教員採用試験のしくみと対策(How to Study) Back

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      教員採用試験はどのように行われるのか,実際にどのような対策をしたら良いのかについて,私の考えを載せます。
        1.教員採用試験とはどのようなものか
        2.教員採用試験の受験対策のために何が必要か
        3.情報を集めているか
        4.専門,教職,一般教養をどうしたらよいか
        5.論作文をどうしたらよいか
        6.試験場で狼狽えないためにはどうしたらよいか
        7.落,落,落ちたらどうしたらよいか
                             
    1.教員採用試験とはどのようなものかTop
      1)教員採用試験とは何か
        教育職員採用試験:採用者を最終決定する試験ではない。採用予定者の名簿を作るのが目的の試験である。正式採用は,「試験合格者搭載名簿」に基づき,各道府県市の学校状況(職員需給状況)を勘案した上,最終的に決定される。(現在,職員需給状況は供給過剰である。) 名簿搭載の有効期限は1年であり,期限内に採用されない場合は,再度受験の必要あり。

      2)教員採用試験を受けるにはどうしたらよいか

        a)募集要項(願書)の取り寄せ 毎年4月中旬から5月中にかけて各都道府県市の教育委員会,教育事務所などで配布。
        複数受験する場合には,千代田区にある「道府県会館」内の教育事務所に行ってみるとよい。
          千代田区平河町2−3−6(赤坂プリンス裏,地下鉄永田町駅下車すぐ)

        なお,幾つかの県(山口県など)については他の場所で取り扱っている。
        郵送で教育委員会に請求することも可能。
          受験資格
          (1)欠格条項に該当しない者(地方公務員法第16条第2号,学校教育法第9条第2号)
          (2)教員免許状を有する者,もしくは当該年度に取得見込みの者
          (3)教育委員会が定めた年齢制限以内の者(各都道府県・市によって異なる)

        b)願書提出 提出書類を遺漏なく期限内に提出あるいは郵送する。提出書類は,各都道府県・市によって異なる。

          (1)願書
          (2)免許状授与見込み証明書(免許状の写し)
          (3)卒業見込み証明書(卒業証明書)
          (4)成績証明書
          (5)人物証明書
            在学生の場合は,明治学院大学就職部で発行する。
            卒業生の場合は,明治学院大学教務課で発行する。
          (6)健康診断書
          (7)写真
          (8)返信用封筒など
            書類の作成には時間を要するので,早めに準備すること。

      3)どのような試験科目があるか

        a)筆記試験・・・・一般教養,教職教養,専門教養
          教職教養:教育法規,教育原理,教育心理学,道徳教育,同和教育,特殊教育,学校経営,学級経営,教育史など
            専門教養:英語,社会科,地理歴史科,公民科
        b)実技試験
          模擬授業,体力診断テスト/英語:英会話,養護:救急実技
        c)論作文
        d)面接・・・・・・・・集団面接,個人面接,集団討論など
        e)適性検査・・・・クレペリン検査,Y−G検査,MMPI検査など

      4)どのようにして採用が決まるか

          4月〜5月: 募集要項(願書)配布
          6月 :願書提出締切
          7月 :1次試験(適性検査,筆記試験,実技試験,集団面接・討論)
          8〜9月:2次試験(実技試験,個人面接)
          10〜11月:結果発表
          11〜3月:健康診断,最終面接・配属校決定
            各都道府県・市によって異なる。

      5)どのような対策をするとよいか

        様々な試験によって,教員は採用される。 数多くの対策講座が巷間を賑わしているが,どれも一長一短がある。 現実にはそう「おいしい」話はない。大事なのは,「自分なりに何が必要なのか」を自問自答すること。そうして自分なりの対策を考えつつ, 一人相撲に陥らないように,適宜,教員や同じ志を持つ人たちにアドバイスをもらうのがベター。

