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シリーズ 東アジアの「過去」と「現在」を見つめ直し平和を語るカフェ
  「アジアへの『まなざし』を捉え直す(1)」

―東アジアにおける「和解」の模索プロジェクト―
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シリーズ 東アジアの「過去」と「現在」を見つめ直し平和を語るカフェ
2010年度第1回 「アジアへの『まなざし』を捉え直す」

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中国や韓国をはじめとする東アジアとの関係は深まるばかりですが、日本におけるアジアへの
「まなざし」はグローバルな時代に対応したものとなっているでしょうか?
昨年、多くの学生が戦争経験者の語りに耳を傾けた「東アジア平和カフェ」を、今年はさらにパワー
アップして開催します。戦争当事者が高齢化するなか、学生が直接語り合える貴重な機会は
今しかありません。

【スピーカー】
石田隆至さん(大学非常勤講師)
張宏波さん(PRIME所員、本学教養教育センター)

【企画概要】
日時:2010年524日(16:4518:15(5限目)
会場:明治学院大学横浜校舎8号館 821教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
*参加無料
*学生、教職員の参加歓迎

≪今後の予定≫

◆第2回 6/28(月) 元兵士の戦場体験を聞く(仮)
(講師:石田隆至さん×金子安次さん・元軍人) 
◆第3回 10月末開催予定 アジアへの「まなざし」を捉え直す(2):拉致問題と強制連行
(講師:石田隆至さん×張宏波さん)
◆第4回 11月末開催予定 日本の東アジア認識は変わったか?:戦場で何をしたのか?
(講師:松本栄好さん・日本キリスト教会・元衛生兵&石田隆至さん)

【報告】New!!
現在も続く日本と東アジア諸国との軋轢について、学生を含めた一般の人々はどのように捉えているのか? 日本での東アジアの「捉えられ方」は、きわめて素朴かつ感情的に過ぎるのではないか?
  こうした現状に対して、東アジアの側からの視点を知ることで、日本側の「捉え方」を捉え返してみる機会が必要だと考えて、本連続勉強会を実施した。 第1回目の今回は、最近の身近なニュースである「中国における日本人受刑者への死刑執行」および「毒ギョーザ問題の“その後”」を素材として、日本での捉え方について検討する報告を、スピーカーの石田隆至氏が行った。 前者に関しては、中国での捜査の不適切さを批判し、また死刑は重すぎるという声がマスコミだけでなく日本の専門家からも投げかけられた。

ただ、そこでは、麻薬関連犯罪に対する重罰化の必要性という中国国内の歴史的文脈や、死刑廃止が当該社会の法制度への信頼の深まりと深く関連した理念であることについてなどへの言及を欠いている。人権という「普遍性」の観点からなされる中国の死刑制度への批判は、その「普遍性」や「文明」の名の下で侵略・半植民地化を経験してきた中国にとっては、別の意味をもってしまう。

また、後者の毒ギョーザ問題についても、最近になって、当時の日本警察の調査が杜撰だったことが小さな紙面で報道された。中国は「いい加減で危険」、日本は「厳密で安心」という日本側で広く共有されている単純な図式の問題性がここでも明らかになったわけだが、マスコミを含めて反省的に捉え返そうとする契機は見られなかった。 参加した留学生からは、このような日本の対東アジア観には、戦前からのアジア蔑視が今も根強く残っていることが原因ではないかという発言もあった。
また、このような検討の仕方では、「日本人はおかしい」「中国人・タイ人は優しい」という逆の単純化をもたらすだけだから、なぜこのような「捉えられ方」がなされるのかに関してメディア内在的な検討をして深く問題に切り込んでいくべきだという声もあがった。

この連続勉強会は、メディアの言説や社会的風潮を無意識に受容していることが多い学生層を主な対象として、自身が知らぬ間に身に付けてきた対東アジア認識をまず再考することを最初の目標としている。したがって、単純に「日本はよくない」という逆方向に振れてしまうだけでは問題で、それが「日本」「中国」「アメリカ」といったナショナルな認識枠組みを強化してしまうだけならなおさら問題である。
むしろ、対他者認識に一般的に見られる「偏り」からわれわれも自由ではないこと、あるいはナショナリティそのものにわれわれがいかに深く刻印されているかを知るという普遍的な方向に、参加者の思考を誘うことが目指されるべきである。しかし、それを最終目標とするためには、それまで疑うことさえなかった自身の「まなざし」そのものを相対化する作業が不可欠である。そのために、身近なニュースの捉え返しや戦争体験者の証言などの機会を提供している。
今回は残念ながら参加者が少なかったが、今後も引き続き学生をはじめとした参加者と一緒に、自己と社会を問い直す作業を進めていきたい。

【お問い合わせ】
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
URL: http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime
〒108-8636 港区白金台1-2-37
Tel:03(5421)5652/Fax:03(5421)5653
E-mail:prime@prime.meijigakuin.ac.jp


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