも知れません)ことがない、と言っているのではありません。

Lewisは『両度聞書』における「義」の用法(Lewisは一例しかあげていません)は希に寓意的解釈が読みに付随しているのを示唆している、と言っているのです。そして、私の論点は、『古今集序聞書』において、さまざまな定義をあげた後、自分たちの流派の定義として一つ選び、それが、そうみなされていた歴史的なもっともらしさ、Tom言うところの「一般的な知識、定義、歴史的事実とか言語的意味」 によって支持され、更にこれはそのもっともらしい事実の、語源的寓意的読みによって(二重に)支持される、ということです。


第二の論点は、歴史的事実の扱いについてです。『毘沙門堂注』ではそれらを保存する(おそらく単にねつ造されたのかもしれませんが)と仰っていますね。ではそのような事実と、もっとワイルドな秘伝的寓意性との境界線はどのようにして見極めるのでしょうか。一例ですが、『古今集仮名序』で「おとこやま」と「おみなへし」の部分についての伝説があります。『毘沙門堂注』や『古今集序聞書』のどちらも同じ基本的話をあげ、どちらもこれを表向きの言葉の裏に潜む歴史的伝説だと主張していますが、これは藤原為顕によって作り上げられた話のようです(拙著Allegories of Desire, pp. 226-29と、拙論"Turning Damsel Flowers to Lotus Blossoms: Ominameshi and Medieval Commentaries" Ominameshi: A Flower Viewed from Many Directions, pp. 57-62を御覧下さい)

他に思いましたのは、どのように特殊な場合であれ、『毘沙門堂注』が正しいとして選択したのが、直感なのか、そうでないのかに注意するのは有益かも知れない、ということです。現在承認されている意味に基づいているなら、歴史的語源的寓意的解釈がそれに続くというのはありそうにもないです。選択が一般的なものでないなら、(意外ではないですが)その流派の秘伝伝授によって擁護されねばなりませんし、それはまた他流派との区別の方法でもあったでしょう。

『毘沙門堂注』の分裂性という意見が間違っていると言っているのではありません。比喩はおもしろかったです。でも二者択一の状況ではないかもしれないのではないでしょうか。つまり「義」の意味としての可能性について、中世の読者においては、葛藤はなかったのではないでしょうか。秘伝性のない、そのままの言葉の定義がある状況のもと秘伝的寓意的解釈や、今では信じがたかったり受け入れがたかったりする歴史的注釈によって増幅したのではないでしょうか。そういう秘伝性のあるものは当時信頼されていたとみなさなければなりません。

他の問題はこういった注釈書をまとめた人々がどの程度まで、「一般的に受け入れられるテキスト、「解釈の足掛かり」を作り上げることを考慮していたであろうか、ということです。そのような安定したテキスト全ての意味が受け入れらているようなテキストへの欲求への確証というものは見あたりません。葛藤しあう各流派自身が陥った状況の為に、テキストが重複する幾つかの解釈に対して開かれている、という考えは規範的なもののように思えます。

或いは、観点をかえるなら、こういった注釈書を現代の我々が妥当だとおもう解釈、ある流派が確認したときにはテキストが安定するが、逆の場合はテキストは不安定になる、というような考えによって評価することに意味があるでしょうか。そう中世の書き手や読み手は理解していたのでしょうか。私にはわかりません。ただ疑問としてなげかけるだけです。

Susan



From: Thomas Howell <thowel...@...thlink.net>

Date: 2003.09.18 10:28 -0700

Subject: [pmjs] Re:「義なし」


Susan,
それでは、注釈書が和歌について「義なし」と注する時、これを「どの歌語も定義の必要なし」と理解しますか、それとも「何の寓意的解釈もない」と理解しますか。それとも私がまた不適切な区別を付けているのかどうか、或いは「我が流派においてはこの歌に関しては何もいうことがない」というような意味でしょうか。

