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【公開講座】 岐路に立つラテンアメリカ--エクアドルからの証言
スピーカー

エリック・トゥーサン氏(Eric Toussaint、ベルギー、政治学ならびに社会学者)
セサール・サコット氏(Cesar Zacotto、エクアドル)


日時

2007年 12月 13日 (木曜日) 16:25−17:55


場所
明治学院大学白金校舎 2号館 2102教室 
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/index.html

備考

【公開講座】 転送歓迎
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岐路に立つラテンアメリカ--エクアドルからの証言  エクアドルの不当な債務を帳消しに!
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【日時】 2007年12月13日(木) 16:25〜
【会場】明治学院大学白金校舎2号館2102教室
     *定員 200名
【スピーカー】
エリック・トゥーサン氏(Eric Toussaint、ベルギー、政治学ならびに社会学者)
セサール・サコット氏(Cesar Zacotto、エクアドル)
【主催】ATTAC JAPAN
【協力】明治学院大学国際平和研究所
*当日は、講演記録のため、ビデオ撮影を行います。  ご了承くださいませ。
*参加費無料

■小さな国から始まる世界規模の変革

12月11日〜17日、エクアドルの債務政策と「南の銀行」設立に関して、長年債務帳消し運動に取り組み、エクアドル・コレア政権の国際アドバイザーを務めるエリック・トゥーサンさんと同国の公的融資に対する統合的監査委員会(CAIC)委員のセサル・サコットさんを招いて講演会を開催します。
小さな国から始まる世界規模の改革の萌芽を、共に見つめ、考えて頂けたらと思います。

◆ エリック・トゥーサン
長年、貧困問題の元凶としての債務問題に取り組んできたCADTM(第三世界債務廃絶運動)ベルギー代表。エクアドル政府の「公的融資に対する統合的監査委員会(CAIC)」に海外専門家として招待され、多国間債務(世界銀行・IMF・地域開発銀行)を担当。「南の銀行」に関してもアドバイスを行う。著書にThe World Bank: a never-ending coup d'Etat. The hidden agenda of the Washington Consensus (2007), Who owes Who? 50 questions about World Debt (2004、邦訳「世界の貧困をなくす50の質問ー途上国債務と私たち」つげ書房新社,2005),

◆セサル・サコット
グアヤキル大学経済学教授。「公的融資に対する統合的監査委員会(CAIC)」委員。先住民の運動を中心とする「MOVIMIENTO UNIDAD PLURINACIONAL PACHACUTIK - NUEVO PAIS(複数民族統一運
動 パチャクティク(新しいくに))」メンバー(同政党は同じ左派としてコレア大統領の党「Alianza Pais」に協力)。サコット氏は2006年大統領選で同党から立候補した 先住民のルイス・マカスから副大統領に指名されていた。

■変革に揺れるラテンアメリカ  
軍事独裁政権、政治腐敗、乱開発による重債務、米国・CIAの介入による民主化運動への弾圧・・、長年こんなイメージを持たされてきたラテンアメリカに、いま、大きな変革の波が押し寄せています。ベネズエラのウゴ・チャベス、ボリビアのエボ・モラレスなど大衆の強い支持に基づく左翼政権が、産業先進国・国際機関・多国籍企業からの新自由主義的介入を拒否し、自国の産業・社会を保護する方向に進むと共に、近隣諸国にも南−南協力による地域の自立を呼びかけています。

 具体的には、新自由主義的経済政策を融資の条件として押し付ける国際金融機関に依存する代わりに、相互扶助を旨とした「南の銀行(The Bank of South)」を設立しようという動きが始まってい
ます。しかし、一方でアルゼンチン、ブラジルなど、新自由主義と親和的方向を取ろうとする「左派」政権との綱引きもあり、情勢はいまだ流動的です。