    2.教員採用試験の受験対策のために何が必要かTop

      1)辞典・事典
        (1)教育小六法
        (2)学習指導要領
        (3)教育キーワード事典
      2)問題集
        (1)地域(ブロック)別過去問題集
        (2)都道府県別過去問題集 (3)教職教養の問題集
        (4)専門教養の問題集(大学入試用問題集)
      3)参考書
        (1)教職教養のミニ参考書
        (2)専門教養の参考書
      全部揃えても10,000円はかからない。まだ購入していない人は,早めに購入しよう。 時期的にまだ市販されていないものもある。 先輩から使い古しの参考書,問題集を譲り受けるのもよい。 先輩の手垢がそこらじゅうについているので,汚いといえば汚いのだが。 でもどのような勉強をしていたのかかがわかり,時間のない方にとっては絶好の参考書となる。

      問題集の数であるが,最初は,できるだけ少な目にする方が無難。 沢山の問題集に手を付けると辟易する。 全体をほぼ網羅したものを1冊,「最低5回ぐらい」きちんと取り組む方が効率的。 余裕がでてきたら買い足そう。 書店で実際に眺めてみて,自分に合ったものを買おう。

    3.情報を集めているかTop

      試験を突破するためには,情報の整理は不可欠である。 さて,情報の整理をどうするのか。

      まずは,教員採用試験に合格した先輩,現役教師,中・高の恩師などをたずね, 最近の傾向をできる限り聞き出そう。 都道府県の教育委員会,教育事務所などに電話を掛け, 今年度の結果,来年度の採用状況についても聞いてみよう。

      ところで,情報収集の際に,気を付けなければならないことがある。 それは,必ずしも情報というものは,正確ではないということ。 情報は,その伝播の経路において絶えず歪曲される危険性がある。 情報は事実そのものではなく,それを受信し,発信する人の解釈が必ず入り込むものである。 採用試験が近づき,焦ってくると,この情報の中に隠されている間違いを見抜けなることが多い。

      情報を沢山集めることは重要であるが,それを取捨選択するだけの余裕は欲しい。 ちなみに「復元問題」も試験場で出された問題そのものではない。 試験会場の外での聞き取り調査の賜である。 焦っていると,「復元問題」が本当に出た問題と感じてしまう。

    4.専門,教職,一般教養をどうしたらよいかTop

      暗記物の試験を乗り切る最善の方法は,きちんとした予定を立て,確実にノルマをこなしていくこと。 その際,一日のノルマをこなしたら,問題集・参考書の片隅に日時を記しておくと,大体のペースがわかる。 スケジュール管理も容易。また達成感で充実感も味わえる(「明日も頑張ろうかな」という気になる)。 最初の2,3日間やってみて「まずいな」と思ったら,すぐに変更しよう。 自分に合ったスケジュールを!

      1)専門教養,教職教養をどうしたらよいか

        実際にどう進めていくのか,もう少し紹介しよう。 1回目は,十分な時間を掛けて取り組むべきである。 1回目に割く時間が十分にない場合は,一つ飛ばしで問題に取り組む方法もある。 広く浅く。

        十分に時間を掛けるとは,最初から答え・解説と首っ引きで,内容を理解し,問題のパターンを覚えていくという方法。 ただし,注意しなければならないのは,答え・解説をあまり鵜呑みにしないこと。 もしかしたら誤植で「大嘘」を覚えるといった羽目になることもある。 聞き取り調査だし,答えはアルバイトに作らせているといった話もある。 答え・解説がおかしいと思ったら,徹底的に調べること。

        そして,調べたことは,問題集の片隅にわかるように整理し,メモしておくこと。 この場合,簡単な内容のまとめがついている問題集を使うとよい。 まとめのところに,どんどん内容を追加すると,「私だけの参考書」になる。

        1回目の期間の目安だが,残り期間の半分くらいを掛けてやるとよい。 2回目からが真剣勝負。 2回目は,答えを見ずに実際に解けるかどうかトライしてみよう。 もし間違ったら,赤ペンなどで自分なりの目印を付けておくとよい。 1回目の間違いは○,2回目の間違いは◎,3回目の間違いは●という風にすると便利。 便利さ加減はやってみるとよく分かる。 3,4回目は間違ったところを重点的にみる。 3,4回目でも間違うようであったら,ポストイットを貼って強調しておこう。 ただし,何度も間違うからといって,あまりにくだらない問題に取り組むのは止めよう。

