日本近代音楽館レクチャーコンサートシリーズVIII

オリンピックと音楽

開催日 2019年12月14日(土)
時間 14:00開演(13:30開場)
会場 明治学院大学白金キャンパス アートホール
主催 遠山一行記念日本近代音楽館
お話 渡辺 裕
演奏 アンサンブルTCM
曲目 ◎山田耕筰「走れ大地を オリンピック派遣選手応援歌」(1932) 
◎諸井三郎「オリンピックからの三つの断片」 (1936)
◎江文也「台湾の舞曲」 (1934/36) 
◎古関裕而「オリンピック マーチ」(1964) 
                     ほか

[レクチャーコンサートによせて]

音楽はオリンピックにつきものである。2020年の東京大会開催にあたっても、開会式に誰が出演し、どのような音楽が演奏されるのかは、興味の焦点のひとつになっている。だがオリンピックにとって音楽は、単にイヴェントを盛り上げるために使われているわけではない。それどころか、音楽を含む「芸術」はある時期までオリンピックの競技種目にすらなっていたのであり、その背景を探ってみれば、それが近代オリンピックという存在やその理念と分かちがたく結びついていたことが明らかになってくる。

今回のレクチャーでは、そのような背景の考察を通してみえてくるオリンピックのひとつの側面を明らかにするとともに、そのような状況の中で日本人の音楽家たちが、このオリンピックという行事にどのように関わろうとしてきたかを中心に考えてみたい。日本人音楽家の側からみればオリンピックのような場は、自らの文化の針路を定め、世界の中に地歩を占めてゆくための絶好の機会でもあった。

とりわけ、空前の「国民的行事」となった1964年の東京大会は、現在という地点からあらためて振り返ってみることで、戦前から戦後へ、そしてその後の時代へと、日本における「国民音楽」をめぐる動きがどのように展開し、またそのあり方をどのように変容させてきたのかを考えてゆくための絶好の切り口となるだろう。

I. 1936年ベルリン大会:オリンピックにおける「芸術競技」と日本人作曲家たち
II. 1964年東京大会:天皇陛下の入退場に使われた黛敏郎の「電子音楽」
III. 1936年から1964年へ:山田耕筰と古関裕而にみる「国民音楽」の盛衰
                                   (渡辺裕)

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