そのような事実ともっとワイルドな秘伝的寓意性との境界線はどのようにして見極めるのか、ですか。

私は主張の内容をもとに区別を付けようとしているのではありません。もっともそう読まれるような書き方でしたが。たとえば、実際の歴史と作り上げられた歴史、或いはきちんとした事実(判断はだれがするのでしょうか)と空想的な寓意(が真実だと受け取られていたというのには賛成しますが)という区別。秘伝性のないオープンな側にだけに制限し、抑制しそして修正(彼らの基準によるものであって、私の基準ではないです)しようという試みがあり、秘伝的な方では拡大し、増幅させる試みがある、と私は意味したのです。この二つが混同することに関しては賛成です。でも私は依然としてその根本的な目的は違うと思います。安定したテキストの希求というものに関する証拠がありますが、でもそれはまた別の議論となります。

Janick、貴方のご指摘のとおりです。『古今集』55番歌の翻訳の不注意でした。とはいえ最初のmite nomi yaは5音で分割してました。

Tom



From: "Susan B. Klein" <sbkl...@....edu>

Date: 2003.09.19 13:22:03 -0700

Subject: [pmjs] 義、先尺


ここでは(他の点においても大方そうなのですが)次のようなLewis Cookの意見に従いたいとおもいます。

「義なし」には両義あり、「秘伝的な解釈はない」という意味か、あるいは「なにも議論するものはない(歌の文法的な意味以外には)」という意味です。


つまり、『毘沙門堂注』においては、御論の最後の部分が最も近いと思いますーどの語句にも議論はなく、よって我が流派はこの和歌については特別な解釈(秘伝的、愚意的、あるいは単に変わった定義)は持たないー。

Susan



From: Dix Monika <monika...@...mail.com>

Date: 2003.9.27 19:49:50

Subject: [pmjs] 『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』


皆様
『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』(或いは『大和当麻寺極楽曼陀羅縁起』と書かれるかもしれませんが)についての情報をさがしています。どのような事でもかまいませんので、お教え下さい。

Regards,

Monika Dix



From: "R. Keller Kimbrough" <rkkim...@...by.edu>

Date: 2003.9.27 10:58:54 -0400

Subject: [pmjs] 『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』


Dear Monika,

わたしが持っている学習院の徳田和夫先生のセミナーでの資料によれば、 禅林寺本「和州当麻寺極楽曼陀羅縁起」は1262年であり、『大和資料』下(もともと1914-1915年にかけて、奈良県教育会によって奈良で印刷され、京都の臨川書店が再版を1987年に出しています)に翻刻が載っています。ご存じだとは思いますが、「縁起」は当麻寺、中将姫と大麻曼陀羅の歴史です。中将姫研究では、その父が藤原豊成だとそこに最初に出てくることで、よく知られています。以上、何かのお役に立ちますでしょうか。

Best wishes,
Keller



From: Nobumi Iyanaga <n-iya...@....bekkoame.ne.jp>

Date: 2003.9.28 00:34:29 +0900

Subject: [pmjs] 『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』


Hello Monika,

『和州当麻寺極楽曼陀羅縁起』については何も知りませんが、中将姫に関する研究書『聖なる女――斎宮・女神・中将姫』((田中貴子著京都、人文書院、1996)を読みました。そこに『中将姫説話の調査研究報告書』(元興寺文化財研究所編 1983)というのが引かれていて、とても重要なもののようです。ご興味があるのではと思います。

Best regards,

Nobumi Iyanaga
Tokyo,
Japan



From: Dix Monika <monika...@...mail.com>

Date: 2003.9.28 20:38:10 -0700

Subject: [pmjs] ASCJ学会パネリスト募集


PMJS会員の皆様

来年度のASCJAsian Studies Conference Japan)の大会(2004年、6月19日、20日、於上智大学市ヶ谷キャンパス)についてですが、Lorinda Kiyamaと私Monika Dixはパネリストのメンバーを募集しています。パネルのタイトルはRELIGION, WOMEN, AND PERFORMANCEです。

