(講演要旨)
カナダ大使館政治部のマルタン・ラフラム氏より、アフガニスタンのカンダハールにおけるPRT(Provincial Reconstruction Teams、地域復興支援チーム)について自らの現地勤務の体験を交えたパワーポイントを使った報告があった。PRTは文民による復興支援であるが、カンダハールの情勢はいまだに不安定なこともあり、現在カナダのPRTは30名程度の文民を派遣し、同時に350人の兵士が警護やその他のロジを担当し、また文民のサポートを行っている。カナダ政府によるカンダハールにおけるPRTは増員傾向にあり、今年末までに71名まで増加する予定である。これは、アフガニスタン復興支援の資金が今まで20%しか拠出されておらず、今後ますます復興支援活動を強化する必要があるためである。
PRTの支援内容は開発、ガバナンス、安全保障と多岐にわたっている。例として、現地の人権NGOによる治安維持担当者への人権トレーニングの設定による両者の対話の促進や、刑務所におけるインフラ整備、職業訓練、そして検問所のインフラ整備などが写真とともに解説された。また、プレゼンの最中にロケット弾対策の装備や、カナダ大使館PRTの文民が外出する際の警備の厳重さを垣間見る写真もあり、復興が続く中でも、アフガニスタンの状況がまだまだ予断を許さない状況であることが伝わってきた。
(参加者からの質問・コメントと回答の一部)
Q1. アフガニスタンの遺跡はどうなっているのか
A1. 遺跡について、自らあまり見に行く機会はなかったが、タリバーンの活動によって仏像破壊のように多くの遺跡が破壊されたと聞いている。
Q2. PRTの内容は、国際機関やNGOが行うべきものも多いと思う。なぜPRTという形で行うことが必要なのか?
Q3. タリバーンが住民のことをおもんぱかって攻撃してこないということは、彼らはテロリストではないのか?また、タリバーンとの交渉の可能性は?
A3. タリバーンが住民へ配慮したからといって、テロリストでないということにはならない。彼らは自分たちに対して批判が向かないよう、巧妙に対策を取っている。
コメント(出席者):そもそも、アフガニスタン攻撃は9.11事件のあとに米国が強行した報復色の強い戦争でその後のイラク攻撃へとつながった。よりねばり強くタリバン政権と交渉すべきでなかったか。その後の展開を見ていて、完全なボタンの掛け違いであると思う。
Q4. カナダから復興支援に携わった文民・軍人の何人が亡くなったのか。また、それに対する世論はどうなっているのか。
A4. 死者は**名。アフガニスタン復興に関しては、カナダ国内でも議論が盛んであることは確かである。
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