        更に,間違えやすい内容,頻出内容を自分なりにチェックできるような方法を開発しておくと, 試験場でのギリギリの再チェックに有効。

      2)一般教養をどうしたらよいか
        一般教養は,問題集を買ってまでやる必要はない。 なぜなら何が出るかわからないからである。 いかなる対策をおこなっても「はずれる」確率の方が高い。

        では,どうすべきか。 一般教養で出される問題は,問題の種類で言えば,時事的な話題が多い。 有効な対策は,「新聞」に目を通したり,ニュース番組などをみたりすることではないか。 面白いなあと思ったことを切り抜いたり,疑問に思ったことを少し調べたりすれば, 一般教養に関しては思った以上の実力がつくと思う。

        一般教養では,時事的な話題の他に, 高等学校1年くらいまでに学習するようなことも多く出されている。 例えば,数学,理科,家庭科などの内容である。 中学・高校の時に使っていた教科書などにも目を少し通しておくとよいだろう。 就職用の一般教養の問題集も役に立つかもしれない。

    5.論作文をどうしたらよいかTop

      教師としての熱意と論理力を文章において判断するのが,論作文試験である。 論作文は付け焼き刃ではなかなか思った効果を得られない。 日頃から,教育に関わる問題について普段から考えておくことが何よりも重要。 また,論旨をどうするか,どう組み立てるかなどは,一朝一夕に身につくものではない。 論作文だけは,日頃の訓練が必要である。

      1)論旨を作るためにはどうしたらよいか

        まず第一に,普段から論作文のテーマになりそうな事柄について考えておくこと。 しかし,考えておいても,いざ書こうとするとなかなか思ったものが書けない。 そこで,日頃から書き癖を付けておくことである。

        でも,書き癖を付けるだけではなかなか向上しない。 その場合は,他人の考えのよい部分をどんどん吸収すること。 論作文で自分なりの意見を書くことは重要である。 しかし,これも時と場合による。 例えば,時間的余裕がない場合,自分なりの意見がまとまらない場合には, 他人の意見によいものがあれば,それに乗っかって論作文を書くのも一つの手。 世の中の文章のほとんどは,何らかの形で他人の文章を真似ているのは言うまでもない。 あまりオリジナリィティーにこだわらない方がよい。

        具体的には,どこから取り入れたらよいか。 新聞,雑誌,専門書などから取り入れるのがよいだろう。 関連する意見及び内容を,新聞,雑誌の投書欄,解説欄などから集めるのも手である。 テーマに関する専門書を読むのも手である。

      2)論旨をうまく組み立てるためにはどうしたらよいか

        論作文の評価の最大のポイントは,論旨がはっきりしているか, 論旨をうまく組み立てているか,ということ。

        このような評価基準の場合,できる限りより良い文章に常に触れておくことしかない。 論作文を書いたら,批評会を開き,意見を交換するというのも効果的。 というのも,文章の欠陥は,自分自身にはなかなか良くわからないからである。 批評会を開くことで,自分には見えない自分自身の欠陥が良くわかるようになる。 批評会が無理なら,本学教職課程の教員に添削を仰ぐのもよいかもしれない。

    6.試験場で狼狽えないためにはどうしたらよいかTop

      1)唯我独尊,これしかない!
        試験場には,非常勤講師何年という猛者がいる。 絶対に狼狽えてはいけない。 そうしないと,その場の雰囲気に呑み込まれてしまう。 「●年もやっているくらいだから,たいしたことはない」と考えるくらいのゆとりが欲しい。 また,有名国公立大,有名私大の学生及び院生などもいるかもしれない。 ここでも狼狽えてはいけない。 特に,大学院生は,修士論文の発表で忙しく,勉強などする時間は大学4年生より少ない。 自分の方が有利であると考える方がベター。

        要するに,物事すべて自分が中心で回っていると思うことが大事。 いわゆる唯我独尊状態?!

