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東アジア平和カフェ

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東アジア平和カフェ 第4回

 「中日歴史共同研究と中日関係」
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 2000年代前半、小泉首相による靖国参拝強行をめぐって日中関係が悪化した。次の安倍政権になってから、その修復を図るために両首相で会談が 再開さ れ、日中間で共同の歴史研究を進め、それをもとに東アジアの共生を実現する方途が模索されることになった。2007年末に始まった「中日歴史共同 研究」 は、2010年初頭に最初の報告書が発表された。
 もちろん、この共同研究の成果ですぐに事態が好転するものでもない。そもそも、報告書の中身が十分に共有されているとも言いがたい。そこで、今 回、共同 研究の中国側メンバーの一人である徐勇氏(北京大学歴史学部教授)を迎え、共同研究の成果と今後の中日関係について報告してもらい、教員や学生とも議論を交わしてみたい。


講師:徐勇(北京大学歴史学部教授)


日時:2011年12月19日(月)18:15〜
場所:横浜校舎8号館4階ラウンジ

前半の約1時間程は御報告をして頂き、その後30分程質疑応答をしたいと考え
ております。報告自体は、中国語になります(逐次通訳します)。

終了後は引き続き、懇親会の場を持ちたいと思います。

以上


――実施報告――
 中日歴史共同研究の委員の一人として、徐勇教授からは、日中間で議論になった点を中心にして報告がありました。
 共同研究の開始段階では、日本が中国を「侵略」したと言えるかどうか、日本からは異論も提起されたものの、昨年公表された最終報告書では、「侵略」であったことが中日双方で確認され、この点は「共通の歴史認識」に向けた大きな収穫だったと評価されました。
 具体的な対立点としては、たとえば、「七・七事変」(日本では「盧溝橋事件」)の評価をめぐって、日本側は「偶発性」を、中国側は「必然性」をそれぞれ強調し、違いが残ったままになりました。これについて、徐教授は、「七・七事変」のきかっけとされる発砲事件という「一点」だけを捉えて評価するのではなく、その前後の日中両軍の展開状況、軍部の意志決定といった「文脈」をもとに判断していく必要があるのではないかと主張されました。
 朝鮮半島やナショナリズムの研究者に加えて、日本人学生、中国人留学生も積極的に参加し、夜遅くまで真剣な議論が続く活況を呈しました。「日中間だけでなく第三国を交えた歴史研究の可能性」「政治的対立のなかでの歴史研究の独立性確保」「歴史観の空虚な日本との研究交流の困難さ」など興味深い論点が取り上げられました。徐教授も「とても真剣で知的な質問が飛び交い、大変勉強になりました」と振り返っておられました。
 日本とアジア諸国との間でいかにして共通の歴史認識を作っていくのか、という課題が多くの人の関心を惹き付けるテーマであり、今後も引き続いてPRIMEとして研究を進めていく必要性を確認することができました。(参加者18人)

 







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