Lorindaの発表は御詠歌舞踊について、そして私のは迎講についてです。

似たようなテーマで出来る方、あと二人まで発表者は受け入れられますので、以下のアドレスまでご連絡下さい。

御一報をお待ちしています。要旨の締め切りは今年11月25日です。

Regards,

Monika Dix

http://www.meijigakuin.ac.jp/~kokusai/ascj/



From: "H. Mack Horton" <hmhor...@...rates.Berkeley.EDU>

Date: 2003.9.30 23:35:56 -0700

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


皆様
Colleagues,

どなたか謡曲『敦盛』のDVDかビデオについての情報を知っている方はいますか。どのようなことでも良いのでご教示下さい。

Many thanks,
Mack Horton



From: "Anthony J. Bryant" <ajbry...@...iana.edu>

Date: 2003.10.2 08:49:31 -0500

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


見つかるといいです。私も大好きな演目のひとつです。日本に住んでいたとき、毎週末NHKで、お能だったか、歌舞伎だったか思い出せませんが、番組がありました。私に先見の明があったら、録画しておいたのですが。それともあの番組は私の幻想だったのでしょうか。

Tony



From: Y Hulvey <yhul...@...l.ufl.edu>

Date: 2003.10.3 00:19:31

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


Mack,

NHK放送博物館のサイトを見てみたらいかがでしょうか。
http://www.nhk.or.jp/bunken/museum-en/index.html

お役に立つかどうかはわかりませんが、取っ掛かりとはなるかもしれません。

Yumiko



From: sdom...@...rary.umass.edu

Date: 2003.10.3 00:40:37

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


Mack,

昨春私も同じような事で悩みました。授業で使う歌舞伎のものを必死で探しました。NHKのソフト関連のショップなどや、檜書店、わんや書店、その他さまざまな劇場などで、何か販売していないか探し回りました。伝統文化放送<http://www.dentoubunka.co.jp/>というところにもメールを出してみました。私が欲しい演目などを放送していたのです。でも販売はしておらず、送ってもらうことは出来ませんでしたし、日本にいないので、ケーブルを通して鑑賞することも出来ませんでした。日本で伝統文化放送のビデオを交換していただける親切な方と約束を取り付けました。

しかし、司書としては、これはあまりにも、です。何か対策を練らなければならないと思っています。かつては、様々な資料を国際交流基金や国際会館、文部科学省、北米日本研究資料調整協議会や他の団体が利用の便を図ってくれたものです。

古典文学や美術を講義なさる方々が協力して要望書を国際交流基金に出す時期にきているのではないでしょうか。現在、インター・ライブラリー・ローンで驚くほど豊富な資料の入手が可能ですが、演劇ビデオなどはまだ難しいです。こういものの入手の法的サポートが必要です。きちんとしたコピーを取得するための方法を築き上げるに必要な手続きなどを私がやります。

まず最初の段階はどのぐらいの方々がこれに賛同してくださるかです。それから、どなたか協力者を捜したいと思います。

Sharon Domier
East Asian Studies Librarian
UMass Amherst



From: Michelle I Li <mi...@...nford.edu>

Date: 2003.10.3 04:01:32

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


Dear Mack,

多分調べたのだとはおもいますが、スタンフォード大学の音と映像シリーズ(the video anthology of Japanese classical performing arts)はチェックしましたか。カタログをオンラインで見ようと思いましたが、ビデオ類は能とか歌舞伎というジャンルでしか分類されていません。演目名を知ることができません。でもまだこのシリーズを調べていなくて、だれかスタンフォードで見てくれる人が必要なら、言って下さい。私はまだしばらくスタンフォードに居ます。

Michelle Li



From: Michael Watson <wat...@...eijigakuin.ac.jp>

Date: 2003.10.3 10:10:34 Asia/Tokyo

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


謡曲「敦盛」は今期の私の『平家物語』の講義のシラバスに組み込まれていますので、ビデオを見せたいと思っています。インターネットでの検索はあまり実りありませんでした。クセ舞の部分は、仕舞をお稽古している人々のためのビデオに入ってはいますが。
http://awaya-noh.com/form/shop.html
http://www.webslab.com/wanya/cd/video01.html