■コレア政権とエクアドル

 その中で最近注目を集めているのが南米の小国、エクアドルの動きです。1月に大統領に就任したラファエル・コレア大統領はFTAA(米州自由貿易協定)交渉を拒否し、また、2009年に利用期限が訪れるマンタ米軍基地の契約更新をしないことを明言しました。ベネズエラ(今年4月末にIMF・世界銀行から脱退)同様、世界銀行・IMFの代表を国外追放する一方で、石油輸出収入を自国の社会政策に重点的に振り向けることを宣言しています。「南の銀行」を通しての地域統合にも積極的に推し進めようとしています。その中で、アルゼンチンなどが提案している「より外資を呼び込み、ラテンアメリカが世界の金融市場に統合していくための銀行」ではなく、真に連帯に基づき、地域の中小生産者や環境保護を重視する銀行創設を強力に提言しているのもエクアドルです。

民衆から強力な支持を得ているコレア大統領も、議会内では少数与党、かつ、米国等海外から支持を得た右派勢力による国内の不安定化工作も激しさを増しており、前途は決して安泰ではありません。トゥーサン氏は「この改革を支えるのは、なによりエクアドル民衆自身の力だ。次に国際的な連帯が大きなカギとなるだろう」と述べています。「南の銀行」は、フォーカス・オン・ザ・グローバルサウスのウォールデン・ベロー氏も大きく賞賛し、ラテンアメリカに留まらず、途上国の自立的発展の要になるのではないか、と言われています。

■エクアドルの債務問題

コレア政権の人間開発重視政策の前に大きく立ちはだかるのが債務返済です。

2007年2月、エクアドルの対外債務は168億ドル、うち104億8300万ドルが公的債務(政府に返済責任がある債務)です。今年の債務返済額は28億ドルあまりになると見られています(国家予算の38%)。IMF・世界銀行はこの20年間、石油を中心とするエクアドルの輸出収入を、まず優先的に債務返済に充てさせる政策を政府に取らせてきました。その中で犠牲にされてきたのは、国民の生活です。1980年には予算の40%が保健医療と教育予算、一方債務返済は予算の15%だったのに、2005年には政府は予算の40%を債務返済に回し、保健医療と教育にはたった15%しか予算を使えませんでした。
コレア大統領は、社会政策に回す資金捻出のために、債務返済を削減する道を選びました。すなわち2006年には全予算の38%が債務返済、22%が社会予算、6.4%が生産奨励だったものを、2010年には債務返済を全予算の11.8%に減らし、人間開発への投資38.4%に、生産部門への11%に増やそうとういうのです。

■「不当な債務は返さない」

債務返済を削減するために、コレアは、国としてこれまでの債務契約を監査し、それによって一部の債務の返済拒否を実行しようとしています。エクアドルが抱える債務の中には、独裁政権時代に不透明な経緯で蓄積されたもの、不当に政府(債務者)に不利になる形で契約されたものが数多くあります。コレアは7月に大統領令を発し、各債務を監査し、その中で「不当な債務illegitimate debt」(債権者側の
都合で契約された債務や債務国の住民の利益を阻害した債務)と認定されたものは支払いを拒否すると宣言しました。債務監査委員会には政府代表の他、国内の市民社会組織の代表、トゥーサン氏のような国際社会の専門家も参加し、対等な立場で監査を進めています。
実は日本はエクアドルの三番目に大きな債権者(国同士の債務契約で)です。私達は実は当事者なのです。債務は長年に渡り、貧しい国々の人々の暮らしを押しつぶしてきました。その解決方法を一緒に考えてみませんか?

■「不当な債務」とは

近年、国際的な債務帳消しキャンペーンは、「債権者側(豊かな国や国際金融機関)が一方的に決定する、チャリティーのような債務"救済"では、累積債務問題は解決しない」として、社会正義に基づく債務帳消しを求めています。即ち、債権者側の都合で契約された債務や債務国の住民の利益を阻害した債務(「不当な債務illegitimate debt」)を精査して、それを帳消しさせようと
いうものです。ノルウェー政府は昨年10月、「不当な債務」の概念を認め、1980年代に自国の造船不況解消のために途上国5カ国に売りつけた船舶の代金債権を帳消しにする、という画期的先例を作りました。

◆問い合わせ先◆
(東京)ATTAC JAPAN(首都圏)
文京区白山1-31-9小林ビル3F FAX:03-5684-5870
e-mail attac-jp@jca.apc.org   
URL http://www.jca.apc.org/attac-jp/japanese



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