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  公開学習会
ヒロシマ・大久野島で「毒ガス兵器」が作られていた!?

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公開学習会
ヒロシマ・大久野島で「毒ガス兵器」が作られていた!?
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日時:10月29日(金)18:15〜19:45
場所:明治学院大学 白金校舎 本館9階92会議室

 

ヒロシマといえば、「原爆被害の地」としてイメージされますが、同じヒロシマに日本有数の毒ガス製造拠点であった大久野島があったことはそれほど知られていません。当時の軍部政府はその違法性を認識していたため、大久野島を地図から消すほどの極秘任務でした。しかし、ここで製造された毒ガス兵器は戦争中に中国戦線で広く使用されて被害を与えたほか、その技術や成果が戦後アメリカにわたり、朝鮮戦争でも使用されました。

今回、その大久野島を長年にわたって調査・研究してこられた「毒ガス島歴史研究所」の山内正之・山内静代氏をお迎えすることになりました。お二人は、大久野島に程近い広島県竹原市に在住で、毒ガス製造拠点だった大久野島の「歴史」を薄めようとする戦後の動きに抗して調査を続けてこられました。また、製造に携わる中で被害を受けた方へのサポートにもかかわってこられました。ヒロシマの「加害の側面」にも注目して、その両方を視野に入れてこそ日本の平和運動がより豊かになっていくはずだ、東アジア諸国との国境を越えた平和追求もそれではじめて可能になる、と考えておられます。

こうした視点にはPRIMEとしても学ぶべきものが少なくないと考え、公開学習会を開催することにしました。学生はもちろん、教職員の方にも広くご参加頂けますと幸いです。


  講師:山内正之さん(毒ガス島歴史研究所事務局長)、
      山内静代さん(毒ガス島歴史研究所代表)


[毒ガス島歴史研究所]ホームページ(http://homepage3.nifty.com/dokugasu/)
1996年創立・大久野島の戦争加害・被害の歴史について調査・研究している。大久野島で遺跡の案内や講話を通して毒ガスの歴史を伝える活動をしています。

[大久野島から平和と環境を考える会]ホームページ(http://www7.ocn.ne.jp/~dgjrkma/)
お二人の活動を公開したホームページです。

*無料
*一般、学生、教職員の参加歓迎。
*事前申込み不要。お気軽にお越し下さい。

<主催>
明治学院大学国際平和研究所
〒108-8636 港区白金台1-2-37
Tel: 03-5421-5652 Fax: 03-5421-5653
prime@prime.meijigakuin.ac.jp
http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/


<報告>New!!
10月29日、毒ガス島歴史研究所の山内正之・静代両先生をお迎えして公開学習会を行いました。多くの写真を駆使され、具体的かつ緻密で分かりやすく、しかも真摯なお気持ちの込められたお話でした。
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第一次世界大戦では様々な大量無差別殺戮が行われ、悲惨な被害をもたらしたことから、その一つである毒ガスの兵器使用は、国際条約で禁止されました。しかし、第二次世界大戦時の日本は、国際法を無視して中国人に対し毒ガス兵器を大規模に使用しました(対軍人使用の被害だけで約1.5万人の死者)。さらに敗戦時に日本軍は中国でそれら毒ガス兵器使用の痕跡を隠蔽するため、中国各地に「遺棄」しました。密かに埋められた毒ガス兵器は、戦後、とりわけ近年の中国の開発のなかで掘り出され、知らずに近づいた中国の人々に被害を与えました。毒ガス兵器の被害は容易には治癒できず、被害が体内の奥深くにどんどん進行してガンになるケースや気管支疾患で苦しみ続ける場合も多く、そうした被害に今も苦しんでいる被害者が数多くいます。こうした「現在の」問題が発覚してもなお、日本政府の対応は消極的で調査も補償も一向に進まず、人命・環境に対する加害を与え続けているのも同然です。

中国戦線で実際に使用され、中国各地の地下に今も眠っている毒ガスを製造したのが、広島県の大久野島です。国際法に違反する毒ガス戦を準備したことを隠すため、戦時中の地図では、大久野島周辺は白抜きにされて消されていたほどです。戦後もGHQの占領下であったことから事実上の箝口令が敷かれたため、毒ガス兵器製造の事実、地元の工員など製造に動員された人々の被害、今も残る環境被害の問題などは、地元を除けばほとんど知られていません。地元の日本人の被害さえ知られていないわけですので、遺された毒ガス兵器が中国で今も加害を拡大していることはもっと知られていません。

このように、広島は原爆被投下の「被害」の地であると同時に、中国などアジア諸国に対する「加害」の地でもあったのです。アメリカによる原爆投下も悲惨な無差別大量殺人でしたが、毒ガス戦もまた無差別大量殺人である点では同じです。

しかし、「被害」の象徴の地である原爆資料館には年間7000校余りの修学旅行訪問がある一方で、同じ県内の「加害」の象徴の地である大久野島には年間200校あまりしか訪れないという点に、今の日本の戦争認識の一端が表れています。戦争は決して「過去」の問題ではなく、今もその被害に苦しんでいる日本国内の高齢者、中国の大人や学生、子供がいて、我々と同じ時間を生きています。問題解決のために何ができるか、一人一人に考えて欲しい、行動して欲しいと思います。
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参加者は息を飲むように静かに話を聞き入り、真剣な雰囲気に包まれていました。大久野島を是非訪ねてみたいという方も現れたほどで、参加者に深く考えるきっかけを与えた学習会でした。

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