後者のサイトは多くの有名な演目からの仕舞の部分を集めた宝生流のシリーズの一部です。多分講義には役に立つと思います。でもDVDやビデオでは一部の演目しか完全な物がないのは残念です。

伝統文化放送に関してはpmjsで過去おもしろい議論がありました。
There was an interesting discussion of Dento Bunka Hoso last spring on pmjs.
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2003/2003.04.html
ID = logs
password = 2003

Michael Watson



From: Barbara Nostrand <nostr...@....org>

Date: 2003.10.3 10:49:28 Asia/Tokyo

Subject: [pmjs] 謡曲『敦盛』ビデオ


日本に事務所を置き、外貨でも支払いを受け付ける口座を開くことが必要ではないかと思います。資料を銀行振り込み支払いで購入し、そして海外への資料の発送を請け負う事務所です。問題は中規模の組織というのは設立が大変だということです。1,2の資料でしたら、知り合いなどのつてを通してのやり取りが可能です。事務所を設けて作業を行ってくれる人を雇うには相当の分量の資料を扱わねばなりませんね。もしアマゾンなどがこういうことをやってくれるなら、そのサイトを通じて注文できるのですがね。

Barbara Nostrand



From: eaoy...@...sci.wustl.edu

Date: 2003.9.18 05:41:24 -0500 (CDT)

Subject: [pmjs] 公募(Washington University in St. Louis


Dear Colleagues:
皆様
ワシントン大学における日本研究の tenure-track(専任職へのコース)求人を以下に転送しておきます。
Regards,

Elizabeth Oyler
___________________________________________________________

The Department of Asian and Near Eastern Languages and Literatures at
Washington University invites applications for a tenure-track position
in Japanese at the Assistant Professor level beginning Fall 2004.
Native or near-native fluency in Japanese and English and a proven
record of excellence in, and commitment to, Japanese language teaching
is required. The successful candidate will be expected to play a key
role in the continuing development of a dynamic language program. The
field of research specialization is open. Ph.D. in hand by time of
appointment. Letter of application (to include teaching and research
statements), CV, and three letters of reference should be sent to:
Japanese Search Committee, Department of Asian and Near Eastern
Languages, Washington University, Campus Box 1111, One Brookings Drive,
St. Louis, MO 63130. Preference will be given to applications received
before December 1, 2003. Washington University is an AA/EO employer.
We are committed to the principle of equity and diversity.



Date: 2003.9.20 11:11:24 -0700

From: "Susan B. Klein" <sbkl...@....edu>

Subject: [pmjs] 公募(University of California, Irvine


(教員募集)

会員各位
Dear PMJS Colleagues,

UC Irvine校{East Asian Languages and Literatures)における以下の募集を転載しておきます。ご適任者が思い当たるようでしたら、ご自由に転送なさってください。

Regards,

Susan Klein

UNIVERSITY OF CALIFORNIA, IRVINE
DEPARTMENT OF EAST ASIAN
LANGUAGES AND LITERATURES


The Department of East Asian Languages and Literatures at UCI invites applications for an appointment up to the rank of Professor, with area and period of specialization open. The Department seeks candidates with outstanding records in scholarship and teaching, with demonstrated academic leadership and a commitment to shared governance. The successful applicant should expect to assume the responsibilities of department chair early in her/his term.

The Department awards B.A. and Ph.D. degrees in Chinese and Japanese Language and Literature as well as a B.A. in East Asian Cultures and a Ph.D. in East Asian Cultural Studies. The Department also has undergraduate language programs in Chinese, Japanese, Korean, and Vietnamese.
Please send letters of application, curriculum vitae, and references to:

Chair, Professor Search Committee
Department of East Asian Languages and Literatures
UC, Irvine
Irvine, CA 92697-6000

Review of applications will begin immediately and continue through February 3, 2004. The University of California, Irvine, has an active career partner program, is an equal opportunity employer committed to excellence through diversity, and has a National Science Foundation Advance Gender Equity Program.



英語の原文は以下のページにあります。

http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2003/2003.09.html




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