Uchiharai
rei (Bunsei era)
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J 文政(ぶんせい)の打払令(うちこわしれい)(無二念打払令)(むにねんうちこわしれい)
異国船(いこくせん)渡来(とらい)の節(ふし)取計方(とりはからいかた)、前々より数度(すうど)仰出(おおせいだし)これあり、おろしや船の儀(ぎ)については、文化の度(たび)改(あらた)めて相触候次第(あいふれそうろうしだい)も候所(そうろうところ)、いぎりすの船、先年(せんねん)長崎(ながさき)において狼藉(ろうぜき)に及(およ)び、近来(きんらい)は所々(しょしょ)へ小船(こぶね)にて乗寄(のりよせ)、薪水食料(しんすいしょくりょう)を乞(こ)ひ、去々年(おととし)に至(いた)り候(そうらい)ては猥(みだ)りに上陸(じょうりく)致(いた)し、或(あるい)は廻船(かいせん)の米穀(べいこく)島方(しまかた)の野牛(やぎゅう)等(とう)奪取(うばいと)り候段(そうろうだん)、追々(おいおい)横行(おうこう)の振舞(ふるまい)、其上(そのうえ)邪宗門(じゃしゅうもん)に勧(すす)め入れ候致し方(かた)も相見(あいみ)え旁(かたがた)捨置(すてお)き難(がた)き事に候、一体(いったい)いぎりすに限(かぎ)らず、南蛮西洋(なんばんせいよう)の儀(ぎ)は御禁制(ごきんぜい)邪教(じゃきょう)の国に候間、以来何の浦方(うらかた)におゐても異国船乗寄候を見請(みう)け候はば、其所に有合(ありあわ)せ候人夫(にんぷ)を以て、有無(うむ)に及ばず一図(いちず)に打払い、迯延(にげの)び候(そうら)はば追船(おいぶね)に及ばず、其儘(そのまま)に差置(さしお)き、若(もし)押(おし)て上陸(じょうりく)致し候はば、搦捕(からめと)り又(また)は打留(うちと)め候ても苦らず候、(中略)尤(もっとも)唐(とう)朝鮮(ちょうせん)琉球(りゅうきゅう)など、其(その)船形人物(ふながたじんぶつ)を分(わ)くべく候得共(そうらえども)、阿蘭陀船(おらんだせん)は見分(みわけ)も相成(あいなりかね申すべく、右等(みぎら)の船方(ふなかた)、万一(まんいち)、見損(みそこない)相誤(あいあやま)り候共(そうろうとも)、御察度(ごさっと)は之有間敷候間(これあるまじくそうろうあいだ)、二念無(にねんなく)打払はせ、(中略)右(みぎ)の趣(おもむき)、相触(あいふれ)らるべく候。
徳川禁令考(とくがわきんれいこう)
文政の打払令
文政 1818-1830
節 点・箇所
これ(之) Used under the influence of kanbun (Chinese). No need to
translate.
おろしや Russia
文儀 matter, affair
化 1804-1818
相触れ The 相, here a verbal prefix, is typical of this bureaucratic
style. No need to translate.
候 In old kana spelling さふらふ. A copula (だ・である・です) typical of this
style.
廻船 coastal vessel for freight or passengers (here, freight)
旁 いずれにしても・どのみち
候間 Following 候 (or sometimes other verbs) in this style, 間 means
"because".
一図 Now normally written 一途 (same reading)
察度 非難
有間敷候 "should not/must not be". In classical Japanese,
まじ (never mind the kanji, they are just used for sound) is the
negative counterpart of べし (should/must + verb)
Notes by Royall Tyler