      2)「口撃」は最大の防御!
        自分にプレッシャーを掛けないようにするためには,他人にプレッシャーを掛けることも必要。 友人がいたら多少大きな声で世間話をすること。 つまり,勉強不足の人でも,もうすっかりやってしまって何もすることがないぐらいの雰囲気を醸し出すことが大事。 もしかしたら皆さんのプレッシャーにかかってライバルが転けてくれるかもしれない。 でも,難しいかな?! 要は,どのくらい「ハッタリ」がきくかである。

        「口撃」は随分姑息な手段なので,正々堂々と戦いたい人はやめよう。 そうはいっても,友人がいたら話し込んでしまうのが常かな?!

      3)先手必勝!
        この10年,教師の問題行動が新聞紙上を賑わしてきた。 その結果,各都道府県市では,それに対応して様々な試みが行われてきた。 採用試験にもそのような影響が出てきている。

        適性検査,集団討論などはその影響の一事例である。 集団討論では,話す中身も大事だが,討論の中でどのような役割を担っているかにも目を向けている。 このような場合,全体の動きを,よい意味でも,悪い意味でも阻害する人は目立つ。 発言は,大きな声で,みんなを説得するように,冷静に端的に行うことが大事。 間違っても,感情的になってはいけない。 感情的になった時点で,おしまいである。

        何度発言できるかわからないが,いつ当たってもよいように,論の展開にだけは気を付けておこう。 集団討論,集団面接の際に,発言の順番が自由であれば,最初に発言するように心がけよう。 最初に発言することで,教職への熱意を試験官にアピールすることができる。 試験官は,皆さんがどのくらい教職に興味を持っているか,を判断しようとしている。 最初に発言すれば,恐らく積極性が高いと評価されるはずである。 しかし,最初に「くだらない」発言をしたら,何もかもおしまい。 誰も言えないような素晴らしい意見を述べる必要がある。 そうなると,後に発言する人は,あまりの発言の素晴らしさに驚嘆し,何も言えなくなる。 絶句してしまう。うまく行けば自然に・・・・。

        先手必勝,これも良く考えたら姑息な手段である。 正々堂々と戦いたい人は,一番最後に誰もが言えないような素晴らしい意見を述べよう。 でも無理だね。

    7.落,落,落ちたらどうしたらよいかTop

      近年,児童・生徒数の減少により,教員採用数が減少してきている。 明治学院大学における合格者数も一段と厳しい結果となってきている。

      1)私学教員になる。それにはどうしたらよいか

        a)求人表,新聞紙上での公募による方法
          公募による方法は,一般企業の入社試験と同じ。直接その学校に出向き,試験を受ける。
          試験方法は,書類審査,1次試験,2次試験というのが一般的である。
          就職難を反映して,多数の人が応募するので,書類審査の段階で落とされることが最近は多い。
          書類審査を通った場合でも,なかなか厳しい。
        b)私学協会の名簿に搭載してもらう方法
          各都道府県の私学協会に,就職を希望していることを告げ,
          「中学高等学校教員志望者名簿」に登載してもらう。
          課題論文を提出させたり,「私学適性検査」を受けさせたりするところがある。

      2)小学校教員になる。それにはどうしたらよいか
      本学では,どう転んでも,小学校の教員免許状は取得できない。

        a)教員資格認定試験を受ける方法
          本学在学中(2年次生以降)に受験可能である。
          横浜国立大学,静岡大学,岩手大学,岡山大学,熊本大学などで,例年8月下旬に実施。
          なお,ここで取得できる免許は,2種免許である。
          講習などを受けて,10年以内に1種免許に変える必要がある。
        b)通信教育を受講する方法
          ダブルスクールになるため,卒業後に受講可能である。
          2種免許だと1年,1種免許だと2年の時間が掛かる。
          明星大学,玉川大学,創価大学,佛教大学などで開設されている。
          レポート−試験,スクーリングなどで単位を取得するようになっているが,結構難しい。
          予定以上に時間が掛かることもあるので,綿密な計画が必要である。

      3)大学院に進学する。それにはどうしたらよいか

        最近の教員採用状況を見ると,専門性が問われてきている。
        募集要項には公にはされていないが,専修免許状取得者を意識した採用をしている。
        大学院に進学し,専修免許状にランクアップし,2年後に備えるのも手である。
        大学院入試は,早いところで,8月中旬から実施される。早めに情報収集しよう。